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3月 28 2016

消滅時効を原因とした抵当権抹消登記手続訴訟

最近,抵当権抹消登記訴訟のお問い合わせをいただく機会が多いため,先日当事務所が代理人として訴訟手続等を行った事件を基に,大体の流れを記載いたします。 

こちらをお読みいただければ,手続の開始から終了までの大体の流れがお分かりいただけるかと思います。 
 

 
 

登記簿の調査

 

抵当権の抹消登記を行う場合,登記簿に記載されている抵当権者から抹消登記のための書類をいただくのが原則です。ただ,遥か昔の登記となるとすでに抵当権者が亡くなっていることが多く,その場合は抵当権者の相続人を探し出す必要があります。そして,その相続人の方も亡くなっていればその相続人,また亡くなっていればその相続人・・・というように時間が経てば経つほど関係者が多数になっていくことになります。
 

ということで,まずはどなたが抵当権者になっているのか登記簿謄本(登記事項証明書)を取得して調査を行います。多くのケースで抵当権者は1名(1社)なのですが,先日行った事件では抵当権者が5名だったため,抵当権者全員または抵当権者5名の相続人全員を探し出す必要がありました。
 

なお,すでに弁済期から20年以上経過しているので,休眠担保の特例を使える可能性もありましたが,その事件では債権額が100万円と高額でしたので当初から特例の利用は考えていませんでした(特例を使う場合は20年分以上の利息を支払う必要があり,利息だけで数百万円になる計算になります。)。もっとも,特例を使うためには抵当権者が行方不明であるという要件もありますが,抵当権者の相続人がいることはわかっていましたので,いずれにしても特例の利用はできませんでした。  
 

抵当権者の調査

 

さて,抵当権の抹消関係書類にご署名等をいただくためには,相続人全員を探し出すため戸籍謄本等を取得する必要があります。
 

調査の結果,抵当権者5名中3名の方の相続人は探し出すことはできたものの,残る2名の方についてはまったくわかりませんでした。ちなみに,相続人の総数はその時点で判明しているだけで約25名となりました。  
 

まずはお手紙

 

相続人の方に対して,抵当権抹消登記について協力をお願いする手紙を発送いたします。

 
行方不明の方がいる時点で抵当権者の相続人全員から書類をいただくという選択肢が無くなったので,基本的には相続人の方全員を相手として訴訟を行うこととなります(行方不明者が1人でもいれば訴訟を提起せざるを得ませんし,行方不明者がいなくても訴訟になることが大多数だと思います。)。
 

ただ,いきなり訴訟を起こされてしまうと相手の方も驚いてしまいますし何より失礼ですので,手紙には今回の手続の説明に加えて,「金銭的にも時間的にも何らご迷惑を掛けることはありませんので安心してください。疑問点などがあれば誠心誠意回答させていただきますのでお問い合わせください。」という趣旨の事が記載されています。
 

この手紙を送っても,私の経験上,大体1割程度の方には書類が届かず,上記事件についても3名の方に書類が届きませんでした。また,2~3割程度の方から手紙についての質問の連絡をいただきますが,説明させていただくとみなさん安心して電話を切られます。  
 

訴訟提起

 

相続人全員の方を相手として訴訟を提起いたします。凄く細かい話ですが,訴訟を提起する際は,訴訟の相手(被告)となる方全員分の訴状を作成して裁判所に持参します。つまり,今回の場合だと25通以上の訴状やら証拠書類を提出することになります。しかし,訴状に誤字や脱字があったり訂正があったりすると,すべての書類を訂正する必要がありとても大変です。そこで,裁判所に対してまずは1通のみ訴状等を提出し,定型的な審査が終わった後に,残りを提出することになります。  
 

裁判官からの呼び出しと取下げ

 

後にも先にもこの1回だけなのですが,訴訟の期日の数日前に裁判官から打ち合わせがしたいと言われ裁判所へ行きました。
 

内容としては,相続人が見つけられなかった抵当権者について,裁判官としては確実に亡くなっていると判断しているので,相続人の有無をもう少し調べてほしいというものでした。とすると,次の裁判期日には調査が確実に間に合いませんので,いったん取り下げることとしました。  
 

再度の調査

正直なところ,役所等で行うべき調査はすべて行っていたので,あとはもう現場に行くしかありません。そこで,登記簿に記載されていた古い住所を基に現在の住所地に赴きました。すると,同じ苗字の家がありましたのでまったくのアポなしで訪ねてみたところ,まさかの抵当権者の子孫の方であり,今回の件について説明させていただきました。当初は,間違いなく不審な目で見られていましたが,とりあえずこちらが進めようとしていることについては理解していただけたと思います。この時,積極的にご協力いただける旨の回答はありませんでしたが,何もしなければ勝手に抵当権が消える流れになるということについては特に異論はないとのことでしたので,事実上,ご協力いただけたと思います。同様に,もう1人の方も見つけることができ,これで抵当権者5名全員の相続人が見つかりました。  
 

再度の訴訟提起と登記申請

 

改めて訴訟を提起したところ,2か月程度先に口頭弁論期日が設定されました。そして,口頭弁論期日には被告は誰も出頭せず,即日結審となり,1週間程度経って無事勝訴判決が出されました。
 

勝訴判決が確定すると抹消登記を行うことができるため,勝訴判決の確定を待って法務局に申請し,無事完了となりました。
 

なお,裁判手続及び登記申請手続に際して,依頼者の方に裁判所や法務局へお越しいただく必要はありません(ただし,140万円以下の抵当権の場合。)。  
 

かかった時間と費用

 

上記の事件だと,相続人の人数も多く,日本全国さまざまなところにいらっしゃったため,戸籍等の調査に2か月程度かかっています。
 

そこから,お手紙を作成して発送し,1か月程度回答を待ちます。
 

その後,訴訟提起し,通常であれば判決まで2~3か月程度だと思いますが,上記の事件だと1回取り下げているため,1か月程度余分に時間がかかっています。
 

勝訴判決が出てから確定するまで大体1か月程度かかり,登記手続は1週間程度で完了となります。
 

以上から,抵当権抹消登記が完了するまでは,相続人の人数などにもよりますが,調査の開始から抵当権の抹消登記完了まで大体半年前後ではないかと思います。
 

また,かかる費用についても相続人の人数が大きく影響しますが,戸籍謄本等の取得費用などの実費及び当事務所の報酬を含めて大体30~50万円程度であり,上記の事件は相続人が多かったため45万円程度でした。

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