3月 24 2015
登記識別情報通知書のシールは剥がすべきか
堅そうな題名ですが,実はすこぶるどうでも良い記事ですみません。
登記識別情報とは
不動産を購入すると,いわゆる権利証と呼ばれる書類が発行され,失くしたら大変なことになるので金庫などで厳重に保管するように売買の立会いを行った司法書士が買主さんや施主さんに説明していたと思います。
時は流れ,平成17年に登記手続にもオンラインが導入されました。それに伴い,紙媒体である権利証(正式には登記済証)という制度が廃止され,登記識別情報という12桁の英数字によるパスワードになってしまいました。
法務省が出しているサンプルはこんな感じです。
したがって,従前は権利証という紙そのものを失くさないようお願いしていたのですが,登記識別情報制度はパスワードが書かれた紙そのものではなく12桁の英数字によるパスワードが重要であるため,極論を言えば,そのパスワードさえ何かにメモしていただければ紙自体は失くしてしまっても問題ないということになります。
逆に言えば,パスワードを第三者に見られてしまうと,従前で言うところの権利証を盗まれたのと同じことになってしまいますので,漏えいを防ぐ観点からもパスワードが書かれた登記識別情報通知書に記載されたパスワードは誰にも見られないよう,かつ,書かれた紙も紛失しないよう管理していただく必要があると思います。
パスワードを隠しているシール
上記サンプル画像はパスワードが見えた状態になっていますが,法務局から発行されるときには緑色のシールが貼られた状態になっており,しかもこのシールは一度剥がすと二度と付かないようになっています。したがって,シールが貼られた状態であれば,その内側に書かれているパスワードは誰も知らないということになります。
もっとも,このパスワードを使うのは,購入された不動産を売却する時や担保に入れる時くらいであり,日常生活において使うことなど絶対にありません。特にモノが不動産ですので,一生売却しない方だっているわけですから,買ってから一度もシールを剥がさないという方もいらっしゃると思います。
ですので,私が依頼者の方に説明する時は,絶対にシールを剥がさないようお願いしています。
ところが,法務局としては受け取ってすぐにシールを剥がすように指導しているそうです。
その理由がコレです。
そうなんです。必要な時にシールを剥がそうとしても剥がれないんです・・・。発行してすぐだと剥がれやすいのですが,時が経つと粘着度が増すのかわかりませんが,剥がれにくくなるんですね。簡単に剥がれてしまうのも困るのですが,剥がれなさすぎるのも困りものです。
ちなみに,上記のときには5分ほど爪でカリカリカリカリやってなんとか剥がすことができました。
これについて,法務省では改善を行い,先月から紙を折り込んで見えないような紙に順次変更を進めていますので,変更後の通知書ではこのようなことは起こりませんが,それまでに発行されているシールタイプのものが無数に発行されていますし,パスワードが必要になるのは買ってから何十年後ということも普通にありますので,少なくとも私が年老いて司法書士を廃業する時にも問題になっていると思います。
→ 登記識別情報通知書の様式の変更等について(法務省サイト)
※平成27年3月24日現在,名古屋法務局管内では始まっておらず,開始予定日も未定です。
それでも剥がさない方が良いと思います
確かに法務局の言うとおり,発行してからすぐに剥がしてしまえば,シールが剥がれない問題は解決できます。しかし,その後何年,何十年もの間,パスワードを第三者に見られたのかどうかわからない状態で保管するリスクを取るくらいなら,必要な時にカリカリカリカリやった方がいいですよね。
ということで,今後もシールタイプの登記識別情報通知書のシールは剥がさないことを強くオススメいたします!
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