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6月 18 2014

地面師と司法書士

昨日,「地面師」のグループが逮捕されたそうです。 

ニュース記事
 
 

 
 
 

地面師とは

 
 

「地面師」というのはなかなか聞きなれない言葉だと思いますが,端的に言えば,他人の不動産を自分の物であるというフリをして,第三者に売却したり抵当に入れたりしてお金を騙し取る詐欺師のことです。
 

詐欺と言えば,昨今は「振り込め詐欺」が多く,そのほかにも結婚詐欺や霊感商法などがありますが,地面師については最近なかなか聞かなかったので,まだそういうことをする人がいたんだなぁ,と思いました。 
 
 

地面師と司法書士

 

司法書士として開業する際,先輩司法書士からは「地面師に気をつけろ」とよく言われました。というのは,新人の司法書士は当然ながらあまり仕事がありませんので,地面師からの美味しい話(一般的な報酬よりもかなり高い報酬を支払うからすぐに登記してほしい,など)に乗ってしまうようなことが以前はあったようです。

幸いにして,私は地面師に騙されたことはありませんし,そのような未遂事件にも遭ったことはありませんが,以前勤務していた事務所では未遂に終わったものの,地面師に騙されそうになったことがあるようです。 
 

地面師のやり方

 

上記の通り,地面師は他人の土地を自分または自分の関係者の名義に変えて,それを知らない第三者に正規の金額で売却するなどしてお金を手に入れます(場合によっては,真の所有者になりすまして売却してしまうこともあると思います。)。

いったん地面師名義にしてしまえばそれを売るのは比較的簡単ですので,キモは真の所有者の名義を地面師一味の名義に変えるところにあります。 

<所有権移転登記>

真の所有者から地面師一味の名義に変えるためには,下記の書類等が必要です。

①権利証

②真の所有者の実印及び印鑑証明書

③地面師一味の住民票

上記のうち,③は簡単に手に入りますので,問題は①と②です。 
 

<権利証>

権利証については,盗んでしまえばそれで完了しますし,最近ではコピー技術の発展により精巧に偽造されたものもあるようです。

もし,司法書士が詐欺だとは知らずに取引に関与したとしても盗まれたものであることは書面を見てもわかりませんし,偽造であったとしても権利証は印鑑証明書のような透かしに偽造防止技術が施されていることはないので,一見して明らかなものぞ除いて偽造を見抜くのはまず無理だと思います。

さらに,権利証ではなく登記識別情報だった場合は,パスワードさえわかれば良いため,盗品であることを見抜くことは不可能です(登記識別情報の偽造はあり得ません。というかパスワードが違えば登記が通らないため偽造しても無駄です。)。

また,権利証が無かったとしても,本人確認情報や事前通知により登記が通る場合もあります。ただし,本人確認情報については司法書士が真の所有者と面談をしているはずですので,司法書士が地面師とグルでない限り真の所有者ではないことをわかっていながら本人確認情報を作ることは無いと思います。ただし,地面師一味が免許証などを偽造し本人のフリをして司法書士を騙すということもありえます。これもまた,免許証の偽造の程度によるので何とも言えません。

なお,絶対にあってはならないことですが,2008年に司法書士が暴力団組長の名義に変えるために虚偽の本人確認情報を作成して実刑に処されるという事件も起こっています。
 

<実印及び印鑑証明書>

次に,実印と印鑑証明書ですが,これは権利証のように代替手段はありません。ですので,必ず真の所有者が保管している実印と役所から発行される印鑑証明書が必要となります。

過去の取引などで印鑑証明書を持っていれば実印自体の偽造はできますが,印鑑証明書には3か月の有効期限がありますのでそう簡単に最新の印鑑証明書を手に入れることはできません。

あと考えられるのは,偽造の免許証などを使って本人になりすまして,印鑑登録からやり直すくらいでしょうか。

いずれにしても,権利証を偽造するよりも実印と印鑑証明書を手に入れる方が難しいと思います。

なお,印鑑証明書には偽造防止技術が入っていますし,最近一宮市でも始まったコンビニでの印鑑証明書発行サービスも偽造かどうかを調べるサイトがありますので,印鑑証明書の偽造はかなり難しいではないかと思いますが,上記事件では偽造したそうです。

一宮市サイト

証明書復号画像表示システム 

なお,司法書士が不動産の売買に立ち会う際には,権利証や印鑑証明書も確認しますが,必ず本人確認として免許証なども確認します。これも本物と見分けがつかないレベルで精巧に偽造されていたらお手上げなのですが,不正な登記がされないよう細心の注意を払っています。さらに,司法書士は必ず業務に関する損害賠償保険に入っており,最低1000万円は保障されることになっています。ちなみに,当事務所では最高限度額の5億円の保険に入っておりますので,名古屋駅前の超一等地とかでない限り,保険金で全額賠償できると思います。もちろん,保険を使わなくても良いように業務をしてますけどね。
司法書士業務賠償責任保険 
 

自分の不動産を勝手に取られないようにするためには

 

地面師が,すべての書類を完璧に偽造してしまったらどうにもならないのですが,基本的には権利証や印鑑証明書などを紛失したり盗難にあったりしなければ勝手に名義が変わっているということはありません。

逆に言えば,紛失等をした場合は名義を変えられてしまう恐れがあります。そのような場合は,法務局に対して不正登記防止申出をすることができます(不動産登記事務取扱手続準則35条)。

この申出を行うことにより,もし何らかの登記申請がされた場合には申請を受けた法務局から「こういう登記申請が出てますけど大丈夫ですか?」というお尋ねがくることになっておりますので,法務局に申し出ることで不正な登記を防止することができます(不動産登記法24条)。もっとも,この申出には有効期限が3か月しかありません。これは,恐らく印鑑証明書の有効期限が3か月しかないことによるものだと思いますので,できれば役所にて印鑑登録をやり直しておいた方が安全だと思います。
 

また,紛失や盗難にあったのが登記識別情報通知書の場合は,根本的に登記識別情報の失効手続を行うことも考えられます。そうすることによって,当該登記識別情報は無効になりますので,これを利用して登記申請をしても受理されません。ただし,一度失効手続をしてしまうと再発行はされませんのでご注意ください。 
 

地面師から不動産を買ってしまった場合

 

法的に,いくら登記簿に記載してある人から買ったとしても,その人が地面師だった場合は本来その登記は無効なものですので,買ってしまった人は所有権を手に入れることはできません

ですので,真の所有者から登記名義を元に戻すように請求された場合は,原則として断ることはできません。もっとも,真の所有者にも落ち度がある場合には真の所有者の請求も認められない場合もあります。ただ,法律の勉強みたいになってきますので説明は割愛します(民法94条2項類推適用)。 

もし,間に不動産業者や司法書士が入っている場合は損害賠償責任を問うことができる場合がありますが,実際問題として仲介の不動産業者も司法書士も,売主がどのように所有権を取得したのか詳細な説明を受けるケースは少ないですし,仮に説明を受けたとしても当然地面師などと正直に説明することはあり得ませんので見破ることは現実的には不可能です。とすると,過去には偽造を見抜けなかった不動産業者や司法書士に損害賠償責任を認めている事例もありますが,かなりの落ち度(一見して明らかな偽造を見過ごした等)が無い限り全額の賠償責任を負わせるのは難しいと思います。

さらに,発覚したころには売主は逃げてますので,売主から回収することもできない可能性が高く,結果として泣き寝入りせざるを得ない可能性もあります。
 

上記の逮捕されたニュースだと,85歳男性になりすまして,地面師名義にし,その後コンサルタント会社に売却しています。とすると,85歳男性はコンサルタント会社に登記を戻すよう請求することができ,コンサルタント会社は応じざるを得ません。そして,コンサルタント会社は地面師に対して損害賠償することになるでしょう。しかし,今回は地面師が逮捕されたから良かったものの,地面師が見つからなかった場合は,コンサルタント会社は誰にも請求できないことになります。
 

そして,正直なところ,これを完全に防ぐ手段は無いと思います。できることがあるとすれば,前所有者が買ってすぐに転売しているような場合は少し疑うくらいでしょうが,そのようなことは普通の取引でも十分あることですので決定的な要素ではありません。

う~ん。やっぱり完全に回避する方法は無いなぁ・・・。

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