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4月 16 2019

事前通知について

権利書(登記識別情報通知を含む。以下同じ。)を紛失等し,申請の際に提供できない場合の代替手段として3つの方法が記載されております。

→ 権利書(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合
 

このうち,一番多く使われるのが司法書士等が作成する本人確認情報を提供して申請する場合だと思いますが,稀に事前通知を用いる場合があります。
 

先日,私自身が遺言執行者に就任し,登記義務者となって事前通知で進める機会がございましたので,今後,事前通知の具体的な流れを依頼者の方に説明させていただくために,画像付きでまとめておきたいと思います。
 

 
 

1 事前通知とは

 

そもそも事前通知とは何かというと,上記のとおり登記申請に際して権利書が必要であるにも関わらず紛失等で手元に無い場合に行う手続です。

権利書は,本人確認を行う上での重要な書類の一つであり,権利書を提供することで所有者等の権利者自身が手続に関与していることを示すことができます。逆に言えば,権利書が無くても権利者自身が手続に関与していることが確実なのであれば登記を進めても良いということになります。

そこで,登記申請後,法務局から本当に権利者自身が手続に関与しているのかの通知を送って確認し,問題なければ登記が完了することとなります。

登記が完了する前に法務局から通知が来るので「事前通知」という手続になります(不動産登記法第23条第1項)。
 

なお,上記の本人確認情報は,法務局が事前に通知して確認する代わりに,資格者代理人(通常は司法書士)が本人確認をすればほとんどのケースで事前通知はされず,そのまま登記が完了することになります。あくまで「ほとんどケース」というだけであり,法務局が本人確認の内容が相当でないと判断したときは事前通知はなされますが,私自身及び私の周りで司法書士が本人確認したのに事前通知がなされたというケースは聞いたことがありませんので,ある意味司法書士の本人確認が権利書の代替になると考えていただいても良いです。

その分,責任が重く,故意に虚偽の本人確認情報を提供した場合は,虚偽提供罪として2年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されることになっており,実際に実刑になった司法書士も存在します(不動産登記法第160条)。
 

したがって,司法書士が本人確認情報を作成する場合にはそれなりの報酬が発生することとなりますので,可能な限り権利書は紛失されませんよう大切に保管してください。 
 

2 事前通知と本人確認情報

 

権利書が無い場合,事前通知であれば費用はかかりませんので本人確認情報の出番は少ないように思われるかもしれませんが,現実的には本人確認情報を提供する場合が多いと思います。それは,大きなお金が動くためです。

売買を想定していただくと,Aさんが所有する土地をBさんに売却する場合,通常は,金融機関でBさんがAさんに対して売買代金を支払い,立ち会った司法書士が権利書等の必要書類を受領してすぐに登記申請を行います。

ところが,権利書が無い場合に事前通知の方法を執ったとすると,Bさんは売買代金を支払ったにも関わらず,確実に登記がされるとは限りません。なぜなら,法務局の事前通知の手続が残っており,Aさんが事前通知の手続を無視してしまうと登記は却下されてしまうからです。そうなると,Bさんは売買代金を支払ったのに登記ができないという恐ろしい事態に陥ってしまいます。

そこで,事前通知が終わってから売買代金を支払えば良いという考え方もあり,実際にこのような方法で売買手続を進めることもありますが,Aさんとしては売買代金をもらっていないのに権利書以外の重要な書類(印鑑証明書など)を提供する必要がありますし,所有権移転時期の特約が入っている場合に実際の登記の日と登記の日がずれることになってしまいます。

この点,本人確認情報を提供すれば,権利書を提供した時とほぼ同様に進むことになりますので,実際には本人確認情報を提供することが多いかと思います。

したがって,事前通知で進めるのは,特に新たな利害関係を生むわけではない抵当権抹消登記だったり,トラブルが生じる可能性が低い親族間の贈与や遺贈などに限られると思います。 
 

3 事前通知の具体的な流れ

 
 

(1)登記申請時
 

登記申請時においては,権利書を提供しないこと以外には特に変わることはありません。強いて言えば,抵当権抹消登記のように本来であれば印鑑証明書が不要な申請でも印鑑証明書が必要になる程度です。
 

(2)郵便局からの通知
 

登記申請をしてから1週間から2週間程度で,住所地宛に郵便局から「本人限定受取郵便」のお知らせが届きます。


 

(3)受け取り
 

上記書面及び免許証等の本人確認書類を持って通知のあった郵便局に受け取りに行くか,郵便局に連絡して自宅に配達してもらい,下記の本人限定受取郵便を受け取ります。「本人限定」となっておりますので,たとえご家族でも代理で受け取ることはできませんのでご注意ください。


 

(4)記入
 

中には,登記申請の内容が記載されており,この内容に間違いが無いか確認してください。問題ないようであれば,回答欄のご署名いただき,ご実印でご捺印ください。


 

(5)法務局への返送
 

この事前通知に関する書類には期限があり,法務局が発送してから2週間以内に法務局に届く必要があります(書面に期限の記載があります。)。

したがいまして,法務局に直接持参されるようであれば大丈夫だと思いますが,法務局に郵送する場合は余裕をもってご返送ください。特に,平成の終わりから令和の始まりにかけて長期連休がございますので,返送期限にご注意ください。
 

(6)登記の完了
 

上記の書面が法務局に到着すると登記手続が再開され,数日後に完了となります。
 

以上,事前通知についてでした。

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4月 08 2019

ブログ目次

売買に関すること

 
平成25年4月1日よりオンライン減税が無くなります
個人間売買について

農地の売買

住宅ローン減税(2012年版)

家賃と住宅ローンの金額「のみ」を比較してはいけません!

東日本大震災被災地域の不動産を取得した場合の例外措置

住宅ローンの固定金利と変動金利

裁判所の競売で購入する方法

土地区画整理組合が販売する保留地

不動産売買の決済当日に起こるトラブル

権利証(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合

住宅ローンの変動金利増加

住宅ローンは人生を賭けたギャンブル(になることもある

権利証に関する誤解を解消してみよう!
印鑑について

地面師と司法書士
司法書士を選びたい
土地を購入し,建物を新築する場合の登記費用について
登記識別情報通知書のシールは剥がすべきか
4月1日から変わるものと変わらないもの(不動産登記的に) 
「本人確認情報」と「権利証の再発行」は同じではありません。 
登録免許税の減税について 
平成29年4月1日からの各種減税措置  
地面師暗躍 
破産物件の購入 
住所のつながりを証明する書類 
 

贈与に関すること

不動産の贈与について

登記の持分と贈与税

相続が得か贈与が得か

権利証(登記識別情報通知書)を失くしてしまった場合

財産分与の登記について

相続時精算課税制度を使っての贈与
農地の時効取得 
認知症の方が所有されている不動産の売買・贈与 
贈与と遺贈  
不動産屋さんを通さない不動産の売買について 
地面師真っ盛り 
事前通知について 
 

相続に関すること

遺産分割協議に参加できない方がいるとき①

遺産分割協議に参加できない方がいるとき②

第3順位の相続は波乱となるので,その前に手を打つべき

「相続放棄」はプラスマイナスどっちも放棄です!

お葬式の費用は誰が負担するのか

知らない兄弟がいた!

相続が得か贈与が得か

嫡出子と非嫡出子の相続分の差は違憲(ただし,高裁決定)

「私の相続分は1/2ですよねぇ。」

相続登記の費用についての補足①

相続登記の費用の補足②

遺言を書いた人よりも先に相続予定者が死んでしまった場合

改正原戸籍

登録免許税や相続税等の改正

相続放棄ができなくなってしまう「法定単純承認」

非嫡出子相続分違憲決定など

亡くなる前に相続放棄

財産管理協会「認定司法書士」登録

自分の子どもではないにも関わらず認知した場合(最高裁判決)

遺産分割で問題となる事項(特別受益編)

遺産分割で問題となる事項(法律とは異なる取り扱いの銀行預金編)

遺産分割で問題となる事項(使途不明金編)
遺産分割で問題となる事項(国債編)
生物学的な親と法律上の親
遺産分割協議は早めの方がお得??
葬儀についての法律関係
一部の相続人からの預金の払い戻し 
認知症の方がいらっしゃる場合の相続(遺産分割) 
失くなった・間違った戸籍 
花押は押印ではありません 
未来につなぐ相続登記
「法定相続証明制度」の導入
遺贈の放棄
預金も遺産分割の対象に(最高裁判決) 
法定相続情報証明制度 
相続登記の登録免許税が無料になる(かも) 
相続財産管理人の選任
夫婦間における自宅の贈与の特例は得か 
相続登記の免税について 
配偶者居住権の新設
自筆証書遺言の方式の緩和
相続登記の義務化(?)
 

遺言に関すること

遺言でできること

自筆証書遺言と公正証書遺言

遺言のススメ

私の財産のすべてを息子に相続させたい
遺贈に関する注意点
一部の相続人からの預金の払い戻し
農地の時効取得 
遺言書の撤回 
「贈る」の意味と受遺者の相続人に対する遺贈 
 
 

抵当権抹消に関すること

住所変更登記が必要な場合と要らない場合
遙か昔の抵当権が残っている場合
休眠担保の特定が使えない(根)抵当権抹消
申請期限や有効期限のある書類
50年以上前の登記の抹消
登記完了証と登記事項証明書 
消滅時効を原因とした抵当権抹消登記手続訴訟 
休眠抵当権に関するページの追加について
されど住所変更登記
「敷地権」とは?

抵当権設定登記に関すること

「借り換え」の費用について 
 

その他

会社が知らないうちに無くなっているかもしれません。
大槌町及び南三陸町に行ってまいりました。
司法書士業務賠償責任保険
熊本地震により権利書等を紛失された方へ

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2月 08 2019

相続登記の義務化(?)

本日(2月8日)に以下のようなニュースがありました。

「土地の相続登記を義務化 所有者不明土地問題で」
 

ざっくり要約すると,土地の所有者が亡くなった方の名義のままになっており,公共事業などに支障が出ているため,相続登記を義務化しようというものです。
 

今日はこの点について簡単ではありますがまとめてみたいと思います。 
 

権利の登記は権利

 

不動産を取得した場合の「所有権移転登記」や住宅ローンを完済した後の「抵当権抹消登記」など,権利に関する登記をするかどうかは当事者に委ねられています。つまり,登記をするかどうかは権利であって義務ではありませんので,不動産を購入しても登記しなくても問題ありませんし,住宅ローンを完済しても抹消登記をしなくても罰せられることはありません。

もっとも,登記をしないと後々トラブルになることが想定されますので,実際には登記をされる方が多いと思います。
 

この点,山林や農地など,比較的利用価値が低い不動産については相続が起こってもでも欲しがらない方が多く,登記をしないまま何十年も経過しているということが多々あります。それが積み重なり,上記のとおり公共事業などに支障が出てきているということになります。具体的には,新しく高速道路を造ることになった場合,当然ながら土地の所有者の印鑑が必要となりますが,亡くなった方に印鑑を押してもらうことはできませんので,相続人を探し出して,全員の方から印鑑をもらう必要があります。それができればまだ良い方で,実際には相続人もすでに亡くなっていたり,行方不明になっていたりと,現実的に印鑑をもらえない状況が多くなってきています。 
 

義務化してもまとまらないのでは

 

上記のとおり,権利の登記は権利であって登記をしなくても問題ありませんが,「表示の登記」と呼ばれるものはすでに現時点で義務となっています。
 

表示の登記というのは,土地であれば地積(面積)や地目など,建物であれば種類や構造,床面積などが記載されている部分で,物理的な現況を示す登記です。例えば,畑を宅地にしたのであれば地目を宅地に変更しなければなりませんし,建物を新築したのであれば新築した旨の登記をしなければなりません。
 

もし,表示の登記を1ヶ月以内にしない場合,過料という罰金なようなものを科せられることになっており,義務を裏付けるものとなっております。
 

ところが,世の中には登記がされていな建物は無数に存在していますし,地目が変わっても変更していない土地も無数にあります。にもかかわらず,過料が科されたという話は聞いたことがありません。あくまで雑談の域を出ませんが,法務局の偉い方の研修に参加したときに,その方ですら過料に科されたケースを聞いたことがないと仰っていましたので,恐らくこれまでに過料が科された人はいないのではないかと思います。
 

つまり,相続登記が義務化されたとしても,刑罰として懲役や罰金が科せられるとは考えにくく,表示の登記と同様に過料に留まると思われ,実際のところ相続登記が義務化されてもそれほど強制力はありませんので,これをもって完全に解決するというのは難しいと思います。
 

上記のとおり相続登記をしてない土地は比較的財産価値が低い土地が多いです。しかしながら,現在の法律ではどんな無価値な不動産でも放棄することは認められていません。先日も,とある司法書士がご自身の親御さんの案件で,国に対して土地の所有権を放棄する旨の訴訟をしましたが敗訴しました。
もし,土地の所有権を放棄することができる(国や地方公共団体が引き取る)ようになれば,かなりの数が解決できると思うんですが,どうなんでしょうかねぇ。

なお,改正されるとしても来年以降の話になりますので,今後もまた情報が入りましたら更新していきたいと思います。

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1月 09 2019

自筆証書遺言の方式の緩和

本記事の作成は平成31年1月9日ですが,週末の1月13日から遺言書について少しだけ変更と言いますか,緩和された方式が始まります。

その他の変更点も踏まえて,まとめておきたいと思います。
 

 
 

自筆証書遺言とは

 

よく使われる遺言の方式としては,(1)公正証書遺言(2)自筆証書遺言の2つがあります。
 

弁護士さんや私ども司法書士などの専門家が関与する場合,少しでも紛争が生じること及び遺言書が無効になるのを防ぐために公正証書遺言で行うことがほとんどですが,専門家が関与しない場合は自筆証書遺言で作成されているケースもあります。
 

自筆証書遺言とは,文字どおり「自筆」で書く遺言書でなければなりませんので,パソコンで作成したり,第三者が作成したものは無効になってしまいます。
 

この点,「遺言者の遺産のすべてを●●に相続させる。」というような簡単なものであれば自筆で書くこともそれほど大変ではないと思いますが,「A不動産は甲さんに,B不動産は乙さんに,C銀行D支店口座番号●●●●の預金は丙さんに・・・」というように財産が多かったりするとすべてを自筆で書くのは大変ですよね。
 

ということで,今回少しだけですが「自筆」の部分が緩和されることとなりました。 
 

自筆でなくても良くなったもの

 

上記の例でいうと,「A不動産」や「B不動産」,「C銀行の預金」など,財産に関する目録については自筆で無くても良いこととなりました(ただし,財産目録に署名捺印が必要です。)。
 

「自筆でない」というのは,下記のようなものでもすべてOKとなります。
 

(1)パソコンで作成してプリントアウトしたもの

(2)遺言者ではない第三者が書いたもの

(3)登記簿謄本や通帳などの財産が分かるもののコピー
 

したがって,遺言書を作成する場合には,「遺言者は,遺言者の長男である甲に財産目録1番の土地を相続させる。」のように記載すれば良いこととなります。

注意点としては,あくまで自筆でなくても良いのは財産目録だけですので,上記の文章は自筆で記載する必要があります。 
 

自筆証書遺言に関する新設の制度

 
 

上記の財産目録に関する改正は,最初に記載したとおり平成31年1月13日からとなりますが,平成32年(2020年)7月10日から施行される新しい制度があります。それが,法務局における遺言書の保管制度です。

公正証書遺言の場合,原本は公証役場に保管されることとなっておりますが,自筆証書遺言によって作成された遺言書の保管方法は定められておりません。したがって,遺言者ご自身が貸金庫等で保管しても良いですし,相続人の方に預けても良いですし,食器棚にしまっても良いです。
 

とすると,場合によっては遺言書が第三者に変造されてしまう可能性がありますし,紛失してしまうことも考えられます。
 

そこで,法務局に遺言書を預かってもらうことができる制度が始まりました。さらに凄いのは,法務局が遺言書を画像データとして保管してくれることとなり,相続人がその写しの交付することができることに加えて,自筆証書遺言の最大のネックだった検認手続が不要となります。
 

上記の財産目録の緩和に加えて法務局の保管制度が始まると,公正証書遺言ではなく自筆証書遺言で進めるケースも多いかと思います。
 

当事務所では,自筆証書遺言作成のサポート等も行っておりますので,お気軽にご相談いただければと思います。

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12月 27 2018

年末年始の業務について

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12月28日の18時をもって本年の業務は終了となります。今年1年ありがとうございました。

当事務所の年末年始は下記のような予定となっており,当該期間中にいただいたお問い合わせにつきましては,原則として1/4に回答させていただきます。 
 

平成29年12月28日18時まで 通常業務

 
 

平成29年12月28日18時から平成30年1月4日午前9時まで お休み

 
 

平成30年1月4日午前9時から 通常業務 
 

それでは皆様,良いお年をお迎えください<(_ _)>

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10月 12 2018

【毎年恒例】会社が知らないうちに無くなってしまうかもしれません

去年も同様の記事を書いておりますが,重要なことなので今年も記載しておきます。

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株式会社は12年以上,一般社団(財団)法人は5年以上,何も登記をせずに放置すると消えてしまう可能性があります。

 
 

株式会社の場合は,取締役等の役員の任期が最長で10年と定められており,かつ,役員変更等があったときから2週間以内に登記申請をしなければならないこととなっております。同様に,一般社団法人等については,任期は2年となっております。

とすると,少し余裕をみて株式会社であれば12年一般社団法人等であれば5年もの間,何も登記がされていないとなると会社として存続していない可能性が高くなるため,強制的に会社が解散されてしまうこととなっております。なお,あくまで株式会社及び一般社団法人等に限った話ですので,(特例)有限会社,合同会社,合名会社,合資会社等,株式会社や一般社団法人等以外の会社や法人に関してはまったく関係ありません。というのは,これらの会社は任期を定めなくても良いこととなっているため,会社が運営されていても20年以上,登記がされないことも十分にあり得るためです。 
 

いつ解散させられてしまうのか

 
 

この強制的な解散は,随時行っているものではなく,年に1回公告をしたうえで毎年行っております。この公告が本日(10月11日)であり,2ヶ月後に強制的に解散させられることになります。 
 

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対象となっている場合はどうすれば良いのか

 
 

もし上記の条件に当てはまる場合で,かつ会社を存続させたい場合は管轄の法務局に対して「まだ事業を廃止していない」旨の届出を出すか,何らかの登記申請をすれば会社がまだ存続していることが分かりますので勝手に解散させられることはありません。

なお,仮に解散させられたとしても,事後的に「会社継続」の登記を行うことで復活させることもできますが,その分の登記費用がかかってしまいますので,対象になっている場合は早急に手続を行った方が良いかと思います。

ちなみに,下記の法務省のリンクによれば,平成29年度は18146社が解散となったようです。そうなる前にお手続きをお願いいたします。

→ 平成30年度の休眠会社等の整理作業(みなし解散)について(法務省)

→ 休眠会社・休眠一般法人の整理作業の実施について(法務省)

→ 官報公告(すぐに見られなくなります)

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7月 31 2018

配偶者居住権の新設

相続法が大改正され,新しい制度や大きく改正された制度がいくつかあります。
 

今後何回かに分けて,改正された点についてまとめていきたいと思います。
 


 

いきなりですが,具体的な事例を挙げてみます。
 

被相続人(亡くなった方)→ Aさん(夫)
相続人 → B(後妻),C(前妻との子)
 

Aさんが亡くなったときには,預貯金等のめぼしい財産は一切なく,唯一残されたのがAさん名義の自宅(3000万円相当)でした。
Aさんが亡くなるまで,Bさんも一緒に生活しておりましたが,Cさんはすでに結婚して別で家族を築いていました。
Bさんは,自身の預貯金は500万円程度であり,これを元手に自分が亡くなるまでは自宅で生活していきたいと考えておりましたが,前妻の子であるCさんは自宅を相続することを譲らず,相続について話し合いで解決するのは難しい状況でした。

このようなケースを前提として,新しく新設された配偶者居住権についてまとめたいと思います。 
 

今までは

 

相続人は後妻であるBさんと前妻の子であるCさんの2名であるため,法定相続分としては2分の1ずつとなり,遺産が自宅のみということであれば,自宅に対する持分を各自2分の1ずつ相続することとなります。
預貯金など簡単に分けることができる財産で有れば単純に分割すれば良いのですが,不動産の場合は,その後の管理や処分の問題があるため,遺産分割協議を行ったうえで,相続人のどなたかに相続させることが多いかと思います。
 

今回のケースの場合,遺産分割が行われるまでの間に関しては,とりあえずはBさんは居住し続けることができます。というのは,共有者である以上,自宅を利用する権限があるからです。また,平成8年12月17日最高裁判決により,少なくとも遺産分割協議がまとまるまでの間に関しては,Cさんに使用料などを支払うことなく居住することができることとされています。
 

この点,相続人間の関係が良好であり,特に揉めていないようであれば何も問題はありません。
 

しかしながら,今回のケースのようにもめているということであれば,いずれ遺産分割調停などを起こされ,遺産分割を迫られることは容易に想定できます。
 
 

遺産分割協議にしても遺産分割調停にしても,このような状況になれば法定相続分をベースに話し合いを行うことになるかと思われ,下記の2つが考えられます。
 

(1)自宅を売却したうえで,BさんとCさんで1500万円ずつ分ける(換価分割)。

(2)BさんまたはCさんが自宅を相続し,相手方に1500万円を支払う(代償分割)。
 

Bさんとしては今後も自宅で生活していきたいと考えているということであれば,上記(2)で自宅を相続することになりますが,Cさんに対して1500万円を支払わなければなりませんがそのようなお金を用意することができませんので解決ができません。

Cさんが相続し,Bさんとの間で賃貸借契約を締結するということも考えられますが,毎月の賃料の支払いが必要となりますし,Bさんは契約解除による退去のリスクがあります。

BさんとCさんとの間で,Bさんが相続するが,Bさんが死亡した場合にはCさんに遺贈する内容の遺言書を書くことで合意するということも考えられますが,遺言書はいつでも書き換えることができますので,Cさんに大きなリスクがあります。 
 

配偶者居住権とは

 

配偶者居住権とは,「配偶者である相続人が,被相続人の遺産である建物を無償で使用及び収益することができる権利」です。

したがって,上記のケースにおいては,自宅はCさんが相続するものの,Bさんは一生無償で自宅で生活することができます
 

これにより,賃貸借契約と異なり,Bさんは契約の解除によって退去しなければならないというリスクを負わなくて済みますし,CさんとしてはBさんから遺贈を受けるのではなく,Aさんの自宅をすぐに相続することができますので,遺言書の書き換えのリスクを負うこともなくなります。 
 

配偶者居住権が成立するための条件

 

配偶者居住権が権利として成立するためには,以下の条件が必要となります。
 

(1)被相続人が亡くなった時点で,被相続人が所有する自宅に配偶者が居住していたこと。

→被相続人が死亡した時点で配偶者が自宅に居住していなければなりません。もし別居していたということであれば,自宅以外の生活の本拠が存在するということになるますので,配偶者居住権を認める必要がないからです。
 

(2)下記のいずれかにより配偶者居住権を取得すること

①被相続人が配偶者居住権を遺贈したとき

遺産分割協議により配偶者が配偶者居住権を取得することとされたとき(遺産分割調停,遺産分割審判を含む)

③被相続人と配偶者との死因贈与契約において,配偶者居住権を取得することとされたとき 
 

配偶者居住権の効果

 

配偶者居住権が認められた場合,以下の効果が生じます。

(1)被相続人の配偶者は,自己所有ではない自宅に無償で居住することができる。
→賃貸借契約と異なり,賃料の支払い義務はありません。ただし,下記のとおり必要費を負担しなければなりません。

(2)配偶者居住権を第三者に対抗するために,所有者に対して登記をするよう請求することができます。
→当事者の合意次第とはなりますが,一般的には配偶者側が登記費用を負担することになると思います。 
 

一方,下記の注意点もあります。
 

(1)配偶者は自宅を維持するための必要費を負担する義務を負います。

→自宅に居住し続ける以上は,それに伴う費用は負担するのが当然だからです。
 

(2)配偶者居住権を第三者に譲渡することはできません。

→ 配偶者のみに認められた権利であるためです。
 

ポイントとしては,配偶者居住権は登記が対抗要件となっていることです。賃貸借契約は「引渡し」が対抗要件,つまり居住している事実そのもので第三者に対抗することができますが,配偶者居住権は,登記がされていないと第三者に対抗することができます。
 

上記のケースにおいて,配偶者居住権の登記をしない間にCさんが第三者に自宅を売却してしまうと,当該第三者からBさんは退去を迫られることになってしまいます。

配偶者居住権を取得する場合は,配偶者居住権の登記もセットになるかと思いますので,お気軽にご相談いただければと思います。

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4月 02 2018

相続登記の免税について

条件を満たすと,相続登記の際に納める登録免許税が無料(免税)になることになりました。実際のところ該当する事案がそれほど多いようには思えませんが,それでも免税になるのは相続登記の推進に関しては良いことだと思います。 

この件については,以前まだ法案だった頃に記事を書いたのですが,少し内容が変わっておりますので再度まとめたいと思います。
 


 
 

今回免税になる相続登記は2つのケースがありますが,1つはほとんどの方に関係がなく,かつ,あまりメリットもないため割愛し,影響がありそうな方のみ記載いたします。
 

①相続の対象が土地であること。
 

登記が絡んでくる時点で,ほぼ土地か建物になる訳ですが,免税の可能性があるのは土地のみです。
 

②原因が相続または遺贈であること。

あくまで相続の際の免税措置であるため,名義変更の原因は相続または遺贈でなければなりません。ただし,遺贈に関しては相続人に対する遺贈に限定されますので,第三者に対する遺贈は免税されません
 

③所有権の登記名義人の相続人がすでに亡くなっていること(二次相続が生じていること)

すべての相続登記が無料になるわけではなく,相続登記をしないままに相続人も亡くなってしまった場合である必要があります。

例えば,土地の所有者として登記されているAさんが死亡し,その相続人がAさんお子どもであるBさんただ一人でしたが,Bさんもその後死亡しており,そのBさんの相続人C(孫)がいる場合ということになります。なお,分かりやすい事例として子や孫を登場させただけであり,中間の相続人が死亡していれば配偶者,甥や姪などにも適用されます。
 

④亡くなった相続人名義にすること

上記の例で言うと,Aさん名義の土地を亡Bさん名義に変える相続登記に関する登録免許税が免税されます。

したがって,いったんBさん名義に変えた後に,Cさんに変える場合には登録免許税はかかりますし,各種条件を満たしてAさんから直接Cさんに相続登記する場合には免税になりません
 

⑤決められた期間内に登記申請をすること

平成30年4月1日~平成33年3月31日までに登記申請をしなければなりません。

なお,この期間内に申請をすれば良いだけであって,所有者や相続人が亡くなった日は関係ありません。

以上から,①土地の,②相続または遺贈で,③所有者の相続人も亡くなっており,④その亡くなった相続人に名義を変える登記を,⑤一定期間内に申請する場合,に免税されることとなります。
 

なお,あくまで登記申請の際の登録免許税が免税されるだけであり,役所等で取得する戸籍謄本等の取得費用が無料になるものではありませんし,司法書士にご依頼された場合の手続に関する報酬が無料になるものでもありませんのでご注意ください。

以上については,法務省のサイトにも記載してありますので,こちらもご覧ください。

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3月 30 2018

住所のつながりを証明する書類

登記における所有者等の特定は,住所と氏名で行います。 

例えば,平成20年にA市B町1番地に住む甲野太郎さんが不動産を購入した場合,登記簿には,
 

住所 A市B町1番地

氏名 甲野太郎
 

と登記されています。
 

平成30年になり,甲野さんが不動産を売却する際に,甲野さんがC市に転居している場合,当該不動産を売却する登記の際に提出する甲野さんの印鑑証明書には当然ながらC市の住所が記載されていますので,登記簿に記載されている甲野太郎さんと今回登記手続に関与している甲野太郎さんは別人だと判断され,売却に関する名義変更の登記(所有権移転登記)申請は却下されることになります。
 

そこで,まずは登記簿に記載されている甲野さんの住所をA市からC市に変更する登記を申請し,その後に売買による所有権移転登記を申請することになります。
 

一見,単なる住所の変更なので簡単なようですが,実は奥が深く,場合によってはかなりややこしい手続だったりするので,今回はこちらについてまとめてみたいと思います。
 

 
 

住所の変更は基本的には住民票

 

(1)住所移転が1回

上記の例で言うと,甲野太郎さんは現在お住まいのC市の住民票を取得すれば「前住所」の欄に「A市B町1番地」という住所が記載されていますので,C市の住民票があれば簡単に証明できます。
 

(2)同じ市内(区内)で複数回の住所移転

A市の中でB町,C町,D町,E町と複数回の住所移転がある場合,最新のA市E町での住民票を取得しても前住所としてはD町の住所しか記載されていないことがありますので,これだけでは証明ができません。この場合,履歴が載っている住民票を請求するとすべて記載されている場合があります

具体的には,名古屋市名東区内で複数の移転があった場合,名東区内でのすべての住所が履歴として記載されています。ただし,他の区での履歴は記載されないため,同じ名古屋市内でも区が変わってしまうと,次の(3)以降のケースで住所を繋げるしかありません。
 

(3)異なる市内(区内)での複数回の住所移転

A市→B市→C市と住所移転をしている場合,C市の住民票を取得しても前住所としてはB市の住所しか記載されていないのでA市とのつながりが分かりません。

そこで,次にB市にて住民票除票を請求すると,そこには,「前住所」の欄にA市の住所が記載されており,さらに転出先の住所としてC市の住所が記載されているため,A市→B市→C市のすべてのつながりが証明できることになります。
 

しかし,この住民票除票は転出等により除票になったときから5年が経過すると消除(抹消)されてしまい取得することができなくなります(住民基本台帳施行令第34条1項)。

つまり,本日の平成30年3月30日で考えると,B市からC市に転居したのが平成25年3月30日よりも前だった場合,B市に行ってもすでに住民票除票は消除されているため,取得することができなくなります。

なお,一部の市区町村においては5年以上前の除票でも取得できる場合がありますが,あくまで例外ですので過度の期待はできません。少なくとも名古屋市では絶対に出ませんので別の方法を考える必要があります。
 

(4)戸籍の附票で繋げる

同じ本籍地にある期間に住所移転した場合,その住所の履歴が記載されているものが戸籍の附票という書類です。

例えば,A市B町1番地に本籍地がある方が,本籍地を変えないまま,A市→B市→C市→D市と移転した場合,年数に関係なくすべての住所移転の履歴が記載されていますので,戸籍の附票だけですべての住所を繋げることができる場合があります。
 

ただし,あくまで同じ本籍地内での住所移転しか記載されませんので,転籍により本籍地が変わった場合はそこで途切れてしまいますし,結婚や離婚などにより新しく戸籍が作成された時も途切れてしまいます。加えて,最近よくあるのが電算化(簿冊→コンピューター化)による改正で役所によって勝手に戸籍が作成されている場合です。この場合も途切れてしまいます。

そして,何より厳しいのが,転籍,結婚や離婚,電算化などによって新しく戸籍が作成された場合,従前の戸籍の附票についても住民票除票と同様に5年経つと消除されてしまって取得することができなくなってしまいます。

平成に入り,多くの役所において戸籍の電算化が進んでいますので,昭和時代の住所移転については戸籍の附票で証明することが難しくなっています
 

(5)最後の手段の申述書(上申書)

このように,役所で取得できる書類については保存期間の経過により取得できないこともありますので,完全に住所の繋がりを証明することができないケースもあります。そのような場合には最後の手段として,申述書による自己証明が認められています。

これは,「私は,A市→B市→C市→D市と住所移転をしているところ,A市からB市への住所移転については保管期間の経過について証明することができませんが,登記簿に記載されている甲野太郎は私であることに間違いありません。」というような趣旨の書類を出すことで住所移転登記を認めてもらうということです。
 

もっとも,申述書だけで認められるわけではなく,所有者であることに間違いないことを証明する資料(権利証や固定資産税の納税証明書)を提出したり,「不在籍・不在住証明書」などを提出することもあります。
 

(6)住所移転によらない変更

市町村合併による住所の変更や住居表示実施による変更など,役所の都合で住所が変わる場合があります。

この場合でも住民票で証明することもありますが,役所で変更の証明書が無料でもらえますので,こちらで証明していくことになります。 
 

氏名変更は基本的には戸籍

 

住所と異なり,氏名変更は戸籍謄本等を取得すればすべて繋がります。

氏が変わる場合としては,結婚や離婚が一番多いかと思いますが,その旨はすべて戸籍に記載されています。また,養子縁組によって氏が変わることもありますが,これもまた戸籍に記載されています。さらに,家庭裁判所の許可を得て,氏や名が変わることがありますが,これもまた戸籍に記載されます。
 

そして,戸籍や除籍,改正原戸籍など過去の戸籍については,住民票除票の5年とは異なり,戸籍謄本は永遠に,除籍謄本や改正原戸籍は150年間保存されているため,取得できないケースはあまり多くありません。
 

もっとも,戦災により焼失していたり,すでに保存期間経過で廃棄されている場合(平成22年までは除籍等の保存期間は80年でした。)には,上記のとおり申述書等によって証明していくことになります。
 
 

ということで,住所や氏名の変更は結構地味な登記なのですが,この登記をしないと名義が変えられない重要な登記だったりしますし,結構奥が深いものです。

なかなか住所変更登記にお困りの方は多くないと思いますが,もしお困りの場合はぜひご相談ください。

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2月 27 2018

夫婦間における自宅の贈与の特例は得か

夫婦間でのご自宅の贈与のご相談をお受けすることがありますが,基本的にはあまりお勧めはしておりません
 

というのは,将来的に相続が生じたときと比べて費用がかなり高くなるからです。とはいえ,まったくメリットが無いわけでもないので,金銭的な面も踏まえてまとめておきたいと思います。
 

 

相続税と贈与税

 
人が亡くなると相続が発生し,配偶者や子どもなどの相続人が遺産を相続することになります。

その際,亡くなった方の遺産が多いと相続税が発生するんですが,配偶者の場合は1億6000万円まで無税で相続することができます。一般的に,なかなか1億6000万円もの遺産をお持ちの方は少ないかと思われますので,多くの方が配偶者に関する相続税はかからないこととなります。
 

また,小規模宅地の場合は8割減で評価してもらえるという特例がありますので,1億円の不動産だった場合は2000万円で評価してもらうことができます。
 

一方,贈与に関しては,基礎控除の110万円を超える部分については贈与税がかかってしまいますが,夫婦間の贈与の場合は下記の条件を満たすと2000万円まで(基礎控除も含めると2110万円まで)は贈与税が無税となります。

夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
 

配偶者から贈与された財産が,自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
 

贈与を受けた年の翌年3月15日までに,贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり,その後も引き続き住む見込みであること
 

同一の配偶者からの特例をすでに使っていないこと(同一の配偶者間では一生に1回のみです)
 

また,この特例は自動的に適用されるわけではありませんので,戸籍謄本等の必要書類と併せて贈与税の申告をする必要があります。

ということで,遺産が1億6000万円以下の方については,わざわざ贈与しなくても相続の時に無税で取得することができますので,贈与に関してのメリットはあまりありません。 
 

不動産取得税

 
不動産を取得した場合,一度だけですが不動産取得税という都道府県税が課され,原則として固定資産税評価額の3%が課されます。したがって,一般的な戸建住宅だと数十万円程度かかりますし,比較的小さめのマンションでも10万円以上かかることが多いかと思います。

ただし,様々な特例があり,土地に関しては宅地だと半額で評価されたり,居住用住宅だと評価額から一定額控除されたりします。
 
この不動産取得税ですが,贈与の場合は課税されるものの,相続の場合は課されないことになっています。

したがって,この点からも贈与よりは相続の方が費用がかからないこととなります。 
 

登録免許税等の登記費用

 
不動産の名義を変える場合,法務局に登録免許税という税金を納めなければなりませんが,名義を変える理由(原因)によって税率が異なります。
 
この点,贈与に関しては不動産の評価額に対して2%であるのに対し,相続の場合は0.4%とされています。実に5倍違いますので,圧倒的に相続の方が得です。

ただし,贈与に関しては贈与契約書があれば良いものの,相続の場合は亡くなった方の戸籍謄本等が必要になりますので,評価額が高く無い不動産の場合は相続の方が費用がかかる可能性もあります。 
 
 

それでも贈与を行う場合

 
上記のとおり,費用的には相続の方が得であることが多いのですが,以下のような場合には贈与をすることが考えられます。
 

1 相続人間で揉める可能性がある

相続の場合は,基本的には相続人間で話し合い(遺産分割協議)を行い,最終的にまとまった内容の遺産分割協議書を作成します。ここには相続人全員の実印+印鑑証明書が必要となりますので,相続人のうち1名でも協力しない人がいると名義を変えることができません。一方,贈与は夫婦だけで進めることができ,子どもや親など,他の親族の協力は必要ありません。

したがって,相続になったときに揉める可能性があるようであれば贈与をしておくということも考えられます。
 

2 贈与者がリスクのあることを始めようとしている

例えば,夫が定年退職後に一念発起して商売を始めようとしている場合に,もし商売に失敗してしまうと夫名義の自宅を差し押さえなどによって失う可能性があります。したがって,商売を始める前に妻名義に変えておくことで最低限自宅だけは守るということができます

なお,上記の場合,妻が金融機関からの融資などで連帯保証人になっている場合や妻名義にした後に自宅を担保として入れてしまうと自宅は守れなくなってしまう可能性はあります。また,商売を始めて業績が悪くなった後に名義を変えた場合は,贈与が詐害行為となり,取り消される(夫の名義に戻る)可能性があります。
 

3 1億6000万円以上の遺産がある

上記のとおり,配偶者は1億6000万円までは非課税となりますが,それよりも多額の遺産がある場合は贈与した不動産の分だけ相続税を得することになります。

 

4 現金で贈与する場合

上記の不動産取得税,登録免許税はあくまで自宅そのものを贈与する場合であり,自宅の購入や建築費用としての現金を贈与する場合には課されません。

 
5 お金じゃないよ,気持ちだよ
贈与税がどうとか不動産取得税がどうとかではなく,長年連れ添った配偶者に対して感謝の気持ちをモノとして現したい,という場合です。素敵なことだと思います。
 
 

以上のとおり,単に「夫婦間の自宅の贈与は税金がかからない特例がある!」とは言っても,あまりメリットがない場合もありますので,一度司法書士や税理士さんなどにご相談いただいてから進められた方が良いかと思います。

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