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不動産売買に関すること

9月 22 2023

不動産の交換について

個人の方が所有されている不動産の名義変更を行う場合、多くの場合が売買または相続というケースであり、たまに贈与ということがあります。

また、法人の場合だと、合併や会社分割といった組織再編によって名義変更を行う場合もあります。
 

今回、上記にはいずれも当てはまらない「交換」にて名義変更を行いましたので、税金の特例なども踏まえてまとめておきたいと思います。 
 

1 交換とは

 

売買とは、物をもらう対価として金銭を支払うことであり、この対価として支払うものが金銭ではない場合はすべて交換となります。

今回は不動産の名義変更の話であるため当然ながら一方は不動産である必要がありますが、もう片方は必ずしも不動産である必要は無く、株式等の有価証券だったり、目に見えない権利などでも構いません。もちろん、不動産同士を交換しても構いません。いずれにしても、金銭以外の対価であればすべて交換ということになります。 
 

2 交換差金

 

交換の対象となっている物同士が完全に等価であれば問題ありませんが、通常は完全に価値が一致しているという事は少ないと思います。
 

例えばAさんが所有している甲土地が1000万円、Bさんが所有している乙土地が1200万円でこの甲土地と乙土地を交換する場合、完全な等価では無いためAさんは甲土地を譲渡することに加えて現金200万円も合わせてBさんに支払うことがあります。この200万円が交換差金と呼ばれるもので、交換を成立させるための調整となるお金になります。 
 

3 登記手続

 

基本的には通常の売買の登記手続と変わりはなく、不動産の所有者の方は権利書(登記識別情報通知)や印鑑証明書等が必要になります。
 

なお、不動産同士の交換の場合、当事者双方が不動産の所有者であるため双方が権利書や印鑑証明書等をご準備いただく必要があります。
 

また、土地の名義変更に関しては、売買の場合は登録免許税の税率が15/1000という軽減措置があるものの、交換の場合は軽減措置の適用が無いため20/1000と少し高めの税率になっております(租税特別措置法第72条第1項第1号)。さらに、売買であれば1件の登記で良いところ、不動産同士の交換の場合は少なくとも2件以上の登記が必要となりますので、必然的に売買と比べると登記費用が高くなります。 
 

4 譲渡所得税の軽減措置

 

交換の場合は、譲渡所得税について交換が無かったものとする「固定資産の交換の特例」という制度があります。こちらの適用があると譲渡所得税がかかりません

なお、私は税理士ではなく司法書士であるため、詳細については税理士さんにお尋ねいただきますようお願いいたします。
 

今回は不動産の交換を前提としているため不動産に限定してまとめておりますが、実際には不動産に限らず固定資産全般について適用があります。 
 

1 交換により譲渡する資産及び取得する資産が、いずれも不動産(土地または建物)であること。

ただし、不動産業者などが販売するために所有している土地などの資産は固定資産ではなく棚卸資産であるため特例の対象にはなりません。

 

2 交換により譲渡する資産及び取得する不動産は、いずれも土地と土地、建物と建物のように互いに同じ種類の資産であること。
ただし、借地権は土地の種類に含まれ、建物に附属する設備および構築物は建物の種類に含まれます。

 

3 交換により譲渡する不動産は、双方が1年以上所有していたものであり、かつ交換のために取得したものでないこと。
この交換特例を受けるためだけに第三者から不動産を取得して交換の対象にした場合は、この特例は受けられないということになります。

 

4 交換により取得する資産を、譲渡する資産の交換直前の用途と同じ用途に使用すること。
例えば、田として利用していた土地を交換により譲渡する場合は、交換により取得した土地も田として使用する必要があります。

 

5 交換により譲渡する資産の時価と取得する資産の時価との差額が、これらの時価のうちいずれか高い方の価額の20パーセント以内であること。
上記の例でAさんが所有している甲土地が1000万円、Bさんが所有している乙土地が1200万円である場合、甲土地と乙土地の差額は200万円であるのの対し、高い方の土地である乙土地の価格の20パーセントは240万円であるため、このケースであれば大丈夫ということになります。
ただし、交換差金として200万円の現金を支払っている場合は、この部分についての譲渡所得税はかかります。

 

6 確定申告をすること
特例を受けるわけなので、その旨の申告が必要となります。

 
 

以上、なかなかお目にかかることが少ない交換のお話しでした。

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7月 28 2023

住所・氏名変更登記の義務化の日が決まりました

相続登記の義務化が来年に迫ってきておりますが、住所及び氏名が変更した場合の変更登記の義務化についても法律の施行日が決まりました。

まず、法律の施行日は、令和8年(2026年)4月1日となります。

その他、注意点は次のとおりです。 

 

1 住所の変更のみならず、氏名の変更(婚姻・離婚・養子縁組など)の場合も登記が必要です。
 

2 変更してから2年以内に変更登記の申請を行う必要があります。
 

3 施行日である令和8年4月1日よりも前に住所や氏名を変更している場合も適用があります。その場合は、施行日の2年後である令和10年3月31日までに申請が必要です。
 

4 自宅のみならず、所有しているすべての不動産について変更登記の申請が必要です。
 

5 変更から2年以内に変更登記を申請しなかった場合は、5万円以下の過料という罰金のようなものを課される可能性があります。
 

 

前住所が登記されており、新しい住所に転居した場合は住民票があれば大丈夫ですので、申請自体はそんなに難しくないと思います。

しかし、数十年レベルで住所変更登記をしていない場合は、住民票では住所が繋がらない可能性がありますので、そのような場合はお近くの司法書士にご相談いただいた方が良いかと思います。

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1月 13 2023

令和5年4月から施行される民法改正等のまとめ③

令和5年4月1日から不動産登記法の改正により、遥か昔の権利(所有権以外)に関する登記が残っている場合に抹消する方法が簡略化され、権利者(一般的には不動産の所有者)が単独で申請できるようになりました。また、抹消ではありませんが、遺贈の登記に関して単独で申請できる場合が定められました。今回は、この点についてまとめたいと思います。

 
 

1 遥か昔の権利(所有権以外)に関する登記とは

 

不動産の登記簿をご覧いただくと、所有者が誰であるかということが登記されています。所有者が変わっても自動的に所有者が変更されるわけではないため、当事者が登記申請を行い、その時点での所有者を登記して第三者に対抗できるようになります。この登記をしないまま長い月日が経過して実際の所有者が分からないことが大きな問題になっており、それに対応したのが前回の相続土地国庫帰属制度の記事となります。
 

さて、登記簿を見ると、所有者が誰であるかという事以外にもいろんなことが登記されている場合があります。例えば、住宅ローンを組まれて不動産を購入されている場合は、「抵当権」という権利が設定されており、金融機関の担保になっていることが分かります。また、それほど多くはありませんが、第三者に賃貸等をしている場合は「賃借権」の登記や「地上権」の登記がされている場合があります。

こちらも当事者が登記申請をしなければ登記されませんし、逆に権利が無くなった場合(抵当権であれば住宅ローンを完済した場合、賃借権であれば賃貸借契約が終了した場合、など)も自動的には登記は抹消されないため、当事者が抹消登記の申請をする必要があります。

また、登記制度は遥か昔から存在するため、明治時代のお金の貸し借りでも抵当権が設定されることがありました。その後100年以上経過し、本当は完済しているけど登記申請を忘れているのか、完済しないまま時が過ぎてしまっただけのかは分かりませんが、明治時代の抵当権が現代まで抹消されずに残っていることがあります。これが、「遥か昔の権利(所有権以外)に関する登記」となります。
 

そもそも、登記というのは当事者が協力して手続をしなければならず、当事者が亡くなっている場合は基本的に相続人全員が関与する必要があります。

しかし、100年以上も前の登記だと、恐らく登記の名義人はすでに亡くなっていると思われますし、その相続人を探すことも大変です。加えて、相続人が見つかったとしてもその相続人が協力してくれるかどうかも分かりません。

普通に使っている分には遥か昔の登記が残っていたとしても特に支障は無いかもしれませんが、第三者に売却等をする場合には大きな問題になります(遥か昔の登記が残っている場合、一般的には抹消しなければ売却ができません。)。

ということで、遥か昔の登記が残っているとかなり厄介なことになります。 
 

2 抵当権等の担保権については制度がある

 

当事務所でもページを設けているとおり、抵当権等については比較的簡単に抹消できる場合がありますので、こちらをご覧いただければと思います。

→ 遥か昔に登記された抵当権抹消登記(休眠抵当権) 
 

3 抵当権等の担保権以外の登記

 

すでに存続期間が満了している地上権等の登記買戻期間が満了している買戻登記については、権利者(一般的には不動産の所有者)が単独で抹消できることになりました。
 

以下、各ケースに関して記載いたします。
 

(1)存続期間満了済みの地上権等

必ずしも存続期間が定められている訳ではありませんので、すべての地上権等が該当するわけではありませんが、存続期間が登記されており、かつ、その期間が満了している場合は比較的簡略的に抹消することが可能となりました。
 

手続の流れとしては概ね以下のとおりとなります。

①存続期間が登記されており、かつ、すでに経過していることを確認する。

→登記事項証明書を見ればすぐに分かります。存続期間が登記されていないようであれば残念ですがこちらの制度は使えません
 

②地上権者の調査を行う。

→具体的には地上権者の住民票等の書類上の調査を行う必要がありますが、現地調査までは必要ありません。もし、ここで地上権者等の所在が判明するようであれば簡略的な手続ではなく、通常どおり当事者双方が協力して登記申請を行うことになりますし、万が一協力してくれない場合は訴訟を行う必要があります。
 

③裁判所に公示催告の申立てを行い、除権決定を得る。

→難しそうな感じがしますが、裁判所に対して「地上権を抹消しようとしているので、異議がある人は連絡してくださいね。」という趣旨の官報公告を行うことになります。そして、一定期間が経過すると除権決定が出て抹消することができるようになります。
 

④登記申請

→上記の除権決定を添えて、権利者が単独で登記申請を行うことになります。
 
 

(2)買戻期間満了済みの買戻権

買戻権というのは、いったん売却をするけど、一定期間内であれば買い戻すことができる権利です。最近はあまり見ませんが、昭和や平成初期の売買の際の住宅供給公社等の公社が関係している場合に登記されているのをよく見ます。

さて、この買戻権は特に期間を決めなければ売買契約の日から5年間とされており、当事者の合意によっても最大で10年間とされています。とすると、売買契約の日から10年以上経過している場合は必ず買戻権は消滅していることになりますので極めて簡単に抹消することができます。

※上記の地上権等については存続期間の上限はありませんので、存続期間が定められていたとしてもその後に延長されている場合があります。
 

手続の流れとしては概ね以下のとおりとなります。

①買戻権が登記されており、かつ、売買の日から10年が経過していることを確認する。

→登記事項証明書を見ればすぐに分かります。
 

②登記申請

→権利者が単独で登記申請を行うことになります。
 

③買戻権者への通知

→まったく買戻権者が関与しないところで抹消されてしまうため、買戻権者宛に法務局から抹消した旨の通知がなされます。
 

上記の地上権等の抹消と異なり、権利者の調査や公示催告等の手続も一切不要ですので、極めて簡単に抹消することができます。 
 

4 解散した法人が抵当権等の担保権者の場合の特例

 

上記2のとおり、抵当権等については比較的簡略的に抹消できる特例がありますが、さらに解散した法人が抵当権者等の場合の抹消登記の特例ができました。

解散した会社であっても、清算人という方が存在するはずですので、通常はその清算人に協力してもらって抹消登記を申請することになります。しかし、清算人が行方不明だと協力を得ようがありませんし、清算人が亡くなっているような場合だと裁判所に清算人を選任してもらうなどかなり大変な手続が必要でしたが、今回の改正により比較的に簡略的に抹消が可能であり、さらに従前の特例と異なり供託しなくても良いというメリットもあります。
 

手続の流れとしては概ね以下のとおりとなります。

①抵当権等の担保権が登記されており、かつ弁済期から30年以上が経過していることを確認する。

→不動産の登記事項証明書で確認をします。
 

②抵当権者等が解散されてから30年以上経過していることを確認する。

→法人の登記事項証明書で確認をします。
 

③清算人の調査

→法人の登記事項証明書を見れば清算人が誰であるか住所氏名が登記されていますので、清算人の調査を行います。ただし、住民票等の調査のみで大丈夫であり、現地調査までは不要です。もし、清算人が見つかれば、通常どおり共同で申請を行うことになり、万が一協力してもらえない場合は訴訟等他の方法を検討することになります。
 

④登記申請

→清算人が所在不明であることが確認できたら、供託をすることなく、権利者が単独で登記申請を行うことになります。 
 

5 遺贈を原因とした所有権移転登記等

 

簡略的な抹消とは無関係なお話しですが、単独申請という点で共通するのでこちらでまとめます。

遺贈とは、遺言によって財産をあげるというものであり、相続人に対して行うこともできますし、まったくの第三者である個人や法人に対しても行うことができます。当事務所でも日本赤十字社やお世話になった病院へ遺贈するという内容の遺言書の作成に関与させていただいたことがあります。
 

さて、相続登記の場合は取得する相続人が単独で申請できるのに対し、遺贈の登記については相続人全員または遺言執行者が関与して登記をしなければならないとされております。遺言執行者が協力しないということは考えにくいですが、遺言執行者が選任されていない場合は相続人全員が関与する必要があり、その方の協力が得られないと登記ができないことになります。

さらに、相続人であるAが不動産を取得するにしても、遺言に「不動産をAに相続させる(特定財産承継遺言)」という場合はAが単独で登記申請できるのに、「不動産をAに遺贈する」となっている場合はAが単独申請できないことは不合理だと考えられます。

そこで、遺贈の登記全部という訳ではありませんが、遺贈によって財産をもらう人が相続人である場合に限り、当該相続人(受遺者)が単独で申請できることになりました。

一方で、遺言によって自身が取得取得することを認識した場合は3年以内に登記申請を行う義務が生じ、3年以内に登記をしない場合は「10万円以下の過料」という罰金のようなものを課される可能性があります。
 
 

上記のうち、買戻権の抹消は司法書士としてはかなり楽にはなるかと思いますが、一般的にはあまり関係ないと思われます。また、地上権等の抹消や解散法人の抵当権等の抹消については、あまりお目にかかることは無いものの、お目にかかった時には大変な手間がかかりましたので、該当する方にはかなり大きな改正になると思います。

最後の遺贈については、相続人に遺贈するというケースがそもそも多くなく(遺贈するくらいなら特定財産承継遺言を書くことが多い)、仮に遺贈にするようであれば遺言執行者として受遺者を選任していることが多いため、現実的にはあまり該当するケースは多くないかと思います。

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3月 11 2022

令和4年4月1日から減税等について

現在、各種登記手続において、登録免許税が減税される制度が多くあります。 

 

例えば、土地を購入された場合、本来は土地の評価額の2%を登録免許税として納めなければならないところ、1.5%に減税されています。たかが0.5%かもしれませんが、3000万円の評価額の土地を購入する場合、本来であれば60万円の税金がかかるところ45万円で済むわけですからかなり大きいと思います。
 

また、中古の居住用建物に関してはもっと減税されており、築年数などの条件を満たせば、本来であれば上記の土地と同様に2%の登録免許税を納めなければならないところ、約1/3の0.3%で良いこととされております。

1000万円の建物の場合、本来20万円のところ、3万円まで減税されますので、これは大変大きいと思います。
 

もっとも、これらの減税は「租税特別措置法」という期間限定の法律によって減税されるため、期間満了により廃止されることもあれば、同じ内容で延長されることもあり、さらには、よりメリットがある内容に改正されることもあります。
 

今回は、比較的良い内容に改正されましたので、この点をまとめたいと思います。
 

 
 

1 中古住宅の適用範囲の拡大

 

上記のとおり、中古の建物に関しては大幅な減税があるのですが、築年数の要件があり、木造や軽量鉄骨造などの場合は新築から20年以内、鉄骨造や鉄筋コンクリート造などの堅い建物については新築から25年以内の建物でなければなりませんでした。
 

また、上記の期間を超えてしまった建物であっても、建築士さんの耐震証明があれば、減税を受けることができました
 

しかし、令和4年4月1日からは、昭和57年1月1日以降に建築された建物についてはすべて条件を満たすこととなりましたので、この改正は大きいと思います。
 

なお、減税を受けるためには上記の築年数の要件以外にも、「居住用の建物であること」、「購入者自身が居住すること」、「床面積が50㎡以上あること」、「取得原因が売買または競落であること(贈与は適用無し)」などの条件を満たすことが必要ですが、居住用として購入される場合にはほとんどのケースで満たしていると思います。 
 

2 相続登記の際の免税対象土地の拡大

 

現在、相続登記を推進するために、比較的安価な土地については登録免許税が非課税になっており、ざっくりいうと、「法務局が指定した区域にあり」、「評価額が10万円以下」を満たす土地であれば登録免許税が非課税となりました。

→ 相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局サイト)
 

ただ、仮に評価額が10万円の土地の相続登記の際にかかる登録免許税は400円ですし、指定された区域外であれば適用されないので、正直なところ微妙な内容でした。
 

ところが、今回の改正により、「すべての土地」、「評価額が100万円以下」となりましたので、かなりメリットが大きくなりました。相続登記を申請するのであれば、令和4年4月まで待った方が良いケースが多くあると思います。
 


 
 

3 まとめ

 

廃止されることなく、現在の内容のまま継続される減税もいくつかあります。上記と重複する部分もありますが、まとめると下記のとおりです。

(1)売買で土地を購入した際の登録免許税の減税(本来2%なのが1.5%)

→ 現在も有効
 

(2)建物の新築、中古住宅の購入等の際の所有権移転登記の登録免許税の減税(本来2%なのが0.3%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(3)上記の建物の工事代金や購入代金について住宅ローンを組む場合の抵当権設定に関する登録免許税の減税(本来0.4%なのが0.1%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(4)建物を新築した際の保存登記の登録免許税の減税(本来0.4%なのが0.15%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 

(5)上記の場合で、特定長期認定住宅または認定低炭素住宅(本来0.4%なのが0.1%)

→ 令和4年3月31日までが令和6年3月31日まで延長
 
 

上記(2)と(3)については、築年数要件が撤廃され、昭和57年1月1日以降に建築された建物であれば適用あり。ただし、下記の要件を満たす必要があります。

自分自身が居住するための家屋であること
②床面積(区分所有家屋の場合は専有床面積)が50平方メートル以上であること
③併用住宅の場合は、居住部分の割合が90%以上であること
④区分所有家屋の場合は、建築基準法上の耐火または準耐火建築物であること
⑤所有権移転登記の場合は、取得の原因が「売買」または「競落」であること

 
 

以上、改正のまとめでした。

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8月 31 2021

成年後見人選任によるメリット・デメリット

先日、遺産分割協議のために成年後見人を選任する手続についてご依頼いただき、私自身が家庭裁判所から成年後見人に選任されて就任いたしました。今後は、原則としてはご本人がお亡くなりになるまで私が成年後見人といてご本人の代理人として各種契約や意思表示を行ったり、財産管理を行っていくことになります。
 

さて、この成年後見人についてですが、世間的にはあまり良くない印象を持たれていることもあり、今回は成年後見人選任に関するメリットやデメリットについてまとめたいと思います。
 

 
 

1 成年後見人とは

 

認知症や精神疾患等により、ご自身で判断することができなくなった場合に、その代理人等として選任される者となります。

あくまで認知症や精神疾患等の意思判断に関わる力が衰えてきていること理由で無ければなりませんので、「交通事故で手が動かなくなってしまい筆記ができなくなった」、「足腰が弱くなってしまって銀行等に行けなくなった」等の身体的な理由で成年後見人等を選任してもらうことはできません
 

また、意思判断に関する力も人によって程度差がありますので、比較的軽い場合は補助、その次が保佐となり、一番重い場合が成年後見となります。

この点は、医師の判断になるため私どもでは明確な判断はできませんが、補助や保佐に該当する方の場合は、あまり申立てをする必要性が無いこともあり、結果としては成年後見のケースが一番多いと思います。 
 

2 成年後見人等の選任が必要になる場合

 

不動産の売買や贈与、相続や遺言など、こちらにまとめておりますので、こちらをご覧いただければと思います。

→ 成年後見手続が必要な場合 
 

3 成年後見人選任のメリットとデメリット

 
 

(1) 後見人選任の4大デメリット
 

成年後見に関するご相談をいただいた際に、必ず私は4大デメリットについて説明させていただいております。成年後見人の手続をご検討されている方は、当該手続のみでの選任をお考えの方が多いため、こちらの説明をすることで実際に手続を中止される方も多くいらっしゃいます。
 

①必ずしも候補者が選ばれるとは限らない。

申立てをする際に、候補者を立てることができ、「父親の成年後見人として長男を候補者として申立てをする」ということが可能です。

ただし、必ずしも候補者が選任されるとは限らず、まったく無関係な弁護士や司法書士等の専門職が選任されることもあります。候補者が選任されない場合としては、「父親の管理すべき財産がかなり多い」、「推定相続人(兄弟間など)で意見の相違がある」、「候補者が成年後見人としての資質が心配(金銭管理が弱い等)」などがあります。

さらに、候補者が選任されなかったことを理由として申立て自体を取り下げることはできませんし、成年後見人を別の人にしてほしいというような異議申し立てもできません

なお、一般的に、弁護士や司法書士を候補者とした場合には、当該専門家が選任されることが多く、少なくとも私が候補者として申立てをしたものについては全件私が選任されております。

また、このような場合に備えて、任意後見契約を締結しておくことで、事前に後見人になる方を決めておくという方法も考えられます。
 

②成年後見人は一生続く
 

上記のとおり、成年後見人の選任は売買のためだったり、遺産分割のために申し立てを行うことが多いかと思いますが、その手続が終わっても成年後見人が解任されるわけでは無く、その後もずっと続きます。

例外的に、成年後見人が横領などを行って解任、高齢や病気等で辞任という成年後見人側の事情で変わることや、ご本人さんの能力が回復して成年後見人が必要無くなるということはあり得ますが、そうでない限りはご本人さんがお亡くなりになるまでずっと続くことになります。
 

③成年後見人の費用がかかる
 

成年後見人等が専門職か親族かに関係なく、成年後見人等は家庭裁判所に報酬付与の審判を申し立てることによりご本人さんの財産から報酬を受領することができます。報酬額は家庭裁判所が一方的に決めており、その金額に対して異議申し立てをすることはできませんので、私どもとしてもどのような基準で報酬が決められているのかよく分からない部分がありますが、いずれにしてもそれなりの費用がかかります。経験上、売買や遺産分割等が無く、平和的に1年過ごした場合で年額概ね20万円台から30万円台になることが多いと思います。

なお、勘違いされている方もいらっしゃるのですが、報酬は専門家に限らず親族の方でも受領することは可能です。ただ、家庭裁判所に報酬付与の審判の申立てをして、実際に報酬を請求されている方は多くない印象です。
 

④申立てに関する費用は申立人負担
 

上記のとおり、成年後見人が選任された後については、ご本人さんの財産から報酬が支払われますが、申立てに関する費用は申立人の方にご負担いただくこととなります。
 
 
(2)後見人選任のメリット
 

①財産が守られる
 

正直なところ、親族の方にとってはデメリットになるかもしれませんが、成年後見人は家庭裁判所(場合によっては後見監督人等)の監督を受けつつ、ご本人さんの財産を管理しますので、不当に失われることは少ないです。例えば、現金については通常の預貯金等で管理することとなり、株式投資や不動産投資などにお金が回ることはありません

一方で、相続対策などで生前贈与することも基本的にはできませんので、そういう意味で親族の方にとってはデメリットかもしれません。

あくまで、成年後見制度はご本人の財産を守る制度であって、親族のための制度では無いからです。
 

②様々な手続は後見人等がやってくれる
 

上記の売買や遺産分割等は当然のこと、病院での手続や施設との契約等についても成年後見人が代理で行うこととなります。

ただし、あくまで契約等を行うだけであって、現実的な生活援助や介護などを行うことはできません。 
 

4 成年後見人を非難するご意見について

 

ニュースサイトなどで、親族の方のご意見として成年後見人を非難するコメントをよく拝見します。

そもそも成年後見人等の横領等の犯罪行為は言語道断ですので、非難どころか刑事・民事の両面から徹底的に糾弾していただくべきかと思います。また、成年後見人がまったく仕事をしていないということであればもちろん非難していただいて良いかと思いますし、場合によっては解任の申立てをしても良いかと思います。

一方で、実際には上記3(2)①での非難が多いように思います。つまり、親族の方がご本人の方の財産を使えなくなることでの対立が多いと思います。

当事務所では幸いにして親族の方と対立したことは一度も無いのですが、過去には、無断でご本人の財産から親族の方が引き出していた預金については全額返還するようお願いして戻してもらいましたし、親族の方がご本人のためと思って色んな契約をしてきて、その請求書だけ後見人に送られてきたこともありましたが、ご本人さんにとって必要性が無いことを説明したうえで支払いを拒否し、解約してもらったこともあります。

やはり、この点については親族の方とも密に連絡を取り合って、相互に信頼関係を深めていくしかないと思います
 
 

以上、成年後見人等の選任に関するメリット・デメリットでした。

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3月 03 2021

土地の値段(一物四価)

売買や相続による所有権移転登記を申請する際に、登録免許税という税金を法務局に納めなければなりません。
 

この登録免許税は、土地の値段を基に移転する原因に応じた税率を掛けて算出します。

例えば、土地の値段が1000万円だとした場合に、売買で所有権移転をする場合は15万円(1.5%)、贈与で所有権移転する場合は20万円(2%)、相続で所有権移転する場合は4万円(0.4%)です。ただし、上記の税率は改正によって変わることがあり、土地の所有権移転については本来は2%であるところ租税特別措置法により1.5%に軽減されています。
 

さて、簡単に「土地の値段」と言いましたが、実は土地の値段は一律に決まっているものではなく、状況に応じて同じ土地なのにその値段が変わります

例えば、上記の登録免許税に用いる土地の値段は、正確には「固定資産課税評価額(通常は単に「評価額」と言います。)」を基に計算することになります。
 

また、相続税を計算する場合に用いる土地の値段は、「相続税路線価(通常は単に「路線価」といいます。)となり、贈与税でもこちらを用いることになります。

このように、単に「土地の値段」と言っても、どの意味で使っているかを誤るとトラブルになる可能性がありますので、今回はこの土地の値段についてまとめてみたいと思います。
 

 
 

一物四価

 

一般的に、土地の値段は4種類あると言われており、「一」つの土地(物)に「四」つの「価」格があるので、このことを指して一物四価と呼ばれることがあります。
 

この4つの種類は、一般的に高い順にならべると以下のとおりとなります。
 

①流通価格(市場価格・実勢価格)

②公示価格(公示地価)

③路線価(相続税路線価)

④固定資産税評価額
 

ただ、実際には上記の順番は逆転することがあります。例えば、まったく買い手が付かないような土地だと路線価や評価額よりも低い金額で取引されることはあります。 
 

流通価格(市場価格・実勢価格)

 

これは、一般的に取引される金額となります。不動産業者に仲介を依頼し、第三者から土地を購入するような場合はこちらの金額となります。

「隣の土地は借金をしても買え」という格言もあるくらいですので相場よりも高いこともあれば、親族間や知人間の売買等の理由により相場より安く取引されることもありますが、最終的には当事者が合意した金額が正しい金額となりますので、一言で言えば「時価」となります。
 

なお、他の価格と比べると一番高いことが多いと思います。 
 

公示価格

 

地価公示法を根拠として公示されるものであり、特定の地域等において標準的な場所を選定し、その場所に関する土地の値段を公示するものです。

つまり、個々の土地ごとの金額が出るのではなく、その周辺地域の目安となる金額ということになります。
 

一般的には、流通価格より低く、路線価より高い金額になる傾向にあります。

こちらの金額は、公共事業による土地の収用等の際の補償金を計算するのに用いられており、司法書士が関与することはあまりありません。

この公示価格は国土交通省のサイトで確認することができます。

→ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査 
 

路線価(相続税路線価)

 

こちらは、道路に接した土地についての平米単価となり、国税局長によって定められたものです。

路線価は、接している道路を基準としていますので、国道などの大きな道路に接しているほど金額が高くなりますし、角地など複数の道路に接している場合も金額が高くなります。また、基本的には市街地にしか定められませんので、都市部から離れると路線価が無いことも多く、そのような土地は固定資産税評価額の1.1倍とされることが多いです(倍率地域)。
 

一般的には、公示価格より低く、固定資産税評価額よりは高くなり、概ね公示価格の8割程度になります。

相続税や贈与税の計算をする際には、こちらの金額を基に算出いたしますので、通常は税理士さんが一番目にするものとはなりますが、贈与の際にどの程度贈与税がかかるかを判断し、場合によっては贈与自体をキャンセルすることもありますので、司法書士もよく目にする価格となります。

この路線価は、国税庁のサイトで確認することができます。

→ 路線価図・評価倍率表 
 

固定資産税評価額

 

総務大臣が告示した固定資産評価基準を基に各自治体(市町村)が固定資産税を課すために個々の不動産(土地及び建物)について定めるものであり、この評価額に1.4%を掛けた金額が毎年1月1日時点の所有者に課されることとなります。なので、年の途中で所有者が変わったとしても1月1日時点の所有者が1年分を納める必要があるため、通常は日割計算をして新旧の所有者で精算することになります。
 

一般的には路線価よりも低くなる傾向があり、公示価格の7割程度になります。
 

登記申請の際に、不動産の価格を基に登録免許税を計算する場合は、まさにこの固定資産課税評価額を基に計算しますので、司法書士が毎日のように目にする価格となります。

公示価格や路線価は毎年変わるのに対し、固定資産課税評価額は3年に一度しか変わりません。そして、令和3年4月1日に新しい価格に変わりますので、現時点(令和3年3月時点)においては、4月1日以降に登記申請する場合の登録免許税の計算はできないことになります。とはいえ、それだと見積書が作成できないため、暫定的に現時点での固定資産課税評価額で費用を計算させていただき、4月1日以降に改めて正確な費用をお知らせすることとなります。
 

この固定資産課税評価額は、公示価格や路線価と異なり、ピンポイントで各不動産の価格がわかることとなるため、第三者が自由に調べることは基本的にはできません

不動産の所有者であれば毎年4月から5月頃に不動産のある自治体から固定資産税の通知書が送付されてきますので、こちらで固定資産課税評価額を確認することができますし、第三者であっても裁判に利用するなどの正当な理由があれば、自治体の税務課において評価証明書を取得することで評価額を調べることができます。
上記のとおり、司法書士は登記申請の際に利用しますので、すべての自治体ではないものの多くの自治体において所有者からの委任状を添付することなく評価証明書や評価通知書を取得することが認められています。 
 

まとめ

 

以上のとおり、単に「土地の値段」と言っても色々な意味がありますが、通常は流通価格を指すことが多いかと思います。ただ、万が一誤解して話を進めてしまうとトラベルになってしまうこともありますので、どの土地の値段のことを話しているかを確認してから話を進められた方が安全かと思います。

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2月 01 2021

成年後見手続が必要な場合

当事務所では成年後見業務を行っており、累計で数十人、現時点でも数名の方の成年後見人に就任しております。
 

売買や贈与、相続等において、成年後見が関係することがあるため、今回はこの点に絞ってまとめたいと思います。
 

 
 

1 意思能力について

 

(1)意思能力とは
不動産の売買や贈与をする場合など、何らかの法律上の行為をする場合、その方に「意思能力」があることが必要です。
この意思能力を言い換えると判断能力のようなものであり、平たく言えば、自分が行っている行為がどういう意味なのかを理解できる能力ということになります。
 

意思能力は各個人によって異なりますが、一般的には10歳くらいになれば意思能力があると判断されます。また、成人においてもお酒を飲んで泥酔してしまっている場合や覚せい剤でおかしくなってしまった方も一時的に意思能力がないと判断されることがあります。
 

もっとも、10歳の子が不動産の売買をするということは考えにくいですし、泥酔している人が契約をすることは通常あり得ませんので、一番現実的なお話しとしては、①認知症の方、②精神障害がある方、のどちらだと思います。
ただし、認知症や精神障害については、いずれも症状の程度や波がありますので、あくまで契約等を行う際に意思能力があれば良いということになります。
 
したがって、例えば認知症とは言っても少し物忘れがあるという程度だったり、精神障害と言っても服薬によって特に問題ないということであれば、意思能力は大丈夫だと判断されやすいと思います。
 

(2)意思能力がない方が契約をするには
ご自身で判断することができない状態にある方(意思能力がない方)については、仮に契約を締結したとしても無効となってしまいます(民法3条の2)。
 
そこで、法律では意思能力がない方についても問題なく契約等ができるよう法定代理人という制度を定めており、ご本人に代わって法定代理人が契約等を行います
具体的には、未成年者であれば親権者(場合によっては未成年後見人)が、認知症や精神障害がある方については成年後見人(場合によっては任意後見人や保佐人等)が代理人として契約することで有効な契約等を行うことができます。 
 

2 売買や贈与で成年後見が必要となる場合

 

不動産の売買というのは極めて大きな財産が動くことになりますので、契約締結後に意思能力が問題になってしまうと大変なことになります

したがって、意思能力の判断は、かなり慎重に行う必要があります。
 

(1)売主側

ご本人が不動産を所有しており、売却や贈与をする場合、認知症等で意思能力に不安がある場合は成年後見制度を使って、成年後見人が代理人として売却することが考えられます。基本的には、成年後見人が売却の適否や価格等についてご自身で判断し、最終的に売却することは可能です。
 

ただし、成年後見人が選任されていたとしても、すべての不動産の売却等ができるわけではありません。
 

例えば、自宅等の居住用不動産について売却するためには、事前に裁判所の許可を得る必要があります(民法859条の3)。これは、一時的に施設等に入所されているときに、自宅を売却してしまうと戻る家がなくなってしまうからです。したがって、裁判所の許可を得るためには、①施設などの入所費用を工面する必要がある、②医師の判断によれば自宅に戻って生活できる見込みはかなり低い、③売却価格は周辺相場からいって妥当である、など売却が必要である旨を裁判所に説明して許可を得ることになります。
 

また、成年後見人はご本人の権利を守るために選任される者ですので、積極的に財産を減らす行為は認められません
 

とすると、ご本人が所有している財産を第三者に贈与するという行為は基本的には認められないことになります。
 

もっとも、贈与することが却ってが本人の資産を守ることになるのであれば贈与であっても認められます。当事務所が成年後見人になっている方について、ご本人が所有していた別荘(建物のみで土地は借地)があったのですが、当該別荘を利用する見込みが無かったので、裁判所に相談をしたうえで、第三者に贈与しました。このケースでは、そもそも何もしなくても毎月の借地料の支払いが必要になりますし、また、かなり建物が老朽化していたので取り壊すという選択肢があったものの数百万円の取り壊し費用がかかり、売却しようにも数百万円程度の費用をかけてリフォームをする必要があったことから、現状で引き受けてくれる方に贈与をしました。
 

なお、直接今回の記事とは関係ありませんが、親族に対するお年玉や結婚祝い、就職祝い等の社会生活上の妥当な範囲であれば贈与であっても認められます。
 

(2)買主側

成年後見人の選任がされている方が不動産を購入するというケースはあまり無いかと思いますが、もしそのような事態になったときには成年後見人が本人に代わって契約等をすることになり、この行為について裁判所の許可等は必要ありません。ただし、後見監督人が選任されているようであれば監督人の同意が必要となります(民法864条)。
 

もっとも、不動産を購入するということは、多額の現金を支出することになりますので、事前に裁判所に相談をした方が良いと思います。 
 

3 相続で成年後見人が必要となる場合

 

(1)相続人が1人のみの場合
相続人がお一人の場合、特に成年後見人を選任する必要はなく、ご本人が手続を進めることができるようであれば進めていただくことは可能です。ただし、相続の手続は難しいので誰かに依頼することが多いと思いますが、意思能力が無いとその依頼ができない(委任契約が締結できない)ので、結果として成年後見人の選任が必要になる場合が多いと思います。
 

なお、事実上親族の方がご本人に代わって手続を進めるということであれば、成年後見人を選任しないこともあるかと思います。
 

(2)相続人が複数いる場合
複数の相続人の中に、意思能力が問題になる方がいらっしゃる場合、相続人間の話し合いである遺産分割協議ができませんので、成年後見人を選任していただく必要があります。そして、ご本人に代わって、成年後見人が他の相続人との間で遺産分割について話し合いを行うことになります。
 

成年後見人はご本人の権利を守る立場にありますので、ご本人が遺産を一切取得しないという遺産分割は特別な理由がない限り難しいです。
 

また、成年後見人は弁護士や司法書士といった専門職ではなく、親族の方がなることができます。その際に、遺産分割協議に参加する方が成年後見人になってしまうと利益相反が生じているので別の手続が必要となります。
 

具体的には、父親Aさんが亡くなり、妻Bさんと子Cさんの2人が相続人である場合、Bさんの成年後見人としてCさんが就任することはできますが、BさんとCさんはAさんの遺産分割について利益相反の関係にありますので、Cさんは遺産分割協議においてBさんを代理することができません。

この場合、成年後見監督人が選任されていれば、当該監督人がBさんを代理することとなり、監督人が選任されていないようであれば裁判所に特別代理人を選任してもらってその特別代理人がBさんを代理することになります(民法851条4号)。
 

4 遺言について

 
遺言については、必ずご自身でする必要があり、第三者が代理して遺言をすることはできません。

したがって、遺言書の作成を目的として成年後見人の選任をすることはありませんし、すでに成年後見人が選任されていたとしても、成年後見人が代理することはできませんので、必ずご自身で遺言書を作成することになります。

ただ、意思能力が不安な方だからこそ成年後見人が選任されているのであり、なんとかしてご本人が遺言書を作成したとしても、意思能力がないときに作成したのであればやはり無効になってしまいます。 
 

そこで、法律では、成年後見人が選任されている場合においては、①意思能力が一時的に回復していること、②医師2名以上の立ち合いがあること、③当該立ち会った医師が「遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨」を遺言書に付記すること、の要件を備えれば遺言書を作成することが可能であるとしています(民法973条)。

 
 
  

以上のように、認知症の方や精神障害がある方について売買や相続が生じると成年後見が必要になる場合があり、何もせずに進めてしまうと事後的に無効となる可能性がありますので、契約や遺産分割をされる前に一度専門家にご相談された方が良いと思います。

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11月 19 2020

売買契約書について

当事務所では、知人間や親族間での売買など、不動産業者を通さずに直接売買する場合の登記手続に関与させていただくことがあります。 

その際、登記手続に関する書類を当方で作成することはもちろんですが、登記手続には直接必要とはならないものの、売買契約書の作成も合わせて行うことが多く、当事務所でも今週だけで2件の不動産業者を通さない個人間の売買手続を行っています。
 

売買契約書の中には、定型で決まってほぼ変わることの無い条項もあれば、契約によって大きく変わる部分もありますので、今回はこの点についてまとめたいと思います。
 

 
 

1 売買契約書

 

法律上、不動産に限らず、売買契約を行う際には特に契約書等は必要ありません。例えば、コンビニで飲み物を購入する際に契約書など作成しませんよね。

ところが、自動車や不動産など比較的高価なものを購入される際は、ほとんどのケースで契約書を作成すると思います。その理由は、後でトラブルになったときに必要となるからです。
 

上記のとおり、コンビニで飲み物を買って、もしその飲み物が不良品だった場合は、恐らくコンビニに言えば対応してくれると思いますし、仮に対応してくれなかったとしても100円~200円程度の話ですので、それほど大事にはなりません。

しかし、自動車や不動産などの場合はトラブルになった場合は、対応するにも修理費や工事費など多額の費用がかかることがありますし、泣き寝入りするにもかなりの損失になってしまいます。

なので、そういったトラブルが起きたときのために、どのように対応するのかが契約書に書かれています。
 

もっとも、契約書が無くても民法等の法律によって当然に適用されるものもありますが、逆に契約によって民法の適用を排除することもできますので、そういう意味でも契約書を作成する意義があります。
 

また、不動産の場合は税金の関係もありますので、売買代金を税務署等の官公署に説明する証拠としても重要になり、まず間違いなく契約書は作成することになります。 
 

2 売買契約書で絶対必要な条項

 

不動産の売買契約書を作成するに当たって、どのような契約書にも必ず入っており、むしろ入っていないと契約書を作成した意味がないレベルで必ず必要な条項は以下のとおりです。
 

①当事者の氏名及び住所

→ 契約の当事者が誰であるかが分からないと、契約の内容を誰が守れば良いのか分かりません。
 

②売買の対象物

→ どの不動産を購入したのかを明確にする必要があります。
 

③売買価格

→ 売買価格が0円だと贈与になってしまいますし、税金の観点からも売買代金は必須です。
 

④日付

→ その日から契約の内容をお互いに守る必要があるからです。 
 

3 多くのケースで入っており、契約ごとにあまり内容が変わらない条項

 

定型の契約書等には必ず入っており、契約書ごとにあまり無いように差がない条項です。大きな理由がない限り、特に触れる必要はないと思います。
 

①引き渡し義務と登記手続

②所有権の移転時期

③負担消除

④契約費用・印紙税の負担

⑤危険負担

⑥債務不履行解除

⑦手付解除

⑧反社会的勢力の排除

⑨諸規約の承継

⑩管轄裁判所

⑪協議 
 

4 契約の内容によって大きく変わる条項

 

個々の契約によってまったく内容が異なる条項となります。この部分は、変更可能であることがほとんどですので、契約の条件として提示することもあると思います。
 

①実測売買または公簿売買
 

実測売買というのは、売買の前提として測量を行い、その測量結果によって売買価格を決定または精算するというものです。

一般的には、まずは公簿(登記簿)に記載されている地積(面積)や床面積を基に売買価格を決定したうえで、その後の測量によって増減があった場合は売買価格も増減するというものであり、売主さん買主さん双方にとって公平だと思います。ただ、測量するためには数十万円の費用がかかりますので、必ず行うという訳ではありません。

公簿売買というのは、登記簿に記載されている地積等のまま売買することであり、基本的には売買に際して測量は行いません。また、仮に測量の結果、登記簿の地積等と異なったとしても精算を行いません。売買価格や坪単価が低い場合は公簿売買が多い傾向があります。
 

したがって、より正確に不公平なく売買をしたいということであれば実測売買ということになりますし、あまり費用を掛けたくないということであれば公簿売買ということになります。

なお、実測売買の場合は売主さんが測量費用を負担することが多いですが、買主さんの希望で測量を行う場合は買主さんが負担することもあります。
 

②公租公課の負担・精算及び計算期間(起算日)
 

公租公課は、固定資産税及び都市計画税がほとんどであり、売買代金を決済する前日までを売主さんが負担し、決済日以降が買主さんの負担とすることが多いです。

ただし、法律上は毎年1月1日付の所有者に納税義務があるのであり、買主さんには納税義務はなく、精算することが義務付けられている訳でもありません。したがって、契約内において精算しないとすることも可能です。比較的価格が低い不動産の場合は年間の固定資産税が数千円という場合もありますし、親族間や知人間という関係性がある場合は精算しないこともあります。
 

また、仮に精算をすることとなった場合、年間の固定資産税等の起算日をいつにするか揉める場合があり、これは法律によって定められているのではなく地域の慣習によって分かれます。

愛知県や関西地方では4月1日から翌年3月31日までを計算期間とする傾向がありますが、関東地方や北海道などでは1月1日から12月31日までとする傾向があるもののどちらが正しいというものでもありませんので、この点は各契約によって定めることとなります。

なお、4月1日からと1月1日からとを比べた場合、前者の方が売主さんの負担が少なく(買主さんの負担が多く)なり、後者の方が売主さんの負担が多く(買主さんの負担が少なく)なります。

③特別な解除権
 

不動産の売買契約においては手付解除、債務不履行解除、危険負担による解除、反社に該当することによる解除が定型で定められていると思いますが、それ以外にも個々の契約で特別な解除を認める特約を定めることがあります。

よくあるのが「ローン特約」であり、住宅ローンが組めなかった場合には、契約を違約金等無しで白紙解除できます。もっとも、個人間の売買だと住宅ローンを組めないことが多いため、不動産業者が仲介しない場合はあまり見かけることはありません。

それ以外にも、「測量した結果〇〇㎡以下だった場合は白紙解除」、「土地の占有者が〇〇までに立ち退かなかったら白紙解除」、「〇月〇日までに転勤の辞令が出たら白紙解除」など、自由に定めることができます。もっとも、あくまで当事者が合意すればの話であるため、一方が認めない場合は特約とすることはできません。
 

④契約不適合責任
 

民法改正により今年の4月から新しく定められた責任ですが、従前も「瑕疵担保責任」として似たような条項が定められていました。

端的に言うと、購入した不動産に何らかの不具合があったときに、売主さんが代金の減額、修繕の負担をしたり、最悪の場合は契約自体を解除することができるというものです。

これは売主さんの負担が大きい責任であり、特約が無ければ最大で10年間も責任を負い続けることになるため、責任期間を短縮(1か月~1年程度)することが多く、さらには契約不適合責任自体を負わないとすることもあります。実際に、私が作成した契約書では、ほとんどのケースで契約不適合責任は負わないとしております。
 

ただし、これには例外があり、売主が不動産業者である場合は、最低でも引き渡しから2年間は契約不適合責任を負わなければならないとされています(宅建業法40条)。
 
 

親族間・知人間等の個人間での売買をされる際は、登記手続だけでなく、上記のような契約書についても当方で作成いたしますので、お考えの際はお問い合わせいただければと思います。
なお、個人間売買に要する費用についてはこちらをご覧ください。

→ 個人間売買について

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10月 21 2020

現住所を登記したくない場合(極めて例外的)

当事務所では,弁護士さんとのお付き合いもたくさんあり,弁護士さん経由で登記のご依頼をお受けすることがあります。

例えば,遺産分割調停が成立した後の相続を原因とする移転登記,離婚訴訟が終わった後の財産分与による移転登記,当事務所でも行っている訴訟を得た後の抵当権抹消登記など多岐に渡ります。
 

今回も弁護士さんが裁判手続を経た後,当事務所にご依頼があったのですが,当事者の欄を見ると住所が「秘匿」となっており,ご住所を明らかにしたくない何らかの事情があることが窺えました。

そこで,今回は住所を登記したくない場合についてまとめてみました。ただし,限定的,例外的な取り扱いであり,実際に該当するケースは極めて少ないと思います。
 

 
 

1 登記における「住所」

 

不動産を取得したり,抵当権を設定した場合など,誰が所有者(権利者)であることを登記簿上明らかにする必要がありますが,その際,誰が権利者であるかは原則として住所及び氏名で特定することになります。

例えば,不動産を購入された場合の所有権移転登記を申請する際には,新所有者となる買主さんがどなたであるかを証明するために住民票等の公的書面を添付して申請することになります。
 

また,不動産を売却する場合,名義が無くなる所有者本人が手続に関与していることを証明するために,権利書及び印鑑証明書(+実印が押印された書面)を添付して申請します。もし,登記されている住所が現住所と異なる場合は,所有権移転登記の前提として登記簿上の住所から現住所への住所変更登記を申請したうえで,その後に所有権移転登記を申請いたします。

これは,印鑑証明書をは現住所の役所で発行してもらう書類であり,登記簿上の住所を現住所に変更し,登記簿上の住所と現住所が一致していないと本当に登記された所有者が手続に関与しているか法務局が判断できないからです。
 

このように,住所というのは結構大事な情報となります。 
 

2 住所を登記しないことは特殊な事例を除きできない

 

上記のとおり,住所は誰が権利者であるかを特定するための大事な情報となりますので,住所を登記しないということは原則としてできません

例えば,まだ出生していない胎児の名義でも所有者として登記できる場合がありますが,その場合も住所の登記は必要になりますし,慶応生まれで昭和初期に亡くなった方への相続登記などで住所を証明する書類が一切ない場合もありますが,その場合でも本籍地を住所として登記することになります。
 

特殊な事例として住所の登記が不要な場合がありますが,これは国や地方公共団体が権利者になる場合です。

平成24年頃,一般の方が所有されていた尖閣諸島について,東京都が購入すると表明し,最終的には東京都ではなく国が購入することになりました。この場合,管轄する国土交通省の名義で購入したのですが,下記のとおり国土交通省の住所は登記されません。 

 
 

上記のとおり,住所は誰が権利者なのかを特定するための情報であり,逆に言えば,住所が無くても特定できるのであれば住所は不要ということになります。そして,国土交通省名義で登記してあれば,一見して国有化された土地だということは分かりますので,住所を登記する必要はないということになります。 
 

3 現住所ではなく,前住所の登記を例外的に認める場合(新たに権利を取得する場合)

 

ここからが今回の本題になるのですが,個人の方が様々な理由で自分の住所を登記したくないということがあります。例えば,「親族と仲が悪い」,「ストーカーやDVの被害に遭っている」,「芸能人などの有名人である」などいろいろあるかと思います。
 

一般的に,住所を証明する一番の書類は住民票となりますが,基本的に第三者の住民票を勝手に取得することはできません。しかし,不動産の登記簿は公開されるのが原則であり誰でも不動産の登記事項証明書を自由に取得することができますので,不動産の所有者として載っている住所を調べることで間接的に第三者が住所を調べることができてしまいます

とはいっても,住所を登記しないと誰が権利者なのかを特定することができなくなってしまいます。
 

そこで,極めて例外的ではありますが,下記の書類を提出した場合に限り,現住所ではなく前住所や前々住所を登記することによって現住所を特定されないようにすることができるようになっています(平成27年3月31日民二第196号)。
 

住民票上の住所を秘匿する必要があり「住民票に現住所として記載されている住所地は、配偶者等からの暴力を避けるために設けた臨時的な緊急避難地であり、あくまで申請情報として提供した住所が生活の本拠である」旨を内容とする上申書(登記権利者の実印で押印されたものであり,印鑑証明書も必要
上記の前住所や前々住所等が記載された住民票や戸籍の附票等
いわゆる「DV防止法」,「ストーカー規制法」及び「児童虐待防止法」で支援を受けていることを証明する書面
 

つまり,この制度を利用できるのはDV,ストーカー及び児童虐待の被害者の方に限定されているため,単に「有名人だから」という理由では利用できないということになります。 
 

4 住所変更を省略できる場合(権利を失う場合)

 

上記のとおり,不動産を売却等して名義が無くなる場合,現住所の役所から発行してもらう印鑑証明書に記載されている住所と登記簿上の住所が一致していなければなりませんので,登記簿上の住所が前住所である場合は,前提として現住所に変更したうえで名義変更の登記を申請する必要があります。
 

ただし,下記の書類を提出した場合に限り,住所変更登記をすることなく,名義変更の登記を申請することができるようになっています(平成25年12月12日民二第809号)。
 

登記簿上の住所と現住所までの変遷が分かる住民票や戸籍の附票等

いわゆる「DV防止法」,「ストーカー規制法」及び「児童虐待防止法」で支援を受けていることを証明する書面
 

こちらも,制度を利用できるのはDV,ストーカー及び児童虐待等の被害者の方に限定されているため,単に「有名人だから」という理由では利用できないということになります。 
 

5 まとめ

 

以上の次第で,現住所を登記しないで登記手続を行うというのはハードルが高いのですが,もし該当される方は,被害発生防止の観点からもぜひ利用すべき制度だと思いますので,ぜひご検討ください。

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9月 07 2020

農地について

絶対数として多い訳ではありませんが,当事務所においても農地(田や畑)に関する登記をご依頼いただくことがあります。 

農地については様々な制約があり,私どもとしてもかなり注意して取引に関与させていただくのですが,一般の方が勘違いされていることが多いので,一度まとめておきたいと思います。
 

 
 

1 農地とは

 

私どもが言う農地とは,端的に申し上げると耕作の目的に供される土地のこと(農地法2条1項)であり,用水を用いて耕作する土地が「田」,用水を用いないで耕作する土地が「畑」となります(不動産登記事務取扱手続準則第68条)。
 

この農地を売買や贈与をするためには,農地法所定の手続を踏まないと売買等をすることができないことになっており,もし,手続を踏まずに売買をしたとしても,法律上は無効となります。無効である以上,登記名義を変えることもできません。ただし,農地法所定の許可が得られることを条件とする条件付仮登記は可能です。
 

なお,登記手続においては,登記簿の地目が「田」や「畑」になっている場合はもちろんのこと,登記簿の地目が「宅地」や「雑種地」になっていても,評価証明書の現況地目が「田」や「畑」になっていれば農地と判断されますので,下記の手続を踏まないと登記申請は却下されてしまいます。 
 

2 農地法所定の手続

 

農地を売買等をする場合,以下のいずれかの手続が必要です。
 

農地法3条の許可 → 農地を農地のまま売買,贈与等をする。

農地法5条の許可 → 農地を農地ではないものに変更したうえで売買,贈与等をする。
 

なお,間にある農地法4条の許可は,農地を農地以外に変更するための許可であり,所有者は変わりません。したがって,農地法3条と4条の許可を合わせたものが5条の許可ということになります。
 

ただ,この許可はそう簡単に出るものではなく,特に5条の許可についてはやむを得ない事情がないと基本的には許可がされません。例えば,農地の所有者の子どもが家を建てようと思っているが,他の土地は無く,他の土地を取得するような費用も無いので,やむを得ず農地を宅地に変更したいというような場合になります。 
 

3 許可の例外

 

原則として上記のようにハードルが高い許可を取る必要があるのですが,許可が無くても良い場合があります。大きく分けて以下の2種類があります。
 


(1)市街化区域の場合

土地が所在する場所が市街化区域に指定されている土地の場合は,農業委員会に「宅地に変えますよ」という届出をすれば良いことになっております。許可だと農業委員会の判断を仰ぐことになりますが,届出は単に届出書を出せば良いだけですので,ほぼ無条件だと思ってもらって良いと思います。



 

(2)許可を必要としない原因等の場合

売買や贈与などで第三者に譲渡する場合は許可が必要になるのですが,許可が不要な原因があります。

例えば,相続の場合は許可は必要ありません。これは農地の所有者が亡くなることによって,民法の規定に基づき相続人が相続するのであって,農業委員会の判断が入る余地が無いからです。なので,相続人がまったく農業をやっていなくても農地を相続することはできます。
 

また,相続人と同じ権利義務を有することになる包括受遺者についても許可は必要ありません。しかし,相続人以外の者が特定遺贈として農地をもらい受ける場合は許可が必要になるので注意が必要です。
 

さらに,時効取得や共有持分の放棄なども農地法の許可は必要ありません
 

加えて,農地を担保として取る場合(抵当権設定)についても農地法の許可は不要です。というのは,あくまで担保に取るだけであって,実際に使っているのは元の所有者であって,現状と何も変更が無いからです。 
 

4 まとめ

 

上記を大まかにまとめると以下のとおりとなります。

【原則】

農地の名義を変えるためには許可が必要
 

【例外】

①市街化区域であれば許可は不要

②相続,包括遺贈,時効取得であれば許可は不要

③抵当権設定であれば許可は不要
 
 

つい先日も,借金が返せないということで,弁済してもらう代わりに債務者が所有する農地の名義を変えたい(代物弁済)というご相談があったのですが,こちらは農地法の許可が必要であり,かつ,許可が得られる見込みはないため,抵当権設定登記にしておくといった事例もあります。
 

農地は,当事者の思い通りに処分できないことの方が多いので,お近くの司法書士・行政書士にご相談ください。

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