3月 01 2017
登録免許税の減税について
こちらのページで簡単に紹介させていただいているとおり,一定の条件を満たすと登記の際の登録免許税が大幅に減税されます。
→ 減税のための条件
ただ,実際にはここで紹介させていただいている条件以外にも細かな条件があったりしますので,ここでまとめておきたいと思います。
どのような減税措置なのか
住宅用の家屋を取得を促進するため,一定の条件を満たした場合に登記の際に以下のとおり減税されます。
①建物保存登記
建物を新築した場合,本来であれば登録免許税は建物の評価額の0.4%となっておりますが,一般的な住宅の場合は0.15%に,長期優良住宅の場合は0.1%に減税されます。
②所有権移転登記
いわゆる建て売りの物件だったり中古の戸建て住宅を購入する場合,本来であれば登録免許税は評価額の2%となっておりますが,一般の住宅であれば0.3%に,長期有料住宅であれば0.1%に減税されます。本来の税率の約1/7~1/20ですので,かなり大きな減税になると思います。
③抵当権設定登記
住宅を購入される方の多くが住宅ローンを組まれると思いますが,その際の抵当権設定登記について,本来であれば登録免許税は融資額の0.4%のところ0.1%に減税されます。
減税のための一般的な条件
減税のための条件のページより細かく条件を記載いたします。
①戸建ての家またはマンションを購入する場合であること
つまり,新築の家を建てるために土地を購入した場合は残念ですが土地の購入に関する所有権移転登記や抵当権設定登記に関しては減税されません。
また,戸建ての一軒家(新築建売や中古物件問わず)を購入された場合やマンションを購入された場合でも,土地(敷地権)の所有権移転登記部分については減税されません。ただし,抵当権設定登記の登録免許税に関しては土地と建物の両方を購入するためのローンであっても全額減税されます。
さらに,取得の原因は「購入」に限られておりますので,「売買」または「競落(不動産競売で落札)」のみとなります。したがって,相続,遺贈,贈与,財産分与,共有物分割などの原因の場合は減税されません。
②購入される方がその建物に住むこと
そもそもこの減税措置は住宅用の家屋を購入する場合に減税されるものであるため,いわゆる別荘だったり賃貸用の投資物件を購入された場合には減税されません。
したがって,購入された方がその物件にお住まいになる必要があります。つまり,住民票を当該物件の住所に移す必要があります。なお,事後的に転勤や買い替えなどでその物件の住所から移転したとしても,減税分を納め直す必要はありません。また,住む予定ではあるものの何らかの事情で登記の時に住民票が移せない場合にはその理由を記載した申立書を提出することで認められる場合があります。
③建物の床面積が50㎡以上であること
あまりにも小さいワンルームのようなマンションの場合は減税されませんが,ほとんどの戸建てやマンションはこの条件は満たしていると思います。
④購入する建物が建築してから所定の年数以内であること
基本的には,新築されてから20年以内の建物しか減税されないものの,下記構造の建物に限り25年以内であれば減税されます。
※石造・れんが造・コンクリートブロック造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造
マンションの場合は鉄筋コンクリート造または鉄骨鉄筋コンクリート造であることがほとんどであるため,マンションについてはほぼ25年であることが多いのですが,戸建ての場合だと木造や軽量鉄骨造の場合が多いため20年であるケースが多くなります。
なお,この日付は建築年月日の日付で判断するため,建築日からちょうど20年であれば減税されるものの1日でも超過してしまうと減税されなくなってしまいます。
⑤併用住宅の場合は床面積の90%超が居宅であること
条文では,「専ら個人の住宅に供する建物」と規定されており,この「専ら」が90%ということになります。
したがって,事務所兼自宅を建築された場合に,事務所部分が10%未満であれば減税されることとなります。
なお,減税されるのは居宅部分ではなく事務所部分も含めたすべてについて減税されますが,居宅部分が90%以下の場合は,居宅部分についてもすべて減税されないということになります。
ここからは,手続的な条件です。
⑥住宅用の家屋であることの証明書を役所から取得すること
名古屋市であれば市税事務所,他の地方自治体であれば役所の税務課で取得することができます。ほとんどの自治体で手数料は1300円となっております。
⑥1年以内に登記すること
建物を新築して,または建物を購入して1年以内に登記しなければ減税されません。
特殊なケースあれこれ
①共有の場合
夫婦や親子など親族と共同で購入することがあるかと思います。この場合,購入される方全員がその物件にお住まいになるようであれば何も問題ありませんが,共有者の一部が当該物件に住まないケースもあります。その場合は,住む方の共有持分に限り減税されることになります。したがって,子どもの持分が2/3,親の持分が1/3で子だけが住むという場合は,2/3に限り減税されることとなります。
②共同住宅の場合
アパートを購入し,そのうちの一部屋に住むという場合は,「専ら個人の住宅に供する建物」ではないため減税されません。
③建築から20年または25年を超過している場合
基本的には減税されませんが,建築士さんなどが発行する「耐震基準適合証明書」があれば,期間を超過していても減税されます。
④いわゆる借り換えの場合
マイナス金利の影響などで,住宅ローンの借り換えをされるケースがあるかと思いますが,この場合は,「新築または取得するための資金の貸付」ではないため,減税はされません。
⑤貸主が金融機関以外の場合
一般的には住宅ローンを組む際は銀行や信用金庫などの金融機関から借り入れると思いますが,特に貸主に関する制限はありませんので,例えば親から購入資金を借り,親名義で抵当権を設定する場合でも減税されます。
⑥根抵当権の場合
上記のとおり,「新築または取得するための資金の貸付」に限定されているところ,根抵当権だと債権の内容が特定できないため減税されません。
このほかにも様々な細かい条件がありますが,多くの場合は上記内容で解決できると思います。
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