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6月 26 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(その他)

前々回及び前回に引き続き,令和元年に改正される相続分野について記載いたします。
 

今回は,遺産分割,遺言及び遺留分等以外のその他部分に関するものについてです。
なお,配偶者居住権及び法務局での自筆証書遺言の保管については,令和元年7月1日施行ではないため今回は記載しておりません。
 


 

1 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

 

被相続人に対して療養看護をしたりして,被相続人の財産の維持や増加に寄与した相続人は他の相続人と比べて多く相続できる「寄与分」という規定があります(民法904条の2)。しかしながら,この規定はあくまで相続人が「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をした場合に認められる規定であり,相続人の配偶者(例えば長男の妻)や孫が寄与した場合でも相続人ではないため寄与分は認められません
 

もちろん,そのような方でも遺贈を受けることができますので,被相続人が遺言書を書いてくれれば財産を取得することができますが,多くの方はそんなことを生前の被相続人に依頼することはできませんよね。
 

ということで,今回の改正によって,遺言書がなくても相続人以外の方についても財産(金銭)を受け取れる制度ができました。
 

(1)請求できる人

①被相続人の親族であること。

被相続人とは何ら関係ない人が療養看護をしている場合は,介護サービスなど何らかの金銭の対価が伴っていると考えられるからです。

②療養看護が無償で行われていること。

対価を得て療養看護を行っているのであれば,再度請求を認める必要はないためです。
 

(2)請求方法

相続人に対して,金銭の支払いを請求することができます。この点,遺産分割協議に参加できるものではなく,さらに不動産などの分配ではなく金銭の支払いを求めることができるにすぎません。また,相続人が複数いる場合は,特定の相続人でも良いですし,全員に請求しても構いませんが,全額を特定の相続人に請求することはできず,その相続人の法定相続分が上限となります。
 

(3)金額の決定方法

基本的には当事者で話し合いをして決めていただくことになりますが,まとまらない場合は家庭裁判所に「協議に代わる処分」を請求して裁判所に具体的な金額を決めてもらうことになります。
 

(4)除斥期間

請求する人が被相続人が亡くなったことを知ってから6か月または被相続人が亡くなったときから1年以内に請求しなければなりません。 
 

2 相続の効力等に関する見直し

 

相続全般について,いくつか効力や権利を保護するための方法に変更があります。
 

(1)相続登記が対抗要件に

従前は,遺言書にて「長男に〇〇の土地を相続させる」としていた場合,長男は相続登記をしていなくても自分の権利を第三者に対抗することができました

今回の改正により,このような遺言書があったとしても,長男は相続登記をしなければ自分の法定相続分を超える部分については第三者に対抗することができなくなります

この点,遺言ではなく遺産分割の場合は従前から法定相続分を超える持分については登記をしなければならないとされていましたので,むしろ整合性が取れる内容になったと思います。また,あくまで法定相続分を超える部分についてのみ対抗できないだけなので,自分の法定相続分はやはり登記なくして対抗できますし,そもそも相続人が1名しかいないのであれば登記なくして所有権全部について対抗できることになります。

ただ,日常生活にどれほど影響があるかと言われると,大多数の方にはほとんど影響はないと思います。
 

(2)債務の承継について
相続が生じると,不動産や預貯金のような財産(積極財産)だけではなく,借金などの負債(消極財産)も相続することとなります。

積極財産は遺言によって誰が相続するかを被相続人が決めておくことができますが,消極財産は債権者がいる話ですので勝手に被相続人が誰が相続するかを決めることはできません。

この点,改正前も判例によって債権者の承諾があれば,消極財産についてもどのように相続するか決めることができるとされておりましたが,改正によって明文化されました。
 
 
 

このほかにも細かい点はございます(遺言執行者がいる場合の相続人の行為の効力等)が,一般的に影響があるのはこれまでに記載してきたものではないかと思います。

特に,預貯金の払い戻しは大多数の方に影響がある話ですし,遺言書を作成されている方だと遺留分侵害額請求権は大きな改正になるかと思います。

また,まだ施行されていませんが,配偶者居住権や法務局での自筆証書遺言の保管制度も大きな改正となります。

今後も,続報が入りましたら随時更新してまいります。

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6月 26 2019

ブログ目次

売買に関すること

 
平成25年4月1日よりオンライン減税が無くなります
個人間売買について
農地の売買
住宅ローン減税(2012年版)
家賃と住宅ローンの金額「のみ」を比較してはいけません!
東日本大震災被災地域の不動産を取得した場合の例外措置
住宅ローンの固定金利と変動金利
裁判所の競売で購入する方法
土地区画整理組合が販売する保留地
不動産売買の決済当日に起こるトラブル
権利証(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合
住宅ローンの変動金利増加
住宅ローンは人生を賭けたギャンブル(になることもある
権利証に関する誤解を解消してみよう!
印鑑について
地面師と司法書士
司法書士を選びたい
土地を購入し,建物を新築する場合の登記費用について
登記識別情報通知書のシールは剥がすべきか
4月1日から変わるものと変わらないもの(不動産登記的に) 
「本人確認情報」と「権利証の再発行」は同じではありません。 
登録免許税の減税について 
平成29年4月1日からの各種減税措置  
地面師暗躍 
破産物件の購入 
住所のつながりを証明する書類 
仮登記について 
ハンコについてあれこれ 
 

贈与に関すること

不動産の贈与について
登記の持分と贈与税
相続が得か贈与が得か
権利証(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合
財産分与の登記について
相続時精算課税制度を使っての贈与
農地の時効取得 
認知症の方が所有されている不動産の売買・贈与 
贈与と遺贈  
不動産屋さんを通さない不動産の売買について 
地面師真っ盛り 
  

相続に関すること

遺産分割協議に参加できない方がいるとき①
遺産分割協議に参加できない方がいるとき②
第3順位の相続は波乱となるので,その前に手を打つべき
「相続放棄」はプラスマイナスどっちも放棄です!
お葬式の費用は誰が負担するのか
知らない兄弟がいた!
相続が得か贈与が得か
嫡出子と非嫡出子の相続分の差は違憲(ただし,高裁決定)
「私の相続分は1/2ですよねぇ。」
相続登記の費用についての補足①
相続登記の費用の補足②
遺言を書いた人よりも先に相続予定者が死んでしまった場合
改正原戸籍
登録免許税や相続税等の改正
相続放棄ができなくなってしまう「法定単純承認」
非嫡出子相続分違憲決定など
亡くなる前に相続放棄
財産管理協会「認定司法書士」登録
自分の子どもではないにも関わらず認知した場合(最高裁判決)
遺産分割で問題となる事項(特別受益編)
遺産分割で問題となる事項(法律とは異なる取り扱いの銀行預金編)
遺産分割で問題となる事項(使途不明金編)
遺産分割で問題となる事項(国債編)
生物学的な親と法律上の親
遺産分割協議は早めの方がお得??
葬儀についての法律関係
一部の相続人からの預金の払い戻し 
認知症の方がいらっしゃる場合の相続(遺産分割) 
失くなった・間違った戸籍 
花押は押印ではありません 
未来につなぐ相続登記
「法定相続証明制度」の導入
遺贈の放棄
預金も遺産分割の対象に(最高裁判決) 
法定相続情報証明制度 
相続登記の登録免許税が無料になる(かも) 
相続財産管理人の選任
夫婦間における自宅の贈与の特例は得か 
相続登記の免税について 
配偶者居住権の新設
自筆証書遺言の方式の緩和
相続登記の義務化(?)
令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺産分割に関するもの)
令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺言,遺留分に関するもの)
令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(その他)

遺言に関すること

遺言でできること
自筆証書遺言と公正証書遺言
遺言のススメ
私の財産のすべてを息子に相続させたい
遺贈に関する注意点
一部の相続人からの預金の払い戻し
農地の時効取得 
遺言書の撤回 
「贈る」の意味と受遺者の相続人に対する遺贈 
 
 

抵当権抹消に関すること

住所変更登記が必要な場合と要らない場合
遙か昔の抵当権が残っている場合
休眠担保の特定が使えない(根)抵当権抹消
申請期限や有効期限のある書類
50年以上前の登記の抹消
登記完了証と登記事項証明書 
消滅時効を原因とした抵当権抹消登記手続訴訟 
休眠抵当権に関するページの追加について
されど住所変更登記
「敷地権」とは?

抵当権設定登記に関すること

「借り換え」の費用について 
 

その他

会社が知らないうちに無くなっているかもしれません。
大槌町及び南三陸町に行ってまいりました。
司法書士業務賠償責任保険
熊本地震により権利書等を紛失された方へ

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6月 25 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺言,遺留分等に関するもの)

前回に引き続き,令和元年に改正される相続分野について記載いたします。
 

今回は,遺言及び遺留分等に関するものについてです。
 

 
 

1 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ

 

自己の財産を遺言によってどなたに贈与(遺贈)しても自由であるのが原則です。相続人のどなたかに全財産を渡しても良いですし,慈善団体に寄付しても構いません。

しかしながら,被相続人の財産で生活していた家族がいた場合,全財産を第三者に渡されてしまうと生活ができなくなってしまう可能性があります。

そこで,法律では一律に法定相続分の半分(相続人が存続の場合は1/3,兄弟姉妹はなし。)を遺留分として,遺贈を受けた人から返してもらう権利がありました。この返してもらえる権利を遺留分減殺請求権と呼びます。
 

ただ,この遺留分減殺請求権は,相手方に通知すると直ちに効力が生じることとなり,第三者が不動産の遺贈を受けていてその方に遺留分減殺請求をした場合は,不動産が共有状態になるという不都合がありました。何が不都合かというと,不動産が共有になっているとどちらかが使おうにも話し合いをしなければなりませんし,売ってお金に変えようとしても双方の合意がないと売れません。一般的に,遺留分減殺請求をした方は相手方を良くは思っていませんので,合意を得るのも大変です。

そこで,今回の改正により,遺留分を超える遺贈を受ける人に対して遺留分に不足する分を請求することができること自体は変わりませんが,あくまで金銭の支払いを求めることができるのみということになりました。
 

これにより,不動産が共有になるということは無くなりますので,お金で解決すれば良いことになります。
 

なお,「減殺」という文字が使われなくなりましたが,これは従前の遺留分減殺請求権が遺贈の一部の効力を消滅させる(減殺)という意味があったものの,改正によって遺贈の効力はそのままに新たに侵害額請求権を付与したものであるため,減殺という文字が使われなくなりました。
 
 

注意点

(1)時効(除斥期間)について

遺留分減殺請求権は,請求できるときから1年または被相続人の死亡から10年で権利行使ができなくなっており,遺留分侵害額請求権も同様です。ただし,いったん請求した後は,遺留分侵害額請求権は通常の金銭債権ですので10年で時効になります。ただし,債権法の改正により消滅時効が5年に短縮されますので,改正後に関しては5年で消滅することになります。
 

(2)期限の許与について

遺留分侵害額請求を受けた相手方は,遺贈を受けたのが現金や預貯金であればすぐに支払うことはできるかと思いますが,不動産などすぐにお金に換えられないものを遺贈された場合,すぐには支払うことができません。そこで,遺贈を受けた方は裁判所に支払いの猶予(期限の許与)を請求することができます。 
 

2 遺言執行者の権限の明確化

 

一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが,遺言の中に遺言執行者を選任しておき,遺言者の死亡後にその者が承諾することによって,遺言執行者が遺言の内容を実現することになります。

これまで権限がそれほど明確でなかったり,第三者への委任(復任)が厳しい内容となっていましたが,それを分かりやすいものに変更しました。
 

具体的には以下のとおりです。

(1)復任が原則自由に

現状ではやむを得ない事由がない限り第三者に手続をしてもらうことができませんでしたが,改正後は自己の責任において第三者に手続を進めてもらうことができるようになりました。
 

(2)権限が明確に

たくさんの規定されたのですが一部を抜粋すると,①相続登記や特定の者が相続する預貯金など特定財産承継遺言がある場合は,遺言執行者ができないとされていた手続について,遺言執行者ができるようになり,②特定遺贈及び包括遺贈の義務履行については,遺言執行者のみが行うこととされました(包括遺贈については相続人も手続きができました。)。
 

次回は,遺産分割,遺贈,遺留分以外のその他についてまとめたいと思います。

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6月 23 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺産分割に関するもの)

平成30年に民法の中に規定されている相続に関する部分について大きな改正がなされました。
ただ,すぐにその法律どおりに運用されるのではなく,一定の周知期間を経て施行(改正法の効力が生じる)ことになっています。 

その第一弾として,自筆証書遺言の作成に際して,一部についてはパソコン等で作成しても良いという改正が施行されました。
→ 自筆証書遺言の方式の緩和 

実際のところ,当事務所が関与させていただく場合はそもそも自筆証書遺言ではなく公正証書遺言をお勧めしておりますので改正法の影響はあまりないのですが,ご自身で作成される場合には重要な改正になるかと思います。 

そして,来月(令和元年7月1日)より第二弾の施行がありますので,今回はこちらについてまとめてみたいと思いますが数が多いので3回に分けて記載いたします。
 

まずは,遺産分割に関するものについてです。
 

 
 

1 遺産分割前の預金の払い戻し

 

従前は,「預金は法定相続分に応じて当然に各相続人が相続する」とされていましたが,平成28年12月に最高裁判決がそれまでの考え方を改めて,各相続人の共有財産になることとしました。

→ 預金も遺産分割の対象に(最高裁判決)
 

当該判決までは,拒否するところが多少あったものの多くの金融機関では各相続人の法定相続分に応じた金額のみの払い戻しは認めてくれていましたが,上記最高裁判決からは原則として遺産分割協議前の払い戻しはできないこととなりました。

→ 一部の相続人からの預金の払い戻し
 

これにより,預金口座の名義人が亡くなった場合(正確には亡くなったことを金融機関が知った場合),金融機関は口座名義人の預金口座を凍結してしまうため,相続人が出入金をすることができなくなり,当該口座名義人の収入で生活されていた場合の生活の支払いや入院費用・葬儀費用の支払いなど,近々の支払いに苦慮される方もいらっしゃいます。
 

そこで,全額ではありませんが,一部に限り遺産分割前の払い戻しを認める制度ができました。 

(1)預貯金額の3分の1につき,自己の法定相続分を乗じた金額

例えば,A銀行に300万円の預金があり,法定相続分が2分の1だった場合は,300万円×1/3×1/2となり,50万円の払い戻しができることになります。
 

(2)各金融機関ごとに考える

例えば,A銀行に300万円の,B銀行に600万円の預金がある場合,上記のとおり計算すると,全体としては900万円×1/3×1/2で150万円となりますが,A銀行の口座から150万円の払い戻しを受けることはできず,A銀行から50万円,B銀行から100万円を払戻すことになります。
 

(3)各金融機関の上限は150万円

例えば,A銀行に300万円,B銀行に600万円,C銀行に1200万円の預金がある場合,A銀行とB銀行は上記のとおりですが,C銀行については1200万円×1/3×1/2で200万円になるのではなく150万円まで払い戻しができることになります。
 

(4)この手続きでは足りない場合

上記金額以上の払い戻しが必要な場合,原則としては遺産分割協議がまとまってからとなりますが,それでは対応できない場合は,仮分割の仮処分(家事手続法第200条2項)を裁判所に申し立てて進めていくことになります。もっとも,この手続きは急迫の危険を防止するためというかなり厳しい条件が付いていますので,なかなか認められるのは難しいと思います。
 

(5)必要書類等について

こちらの手続を使うためには,①口座名義人が亡くなっていること,②自己の法定相続分を証明することの2点を証明する必要がありますので,口座名義人の出生から死亡までの戸籍謄本等相続人の内容が分かる戸籍謄本等をご準備いただくことになります。この点,上記の内容が分かれば良いので,法定相続情報証明でも大丈夫だと思います。
 

また,金融機関次第ではありますが,払い戻しの手続を行う方の印鑑証明書も必要になると思います(他の相続人の印鑑証明書は不要です。)。 
 

2 夫婦間の居住用不動産の贈与等について

 

婚姻期間が20年以上の夫婦間においては,居住用不動産またはその取得費用について贈与したとしても,2000万円までは贈与税が非課税になる特例があります。

→ 国税庁サイト
 

確かに,贈与税は非課税になるのでメリットは大きいのですが,この贈与は「遺産の先渡し」と考えられており,遺産分割のときには特別受益として被相続人の財産に加算する結果,配偶者の取得分がその分減ることになっています(いわゆる持ち戻し計算)。
 

今回の改正で,上記の居住用財産に関する贈与に限り,特別受益とは考えずに,残った遺産だけを分割すれば良いため,配偶者の取得分が結果として増えることになります。
 

具体的に金額を記載すると以下のとおりです。

①夫A,妻B,子CとDがいたとします。Aは生前Bに対して居住用不動産(2000万円相当)を贈与しました。

②Aが死亡したときの遺産は預貯金6000万円のみだったとします。

③改正前は,居住用不動産の2000万円を持ち戻すため,Aの遺産は8000万円となり,法定相続分どおり分割したとすると,Bはすでに受領済みの不動産2000万円と預貯金2000万円を相続し,CとDは各2000万円ずつ取得することになります。

④改正後は,不動産は関係なくなりますので,単に6000万円を分割すればよいことから,Bは3000万円,CとDが1500万円ずつ相続することになりますので,Bの取り分は多くなることになります。
 

この改正のポイントは以下のとおりです。

(1)居住用不動産であること
 
贈与税の非課税は,居住用不動産取得のための現金でも非課税となりますが,この規定については居住用不動産のみです。
 

(2)贈与の時点で居住すること

居住用不動産の贈与であることから,贈与のときに居住しているか,近い将来居住する予定であることが必要です。
 

(3)贈与ではなく遺贈でもOK

上記はすべて贈与と記載しておりますが,遺贈でも大丈夫です。
 

(4)適用させないことも可能

被相続人が遺言等で上記規定を排除することが可能です。 
 

3 遺産が勝手に処分された場合の処理

 

相続人のうちの誰かが遺産を勝手に使いこんでしまった場合,遺産分割手続ではなく通常の訴訟で先に確定させる必要がありました。加えて,勝手に使われたことの立証は難しく,「やられ損」ということが多々ありました。
 

今回の改正で使い込んだ人の同意等の必要はなく,使い込んだ分も遺産に含んだうえで遺産分割協議を行うことができるようになりました(使い込んだ人はその分,取得額が減ることになります。)。
 

ということで,遺産協議に関する改正だけでもかなり大きい改正となり,特に預金に関する改正はほとんどすべての方に影響がある改正になるかと思います。

次回は遺言に関する改正です。

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5月 30 2019

ハンコについてあれこれ

日頃何気なく使っている,「ハンコ」や「印鑑」,重要な時に使う「実印」や「認印」,はたまた契約書などの書類にハンコを押すときの「押印」や「捺印」,複数のページになる場合の「割印」や「契印」など,ハンコに関して実は本来の意味とは違う意味で使っていることがあります。 

今日は,ハンコに関する情報をまとめてみたいと思います。
 

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ハンコは印鑑ではなく印章

 

朱肉を付けて書類にポチっとするハンコ。あれは正式には「印章」と言います。もちろんハンコでも構いません。この点,「印鑑」と呼ぶこともあるかと思いますが,実は「印鑑」は誤りです。

「印鑑」というのは,名前が彫ってあるハンコの事ではなく,朱肉を付けて押したときに映る「印影」を登録している紙のことを言います。その紙が役所に保管されておりますので,「役所に登録してある印影(印鑑)の証明書」が印鑑証明書ということになります。もっとも,現在は紙で登録されていることはなく,データとして登録されています。

ただ,実際にはハンコのことを印鑑と呼ぶことが多いので,私もハンコのことを印鑑と呼んでいます。 
 

実印と認印は登録の有無

 

上記のとおり,役所に印影を登録してあるハンコのことを俗に「実印」と呼び,そうでないハンコのことを「認印」と呼びます。したがって,すごく立派なハンコを作成しても役所に登録していなければ認印ですし,100円ショップで買ってきたハンコを登録すればそれが実印となります。なお,実印,認印ともに法律用語ではなく俗称となります。
 

また,重要な契約のときに実印での押印を求められることがあるかと思いますが,法的な効力としては実印でも認印でも効力が変わることはありませんし,もっと言えばハンコでの押印がなくても署名があれば有効な書面となります(民事訴訟法228条4項)。よく,「今日ハンコを忘れたので指で押します。」みたいなことがありますが,法的にはあってもなくても効力は同じです(ただし,本人が署名したことを否認した場合に指印で立証することはあると思います。)。
 

ただ,署名の場合は本当に本人が書いたのかどうかの判断が難しく,認印だと第三者が押印したものも同じ印影であるため,本人しか持っていないだろう実印を押印した方が本人の関与を立証しやすくなるため,重要な契約では実印での押印を求めることが多いと思います。
 

なお,法的な効力は別問題として,手続的にご本人が関与していることを証明するために必ず実印での押印を求められることがあり,その場合は必ず印鑑証明書(通常は発行から3か月以内)の添付を求められます。例えば,不動産の売買に関する登記申請の際には売主さんの印鑑証明書が必要書類となっておりますし,自動車の売買だと当事者双方の印鑑証明書の提出を求められます。 
 

押印と捺印は基本的に同じ

 

ハンコを押すことを「押印」と言ったり「捺印」と言ったりしますが,どちらもハンコを押すという意味は同じでありどちらでも正しいです。両方の頭文字をとって「押捺」と呼ぶこともありますが,これも同様です。
 

ただ,使い方として押印は「記名押印(ゴム印やすでに印字してあるものにハンコを押す)」として使われることが多く,捺印は「署名捺印(自ら署名をしたうえでハンコを押す)」として使われることが多く,押捺は「ハンコを押すことに加えて指印を押すことも含む」と微妙に違いがありますが,いずれも「ハンコを押す」という意味としては同じですので,結局はどれでも良いということになります。 
 

割印と契印は複数の紙に跨って押印

 

契約書が2ページになるときに,1ページ目の裏と2ページ目を重ね合わせてハンコを押すことがあります。一般的に「契印」や「割印」と呼ばれていますが,これは「契印」となり「割印」は誤りとなります。
 

契印は当事者が知らぬ間に契約書の一部が抜き取られたり加えられることを防ぐためにハンコで痕跡を残しておくことに加えて,一連一体の契約書等であることの証明にもなり,契印がないと役所での申請が通らないことがありますので結構重要な行為です。
 

一方,割印とは正副など同じ書類がある場合に,どちらも同じ内容の書類であることを示すために正副の書類に重なるように押印したり,関連する書類について重なるように押印することを指しますので,実生活上では割印をするケースというのはあまり多くないと思います。
 

なお,切手や収入印紙などが使用済みであることを示すためにハンコを押すことを「割印」と呼ぶことがありますが,これも誤りであり正しくは「消印」と呼びます。
 

ということで,雑学的な内容になってしまいましたが,この仕事をしていると間違って使ってしまうと恥ずかしいケースがありますのでまとめてみました。

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5月 09 2019

仮登記について

登記簿を見て,たまに仮登記が入っていることがあります。

当事務所で,数年前に仮登記を申請した件がやっと本登記できることになったので,今日は仮登記についてまとめてみたいと思います。
 

 
 

通常の登記(本登記)と仮登記

 

不動産を購入した場合,売主さんの名義から買主さんの名義に登記を変更します。これを所有権移転登記といい,登記をすることによって第三者に対する対抗力を持ち,裁判上でも所有者であると推定されます。これにより,売主が第三者に売却していたとしても,登記をしておけば自分が正当な所有者だと主張することができますし,裁判上でも反証がなければ所有者であると認定されます。

ただ,このようにすぐに登記ができれば良いのですが,中にはすぐに登記できないケース登記しないケースもあります。 

例えば,登記申請に必要な権利書等がないけど,とりあえず何らかの登記はしておきたいという場合や,条件付売買や売買予約などまだ売買契約が成立しておらずすぐには登記しないという場合もあります。このうち,前者については不動産登記法105条1号に規定されているため「2号仮登記」,後者が同条2号に規定されているため「2号仮登記」と呼んでいます。
もっとも,権利書が無いような場合には本人確認情報事前通知等によってすぐに登記申請をすることができますので現実的にはなかなか使われない仮登記であり,世の中にある仮登記の大部分が2号仮登記となります。 
 

仮登記のメリット

 

上記のとおり,仮登記には第三者への対抗力はありませんし,所有者であると推定されるわけでもありません(そもそも2号仮登記は所有権は取得していません。)。また,仮登記がされていても所有者は第三者に売却することもできますし,仮登記の存在を無視して当該第三者に登記(本登記)することもできます。 

では,仮登記を行うメリットは何でしょうか。 

これは,条件が成就していないので通常の登記(本登記)をすることはできないが,仮登記をしておいて,後日条件を満たしたときに本登記をすれば,仮登記後に現れた所有者に勝つことができることにあります。
具体的には,1番でAさんの登記が入っており,2番にBさんの条件付仮登記,3番にCさんの登記(AさんがCさんに売却した)があるとします。Bさんは現時点では所有権は得ていないのでCさんが利用することは何ら差し支えありません。
その後,Bさんが条件を満たし,Aさんと共同して2番にある仮登記の本登記をすることでCさんの登記は抹消され,Bさんの登記だけが残ることになり,名実ともにBさんは所有者になることができます。 

なお,このケースで仮登記の本登記を行う場合はCさんの承諾書が必要となり,実体としてもCさんには承諾義務があるのですが,Cさんが承諾してくれない場合はCさんを訴えて勝訴することで本登記をすることができます。 
 

2号仮登記が行われるケース

 

2号仮登記が申請されるケースはたくさんありますが,以下のようなケースが多いかと思います。
 

・死因贈与
自身が亡くなった場合に特定の人に不動産を承継させる場合,遺言が使われることが多いかと思いますが,「死因贈与」という形態で承継されることもあります。
この場合,不動産の所有者が亡くなることによっては初めて贈与の効力が生じることとなりますのですぐに登記をすることはできず,「所有者の死亡」という不確定期限付の仮登記を申請することができます(相続や遺贈については仮登記を申請することができません)。
 

・農地の売買
農地を売買する場合,農地法の許可が必要になります。この許可を得るのに時間がかかることが多々ありますので,「農地法の許可」を条件とした条件付仮登記を申請することができます。
 

・担保としての仮登記
金銭の貸し借りで,貸金が返済されない場合には貸主に不動産の所有権が移転するという「代物弁済予約」を原因として仮登記の申請を行うことがあります。もっとも,弱みに付け込んで,少ない金銭で高価な不動産を取得する事例が多く発生したことから,「仮登記担保法」によって規制されています。
 

・つなぎ融資
更地に建物を建築する場合,契約金,着手金,中間金,最終金など,建築状況に応じてそれなりの金額を建築会社に支払わなければならないケースがあります。
多くの方が住宅ローンを組んで支払うことが多いかと思いますが,住宅ローンによっては建物が完成しなければ融資できないというケースが多く,上記の中間金などは自己資金で賄う必要があります。それが用意できれば何も問題ないのですが,そのような方ばかりではないため一時的に融資してくれる会社があります。その融資のことを「つなぎ融資
」といい,最終的に住宅ローンが銀行から振り込まれた場合は,そのお金でつなぎ融資分を返済し,以降は毎月住宅ローンを返済していくことになります。
この場合において,つなぎ融資の会社も多額の融資を行いますので,土地を担保に取ることがあるのですが,通常の抵当権を設定すると融資額の0.4%の登録免許税がかかってしまいます。そこで,仮登記の出番となります。
 

というのは,抵当権の仮登記の場合は融資額に関係なく一律1000円の登録免許税で良いことになっているからです。
このように,すぐに抹消する予定の抵当権のために何万円も税金を支払って登記をするのはもったいないので仮登記で済ませようということです。
 

・自社従業員への貸付
最近はあまり見かけませんが,サラリーマンの方がご自身が勤める会社から融資を受けるような場合も,上記のように通常の抵当権ではなく仮登記であるケースがあります。 
 

買う予定の不動産に仮登記が入っていたら

 

上記のとおり仮登記の本登記がされてしまうと登記としては負けてしまい,最悪の場合は所有権を失う可能性があります。
したがいまして,ご自身への所有権移転登記に際して仮登記が抹消されるかどうかを確認する必要があります。
もっとも,仮登記どころか抵当権が設定されたままの不動産が売りに出され,売買代金でローンを返済して抵当権を抹消するというケースは普通にあります。
したがって,仮登記が入っていたとしても,抹消されることがほとんどですので,それほど構える必要はないかと思います。

以上,仮登記のお話でした。

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4月 16 2019

事前通知について

権利書(登記識別情報通知を含む。以下同じ。)を紛失等し,申請の際に提供できない場合の代替手段として3つの方法が規定されております。

→ 権利書(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合
 

このうち,一番多く使われるのが司法書士等が作成する本人確認情報を提供して申請する場合だと思いますが,稀に事前通知を用いる場合があります。
 

先日,私自身が遺言執行者に就任し,登記義務者となって事前通知で進める機会がございましたので,今後,事前通知の具体的な流れを依頼者の方に説明させていただくために,画像付きでまとめておきたいと思います。
 

 
 

1 事前通知とは

 

そもそも事前通知とは何かというと,上記のとおり登記申請に際して権利書が必要であるにも関わらず紛失等で手元に無い場合に行う手続です。

権利書は,本人確認を行う上での重要な書類の一つであり,権利書を提供することで所有者等の権利者自身が手続に関与していることを示すことができます。逆に言えば,権利書が無くても権利者自身が手続に関与していることが確実なのであれば登記を進めても良いということになります。

そこで,登記申請後,法務局から本当に権利者自身が手続に関与しているのかの通知を送って確認し,問題なければ登記が完了することとなります。

登記が完了する前に法務局から通知が来るので「事前通知」という手続になります(不動産登記法第23条第1項)。
 

なお,上記の本人確認情報は,法務局が事前に通知して確認する代わりに,資格者代理人(通常は司法書士)が本人確認をすればほとんどのケースで事前通知はされず,そのまま登記が完了することになります。あくまで「ほとんどケース」というだけであり,法務局が本人確認の内容が相当でないと判断したときは事前通知はなされますが,私自身及び私の周りで司法書士が本人確認したのに事前通知がなされたというケースは聞いたことがありませんので,ある意味司法書士の本人確認が権利書の代替になると考えていただいても良いです。

その分,責任が重く,故意に虚偽の本人確認情報を提供した場合は,虚偽提供罪として2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになっており,実際に実刑になった司法書士も存在します(不動産登記法第160条)。
 

したがって,司法書士が本人確認情報を作成する場合にはそれなりの報酬が発生することとなりますので,可能な限り権利書は紛失されませんよう大切に保管してください。 
 

2 事前通知と本人確認情報

 

権利書が無い場合,事前通知であれば費用はかかりませんので本人確認情報の出番は少ないように思われるかもしれませんが,現実的には本人確認情報を提供する場合が多いと思います。それは,大きなお金が動くためです。

売買を想定していただくと,Aさんが所有する土地をBさんに売却する場合,通常は,金融機関でBさんがAさんに対して売買代金を支払い,立ち会った司法書士が権利書等の必要書類を受領してすぐに登記申請を行います。

ところが,権利書が無い場合に事前通知の方法を執ったとすると,Bさんは売買代金を支払ったにも関わらず,確実に登記がされるとは限りません。なぜなら,法務局の事前通知の手続が残っており,Aさんが事前通知の手続を無視してしまうと登記は却下されてしまうからです。そうなると,Bさんは売買代金を支払ったのに登記ができないという恐ろしい事態に陥ってしまいます。

そこで,事前通知が終わってから売買代金を支払えば良いという考え方もあり,実際にこのような方法で売買手続を進めることもありますが,Aさんとしては売買代金をもらっていないのに権利書以外の重要な書類(印鑑証明書など)を提供する必要がありますし,所有権移転時期の特約が入っている場合に実際の登記の日と登記の日がずれることになってしまいます。

この点,本人確認情報を提供すれば,権利書を提供した時とほぼ同様に進むことになりますので,実際には本人確認情報を提供することが多いかと思います。

したがって,事前通知で進めるのは,特に新たな利害関係を生むわけではない抵当権抹消登記だったり,トラブルが生じる可能性が低い親族間の贈与や遺贈などに限られると思います。 
 

3 事前通知の具体的な流れ

 
 

(1)登記申請時
 

登記申請時においては,権利書を提供しないこと以外には特に変わることはありません。強いて言えば,抵当権抹消登記のように本来であれば印鑑証明書が不要な申請でも印鑑証明書が必要になる程度です。
 

(2)郵便局からの通知
 

登記申請をしてから1週間から2週間程度で,住所地宛に郵便局から「本人限定受取郵便」のお知らせが届きます。


 

(3)受け取り
 

上記書面及び免許証等の本人確認書類を持って通知のあった郵便局に受け取りに行くか,郵便局に連絡して自宅に配達してもらい,下記の本人限定受取郵便を受け取ります。「本人限定」となっておりますので,たとえご家族でも代理で受け取ることはできませんのでご注意ください。


 

(4)記入
 

中には,登記申請の内容が記載されており,この内容に間違いが無いか確認してください。問題ないようであれば,回答欄のご署名いただき,ご実印でご捺印ください。


 

(5)法務局への返送
 

この事前通知に関する書類には期限があり,法務局が発送してから2週間以内に法務局に届く必要があります(書面に期限の記載があります。)。

したがいまして,法務局に直接持参されるようであれば大丈夫だと思いますが,法務局に郵送する場合は余裕をもってご返送ください。特に,平成の終わりから令和の始まりにかけて長期連休がございますので,返送期限にご注意ください。
 

(6)登記の完了
 

上記の書面が法務局に到着すると登記手続が再開され,数日後に完了となります。
 

以上,事前通知についてでした。

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2月 08 2019

相続登記の義務化(?)

本日(2月8日)に以下のようなニュースがありました。

「土地の相続登記を義務化 所有者不明土地問題で」
 

ざっくり要約すると,土地の所有者が亡くなった方の名義のままになっており,公共事業などに支障が出ているため,相続登記を義務化しようというものです。
 

今日はこの点について簡単ではありますがまとめてみたいと思います。 
 

権利の登記は権利

 

不動産を取得した場合の「所有権移転登記」や住宅ローンを完済した後の「抵当権抹消登記」など,権利に関する登記をするかどうかは当事者に委ねられています。つまり,登記をするかどうかは権利であって義務ではありませんので,不動産を購入しても登記しなくても問題ありませんし,住宅ローンを完済しても抹消登記をしなくても罰せられることはありません。

もっとも,登記をしないと後々トラブルになることが想定されますので,実際には登記をされる方が多いと思います。
 

この点,山林や農地など,比較的利用価値が低い不動産については相続が起こってもでも欲しがらない方が多く,登記をしないまま何十年も経過しているということが多々あります。それが積み重なり,上記のとおり公共事業などに支障が出てきているということになります。具体的には,新しく高速道路を造ることになった場合,当然ながら土地の所有者の印鑑が必要となりますが,亡くなった方に印鑑を押してもらうことはできませんので,相続人を探し出して,全員の方から印鑑をもらう必要があります。それができればまだ良い方で,実際には相続人もすでに亡くなっていたり,行方不明になっていたりと,現実的に印鑑をもらえない状況が多くなってきています。 
 

義務化してもまとまらないのでは

 

上記のとおり,権利の登記は権利であって登記をしなくても問題ありませんが,「表示の登記」と呼ばれるものはすでに現時点で義務となっています。
 

表示の登記というのは,土地であれば地積(面積)や地目など,建物であれば種類や構造,床面積などが記載されている部分で,物理的な現況を示す登記です。例えば,畑を宅地にしたのであれば地目を宅地に変更しなければなりませんし,建物を新築したのであれば新築した旨の登記をしなければなりません。
 

もし,表示の登記を1ヶ月以内にしない場合,過料という罰金なようなものを科せられることになっており,義務を裏付けるものとなっております。
 

ところが,世の中には登記がされていな建物は無数に存在していますし,地目が変わっても変更していない土地も無数にあります。にもかかわらず,過料が科されたという話は聞いたことがありません。あくまで雑談の域を出ませんが,法務局の偉い方の研修に参加したときに,その方ですら過料に科されたケースを聞いたことがないと仰っていましたので,恐らくこれまでに過料が科された人はいないのではないかと思います。
 

つまり,相続登記が義務化されたとしても,刑罰として懲役や罰金が科せられるとは考えにくく,表示の登記と同様に過料に留まると思われ,実際のところ相続登記が義務化されてもそれほど強制力はありませんので,これをもって完全に解決するというのは難しいと思います。
 

上記のとおり相続登記をしてない土地は比較的財産価値が低い土地が多いです。しかしながら,現在の法律ではどんな無価値な不動産でも放棄することは認められていません。先日も,とある司法書士がご自身の親御さんの案件で,国に対して土地の所有権を放棄する旨の訴訟をしましたが敗訴しました。
もし,土地の所有権を放棄することができる(国や地方公共団体が引き取る)ようになれば,かなりの数が解決できると思うんですが,どうなんでしょうかねぇ。

なお,改正されるとしても来年以降の話になりますので,今後もまた情報が入りましたら更新していきたいと思います。

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1月 09 2019

自筆証書遺言の方式の緩和

本記事の作成は平成31年1月9日ですが,週末の1月13日から遺言書について少しだけ変更と言いますか,緩和された方式が始まります。

その他の変更点も踏まえて,まとめておきたいと思います。
 

 
 

自筆証書遺言とは

 

よく使われる遺言の方式としては,(1)公正証書遺言(2)自筆証書遺言の2つがあります。
 

弁護士さんや私ども司法書士などの専門家が関与する場合,少しでも紛争が生じること及び遺言書が無効になるのを防ぐために公正証書遺言で行うことがほとんどですが,専門家が関与しない場合は自筆証書遺言で作成されているケースもあります。
 

自筆証書遺言とは,文字どおり「自筆」で書く遺言書でなければなりませんので,パソコンで作成したり,第三者が作成したものは無効になってしまいます。
 

この点,「遺言者の遺産のすべてを●●に相続させる。」というような簡単なものであれば自筆で書くこともそれほど大変ではないと思いますが,「A不動産は甲さんに,B不動産は乙さんに,C銀行D支店口座番号●●●●の預金は丙さんに・・・」というように財産が多かったりするとすべてを自筆で書くのは大変ですよね。
 

ということで,今回少しだけですが「自筆」の部分が緩和されることとなりました。 
 

自筆でなくても良くなったもの

 

上記の例でいうと,「A不動産」や「B不動産」,「C銀行の預金」など,財産に関する目録については自筆で無くても良いこととなりました(ただし,財産目録に署名捺印が必要です。)。
 

「自筆でない」というのは,下記のようなものでもすべてOKとなります。
 

(1)パソコンで作成してプリントアウトしたもの

(2)遺言者ではない第三者が書いたもの

(3)登記簿謄本や通帳などの財産が分かるもののコピー
 

したがって,遺言書を作成する場合には,「遺言者は,遺言者の長男である甲に財産目録1番の土地を相続させる。」のように記載すれば良いこととなります。

注意点としては,あくまで自筆でなくても良いのは財産目録だけですので,上記の文章は自筆で記載する必要があります。 
 

自筆証書遺言に関する新設の制度

 
 

上記の財産目録に関する改正は,最初に記載したとおり平成31年1月13日からとなりますが,平成32年(2020年)7月10日から施行される新しい制度があります。それが,法務局における遺言書の保管制度です。

公正証書遺言の場合,原本は公証役場に保管されることとなっておりますが,自筆証書遺言によって作成された遺言書の保管方法は定められておりません。したがって,遺言者ご自身が貸金庫等で保管しても良いですし,相続人の方に預けても良いですし,食器棚にしまっても良いです。
 

とすると,場合によっては遺言書が第三者に変造されてしまう可能性がありますし,紛失してしまうことも考えられます。
 

そこで,法務局に遺言書を預かってもらうことができる制度が始まりました。さらに凄いのは,法務局が遺言書を画像データとして保管してくれることとなり,相続人がその写しの交付することができることに加えて,自筆証書遺言の最大のネックだった検認手続が不要となります。
 

上記の財産目録の緩和に加えて法務局の保管制度が始まると,公正証書遺言ではなく自筆証書遺言で進めるケースも多いかと思います。
 

当事務所では,自筆証書遺言作成のサポート等も行っておりますので,お気軽にご相談いただければと思います。

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12月 27 2018

年末年始の業務について

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12月28日の18時をもって本年の業務は終了となります。今年1年ありがとうございました。

当事務所の年末年始は下記のような予定となっており,当該期間中にいただいたお問い合わせにつきましては,原則として1/4に回答させていただきます。 
 

平成29年12月28日18時まで 通常業務

 
 

平成29年12月28日18時から平成30年1月4日午前9時まで お休み

 
 

平成30年1月4日午前9時から 通常業務 
 

それでは皆様,良いお年をお迎えください<(_ _)>

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