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3月 29 2011

保証金の償却(敷引き)の有効性について

3:23 PM ブログ

マイホームを購入されている場合は,賃貸マンション等にお住まいの方も多いと思います。また,逆の立場で親族が所有されていたアパート等を相続し,大家さんになることもあろうかと思います。そんな賃貸借契約(敷引き)に関する最高裁判決がありました。

最高裁サイト
判決全文(PDF)  

 
 

端的に言うと,敷引きの金額が高額過ぎる場合には特段の事情がない限り無効だけど,常識的な金額であれば無効ではないというものです。  

 

この判例の解説をするために,前提知識がいくつか必要となります。

敷引き
賃借人が敷金・保証金等を入れている場合に,退去の際に問答無用でいくらか差し引かれてしまうという制度・慣習。

消費者契約法10条
消費者と事業者との契約で消費者の利益を一方的に害する,もしくは,一方的に不利益を与えるような契約はいくら契約書に書いてあっても無効ですよ,という法律。
なぜなら,一般市民と関連法令等を熟知したプロである事業者との間には情報格差があるため,一般市民の権利・利益を保護する必要があるためです。

通常損耗
畳とか壁紙の損傷など日常的に生活していれば当然傷ついていくもの。
ちなみに,通常損耗かそうでない損耗かを区別するためのガイドライン(東京ルール)があり,概ね裁判所もこれに従っています。
東京都都市基盤整備局

原状回復義務
退去する際には,借りた当初の状態で大家さんに明け渡す義務があります。例えば,賃借人の不注意でガラスを割ってしまったとかドアに穴をあけてしまったという場合には,賃借人は自身の責任で修理した上で明け渡す義務があります(通常損耗であれば修理する必要はありません)。 

 

以上を前提に判例を解説します。

まず,当然ですが,賃借人は大家さんに対して毎月家賃を支払っていると思います。また,退去するときには上記の通り原状回復をして明け渡す義務があります。ところが,大家さんとしては賃借人がちゃんと家賃を払ってくれないかも知れないし,退去するときの原状回復をせずに夜逃げのような形で逃げてしまうことも想定されますので,そのための担保として敷金や保証金という名目で一定程度のお金を受領していることがあります(なお,原状回復の場合には,明け渡し前に賃借人で直すのではなく,原状回復をせずに原状回復にかかる費用を敷金で清算することが一般的だと思います)。

 

そして,実際に賃借人が家賃を延滞して夜逃げをした場合などは,この敷金等から充当されることになります。逆に言えば,延滞もなく,原状回復もちゃんと行えば原則として敷金は全額返還されることとなります。

 

ところが,この敷引きという制度は,延滞等がなくても一定割合もしくは一定金額を無条件に控除するという制度ですので,消費者契約法10条に違反するようにも思えます。だって,延滞もしていないし原状回復もしているのに,敷金からいくらか差し引かれてしまうということは,一般消費者である賃借人に一方的に不利益を与えるような契約だからです。 

 

 

そこで,大家さんとしては,敷引きは通常損耗分について受領しているのだから賃借人に一方的に不利益を与えているわけではない,と反論します。 

 

この点について説明すると,上記の通り,日常的に生活していれば畳や壁紙が汚くなるし,壁に画鋲などで穴があいたりすることはあります。そして,大家さんとしてはそれを直す費用も踏まえて家賃を設定していると考えられているので,通常損耗の原状回復に関する費用を別途請求することはできません。これを認めてしまうと,家賃の中に含まれている通常損耗修復分と原状回復名目での通常損耗修復分として二重取りになってしまうからです。
しかし,通常の家賃には含んでおらず,通常損耗分は別途請求すると契約書に明示されているのであれば二重取りにはならないことになりそうです。 

 

 

以上について,最高裁は一般常識的な金額の敷引きは通常損耗分について受領しているものと解釈し,敷引きは賃借人に一方的に不利益を与えるものではないとして,家賃の2~3.5倍程度の敷引きは有効であると判示しました。
もっとも,この判例は2~3.5倍程度の常識的な金額の敷引きを有効としただけなので,例え契約書に記載があったとしても,家賃が5万円とかなのに,敷引きとして家賃の10倍である50万円も敷引きとなると,明らかに通常損耗分を超えた余分な費用を受領していることになり,この部分については一方的に不利益を与えるものとなって無効になってしまうと思われます(ただし,最高裁が何倍までならOKとはハッキリ言っていないため,絶対に無効になるかはわかりません)。
また,一般常識的な金額だったとしても礼金等の一時金的なものを受領している場合にも,それが通常損耗分に充当する性質を持つのであれば,無効になる可能性があります。
この辺りの微妙なところについては,今後の裁判例の積み重ねによって明らかにされていくと思います。 

 

なお,上記の無効原因はあくまで消費者契約法10条による無効であるため,消費者契約法の適用がない事業者の場合はまったく無関係です。
したがって,飲食店等のテナントを借りた際に敷引きの規定があった場合は,公序良俗違反のような特段の事情がない限り有効となり,敷引きされたお金は返ってこないこととなります。 

 

と,ここまでがんばって書きましたが,上記の通り,この地方では敷引きというものをあまり見かけませんので,私が仕事上関わることはあまりなさそうです・・・。

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