愛知・岐阜・三重にお住まいの方で不動産売買登記・相続登記のご相談ならはなみずき司法書士事務所

愛知・岐阜・三重にお住まいの方限定 不動産売買登記・相続登記ドットコム オンライン申請で賢く登記

お気軽にお問い合わせください。電話番号0561-61-1514。ファックス番号0561-61-1535
メールフォームによるお問い合わせはこちら
トップページ » はなみずき通信
>>ブログトップへ

相続に関すること

6月 26 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(その他)

前々回及び前回に引き続き,令和元年に改正される相続分野について記載いたします。
 

今回は,遺産分割,遺言及び遺留分等以外のその他部分に関するものについてです。
なお,配偶者居住権及び法務局での自筆証書遺言の保管については,令和元年7月1日施行ではないため今回は記載しておりません。
 


 

1 相続人以外の者の貢献を考慮するための方策

 

被相続人に対して療養看護をしたりして,被相続人の財産の維持や増加に寄与した相続人は他の相続人と比べて多く相続できる「寄与分」という規定があります(民法904条の2)。しかしながら,この規定はあくまで相続人が「被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与」をした場合に認められる規定であり,相続人の配偶者(例えば長男の妻)や孫が寄与した場合でも相続人ではないため寄与分は認められません
 

もちろん,そのような方でも遺贈を受けることができますので,被相続人が遺言書を書いてくれれば財産を取得することができますが,多くの方はそんなことを生前の被相続人に依頼することはできませんよね。
 

ということで,今回の改正によって,遺言書がなくても相続人以外の方についても財産(金銭)を受け取れる制度ができました。
 

(1)請求できる人

①被相続人の親族であること。

被相続人とは何ら関係ない人が療養看護をしている場合は,介護サービスなど何らかの金銭の対価が伴っていると考えられるからです。

②療養看護が無償で行われていること。

対価を得て療養看護を行っているのであれば,再度請求を認める必要はないためです。
 

(2)請求方法

相続人に対して,金銭の支払いを請求することができます。この点,遺産分割協議に参加できるものではなく,さらに不動産などの分配ではなく金銭の支払いを求めることができるにすぎません。また,相続人が複数いる場合は,特定の相続人でも良いですし,全員に請求しても構いませんが,全額を特定の相続人に請求することはできず,その相続人の法定相続分が上限となります。
 

(3)金額の決定方法

基本的には当事者で話し合いをして決めていただくことになりますが,まとまらない場合は家庭裁判所に「協議に代わる処分」を請求して裁判所に具体的な金額を決めてもらうことになります。
 

(4)除斥期間

請求する人が被相続人が亡くなったことを知ってから6か月または被相続人が亡くなったときから1年以内に請求しなければなりません。 
 

2 相続の効力等に関する見直し

 

相続全般について,いくつか効力や権利を保護するための方法に変更があります。
 

(1)相続登記が対抗要件に

従前は,遺言書にて「長男に〇〇の土地を相続させる」としていた場合,長男は相続登記をしていなくても自分の権利を第三者に対抗することができました

今回の改正により,このような遺言書があったとしても,長男は相続登記をしなければ自分の法定相続分を超える部分については第三者に対抗することができなくなります

この点,遺言ではなく遺産分割の場合は従前から法定相続分を超える持分については登記をしなければならないとされていましたので,むしろ整合性が取れる内容になったと思います。また,あくまで法定相続分を超える部分についてのみ対抗できないだけなので,自分の法定相続分はやはり登記なくして対抗できますし,そもそも相続人が1名しかいないのであれば登記なくして所有権全部について対抗できることになります。

ただ,日常生活にどれほど影響があるかと言われると,大多数の方にはほとんど影響はないと思います。
 

(2)債務の承継について
相続が生じると,不動産や預貯金のような財産(積極財産)だけではなく,借金などの負債(消極財産)も相続することとなります。

積極財産は遺言によって誰が相続するかを被相続人が決めておくことができますが,消極財産は債権者がいる話ですので勝手に被相続人が誰が相続するかを決めることはできません。

この点,改正前も判例によって債権者の承諾があれば,消極財産についてもどのように相続するか決めることができるとされておりましたが,改正によって明文化されました。
 
 
 

このほかにも細かい点はございます(遺言執行者がいる場合の相続人の行為の効力等)が,一般的に影響があるのはこれまでに記載してきたものではないかと思います。

特に,預貯金の払い戻しは大多数の方に影響がある話ですし,遺言書を作成されている方だと遺留分侵害額請求権は大きな改正になるかと思います。

また,まだ施行されていませんが,配偶者居住権や法務局での自筆証書遺言の保管制度も大きな改正となります。

今後も,続報が入りましたら随時更新してまいります。

コメントは受け付けていません。

6月 25 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺言,遺留分等に関するもの)

前回に引き続き,令和元年に改正される相続分野について記載いたします。
 

今回は,遺言及び遺留分等に関するものについてです。
 

 
 

1 遺留分減殺請求から遺留分侵害額請求へ

 

自己の財産を遺言によってどなたに贈与(遺贈)しても自由であるのが原則です。相続人のどなたかに全財産を渡しても良いですし,慈善団体に寄付しても構いません。

しかしながら,被相続人の財産で生活していた家族がいた場合,全財産を第三者に渡されてしまうと生活ができなくなってしまう可能性があります。

そこで,法律では一律に法定相続分の半分(相続人が存続の場合は1/3,兄弟姉妹はなし。)を遺留分として,遺贈を受けた人から返してもらう権利がありました。この返してもらえる権利を遺留分減殺請求権と呼びます。
 

ただ,この遺留分減殺請求権は,相手方に通知すると直ちに効力が生じることとなり,第三者が不動産の遺贈を受けていてその方に遺留分減殺請求をした場合は,不動産が共有状態になるという不都合がありました。何が不都合かというと,不動産が共有になっているとどちらかが使おうにも話し合いをしなければなりませんし,売ってお金に変えようとしても双方の合意がないと売れません。一般的に,遺留分減殺請求をした方は相手方を良くは思っていませんので,合意を得るのも大変です。

そこで,今回の改正により,遺留分を超える遺贈を受ける人に対して遺留分に不足する分を請求することができること自体は変わりませんが,あくまで金銭の支払いを求めることができるのみということになりました。
 

これにより,不動産が共有になるということは無くなりますので,お金で解決すれば良いことになります。
 

なお,「減殺」という文字が使われなくなりましたが,これは従前の遺留分減殺請求権が遺贈の一部の効力を消滅させる(減殺)という意味があったものの,改正によって遺贈の効力はそのままに新たに侵害額請求権を付与したものであるため,減殺という文字が使われなくなりました。
 
 

注意点

(1)時効(除斥期間)について

遺留分減殺請求権は,請求できるときから1年または被相続人の死亡から10年で権利行使ができなくなっており,遺留分侵害額請求権も同様です。ただし,いったん請求した後は,遺留分侵害額請求権は通常の金銭債権ですので10年で時効になります。ただし,債権法の改正により消滅時効が5年に短縮されますので,改正後に関しては5年で消滅することになります。
 

(2)期限の許与について

遺留分侵害額請求を受けた相手方は,遺贈を受けたのが現金や預貯金であればすぐに支払うことはできるかと思いますが,不動産などすぐにお金に換えられないものを遺贈された場合,すぐには支払うことができません。そこで,遺贈を受けた方は裁判所に支払いの猶予(期限の許与)を請求することができます。 
 

2 遺言執行者の権限の明確化

 

一般の方にはあまりなじみがないかもしれませんが,遺言の中に遺言執行者を選任しておき,遺言者の死亡後にその者が承諾することによって,遺言執行者が遺言の内容を実現することになります。

これまで権限がそれほど明確でなかったり,第三者への委任(復任)が厳しい内容となっていましたが,それを分かりやすいものに変更しました。
 

具体的には以下のとおりです。

(1)復任が原則自由に

現状ではやむを得ない事由がない限り第三者に手続をしてもらうことができませんでしたが,改正後は自己の責任において第三者に手続を進めてもらうことができるようになりました。
 

(2)権限が明確に

たくさんの規定されたのですが一部を抜粋すると,①相続登記や特定の者が相続する預貯金など特定財産承継遺言がある場合は,遺言執行者ができないとされていた手続について,遺言執行者ができるようになり,②特定遺贈及び包括遺贈の義務履行については,遺言執行者のみが行うこととされました(包括遺贈については相続人も手続きができました。)。
 

次回は,遺産分割,遺贈,遺留分以外のその他についてまとめたいと思います。

コメントは受け付けていません。

6月 23 2019

令和元年7月1日からの相続法改正の施行について(遺産分割に関するもの)

平成30年に民法の中に規定されている相続に関する部分について大きな改正がなされました。
ただ,すぐにその法律どおりに運用されるのではなく,一定の周知期間を経て施行(改正法の効力が生じる)ことになっています。 

その第一弾として,自筆証書遺言の作成に際して,一部についてはパソコン等で作成しても良いという改正が施行されました。
→ 自筆証書遺言の方式の緩和 

実際のところ,当事務所が関与させていただく場合はそもそも自筆証書遺言ではなく公正証書遺言をお勧めしておりますので改正法の影響はあまりないのですが,ご自身で作成される場合には重要な改正になるかと思います。 

そして,来月(令和元年7月1日)より第二弾の施行がありますので,今回はこちらについてまとめてみたいと思いますが数が多いので3回に分けて記載いたします。
 

まずは,遺産分割に関するものについてです。
 

 
 

1 遺産分割前の預金の払い戻し

 

従前は,「預金は法定相続分に応じて当然に各相続人が相続する」とされていましたが,平成28年12月に最高裁判決がそれまでの考え方を改めて,各相続人の共有財産になることとしました。

→ 預金も遺産分割の対象に(最高裁判決)
 

当該判決までは,拒否するところが多少あったものの多くの金融機関では各相続人の法定相続分に応じた金額のみの払い戻しは認めてくれていましたが,上記最高裁判決からは原則として遺産分割協議前の払い戻しはできないこととなりました。

→ 一部の相続人からの預金の払い戻し
 

これにより,預金口座の名義人が亡くなった場合(正確には亡くなったことを金融機関が知った場合),金融機関は口座名義人の預金口座を凍結してしまうため,相続人が出入金をすることができなくなり,当該口座名義人の収入で生活されていた場合の生活の支払いや入院費用・葬儀費用の支払いなど,近々の支払いに苦慮される方もいらっしゃいます。
 

そこで,全額ではありませんが,一部に限り遺産分割前の払い戻しを認める制度ができました。 

(1)預貯金額の3分の1につき,自己の法定相続分を乗じた金額

例えば,A銀行に300万円の預金があり,法定相続分が2分の1だった場合は,300万円×1/3×1/2となり,50万円の払い戻しができることになります。
 

(2)各金融機関ごとに考える

例えば,A銀行に300万円の,B銀行に600万円の預金がある場合,上記のとおり計算すると,全体としては900万円×1/3×1/2で150万円となりますが,A銀行の口座から150万円の払い戻しを受けることはできず,A銀行から50万円,B銀行から100万円を払戻すことになります。
 

(3)各金融機関の上限は150万円

例えば,A銀行に300万円,B銀行に600万円,C銀行に1200万円の預金がある場合,A銀行とB銀行は上記のとおりですが,C銀行については1200万円×1/3×1/2で200万円になるのではなく150万円まで払い戻しができることになります。
 

(4)この手続きでは足りない場合

上記金額以上の払い戻しが必要な場合,原則としては遺産分割協議がまとまってからとなりますが,それでは対応できない場合は,仮分割の仮処分(家事手続法第200条2項)を裁判所に申し立てて進めていくことになります。もっとも,この手続きは急迫の危険を防止するためというかなり厳しい条件が付いていますので,なかなか認められるのは難しいと思います。
 

(5)必要書類等について

こちらの手続を使うためには,①口座名義人が亡くなっていること,②自己の法定相続分を証明することの2点を証明する必要がありますので,口座名義人の出生から死亡までの戸籍謄本等相続人の内容が分かる戸籍謄本等をご準備いただくことになります。この点,上記の内容が分かれば良いので,法定相続情報証明でも大丈夫だと思います。
 

また,金融機関次第ではありますが,払い戻しの手続を行う方の印鑑証明書も必要になると思います(他の相続人の印鑑証明書は不要です。)。 
 

2 夫婦間の居住用不動産の贈与等について

 

婚姻期間が20年以上の夫婦間においては,居住用不動産またはその取得費用について贈与したとしても,2000万円までは贈与税が非課税になる特例があります。

→ 国税庁サイト
 

確かに,贈与税は非課税になるのでメリットは大きいのですが,この贈与は「遺産の先渡し」と考えられており,遺産分割のときには特別受益として被相続人の財産に加算する結果,配偶者の取得分がその分減ることになっています(いわゆる持ち戻し計算)。
 

今回の改正で,上記の居住用財産に関する贈与に限り,特別受益とは考えずに,残った遺産だけを分割すれば良いため,配偶者の取得分が結果として増えることになります。
 

具体的に金額を記載すると以下のとおりです。

①夫A,妻B,子CとDがいたとします。Aは生前Bに対して居住用不動産(2000万円相当)を贈与しました。

②Aが死亡したときの遺産は預貯金6000万円のみだったとします。

③改正前は,居住用不動産の2000万円を持ち戻すため,Aの遺産は8000万円となり,法定相続分どおり分割したとすると,Bはすでに受領済みの不動産2000万円と預貯金2000万円を相続し,CとDは各2000万円ずつ取得することになります。

④改正後は,不動産は関係なくなりますので,単に6000万円を分割すればよいことから,Bは3000万円,CとDが1500万円ずつ相続することになりますので,Bの取り分は多くなることになります。
 

この改正のポイントは以下のとおりです。

(1)居住用不動産であること
 
贈与税の非課税は,居住用不動産取得のための現金でも非課税となりますが,この規定については居住用不動産のみです。
 

(2)贈与の時点で居住すること

居住用不動産の贈与であることから,贈与のときに居住しているか,近い将来居住する予定であることが必要です。
 

(3)贈与ではなく遺贈でもOK

上記はすべて贈与と記載しておりますが,遺贈でも大丈夫です。
 

(4)適用させないことも可能

被相続人が遺言等で上記規定を排除することが可能です。 
 

3 遺産が勝手に処分された場合の処理

 

相続人のうちの誰かが遺産を勝手に使いこんでしまった場合,遺産分割手続ではなく通常の訴訟で先に確定させる必要がありました。加えて,勝手に使われたことの立証は難しく,「やられ損」ということが多々ありました。
 

今回の改正で使い込んだ人の同意等の必要はなく,使い込んだ分も遺産に含んだうえで遺産分割協議を行うことができるようになりました(使い込んだ人はその分,取得額が減ることになります。)。
 

ということで,遺産協議に関する改正だけでもかなり大きい改正となり,特に預金に関する改正はほとんどすべての方に影響がある改正になるかと思います。

次回は遺言に関する改正です。

コメントは受け付けていません。

2月 08 2019

相続登記の義務化(?)

本日(2月8日)に以下のようなニュースがありました。

「土地の相続登記を義務化 所有者不明土地問題で」
 

ざっくり要約すると,土地の所有者が亡くなった方の名義のままになっており,公共事業などに支障が出ているため,相続登記を義務化しようというものです。
 

今日はこの点について簡単ではありますがまとめてみたいと思います。 
 

権利の登記は権利

 

不動産を取得した場合の「所有権移転登記」や住宅ローンを完済した後の「抵当権抹消登記」など,権利に関する登記をするかどうかは当事者に委ねられています。つまり,登記をするかどうかは権利であって義務ではありませんので,不動産を購入しても登記しなくても問題ありませんし,住宅ローンを完済しても抹消登記をしなくても罰せられることはありません。

もっとも,登記をしないと後々トラブルになることが想定されますので,実際には登記をされる方が多いと思います。
 

この点,山林や農地など,比較的利用価値が低い不動産については相続が起こってもでも欲しがらない方が多く,登記をしないまま何十年も経過しているということが多々あります。それが積み重なり,上記のとおり公共事業などに支障が出てきているということになります。具体的には,新しく高速道路を造ることになった場合,当然ながら土地の所有者の印鑑が必要となりますが,亡くなった方に印鑑を押してもらうことはできませんので,相続人を探し出して,全員の方から印鑑をもらう必要があります。それができればまだ良い方で,実際には相続人もすでに亡くなっていたり,行方不明になっていたりと,現実的に印鑑をもらえない状況が多くなってきています。 
 

義務化してもまとまらないのでは

 

上記のとおり,権利の登記は権利であって登記をしなくても問題ありませんが,「表示の登記」と呼ばれるものはすでに現時点で義務となっています。
 

表示の登記というのは,土地であれば地積(面積)や地目など,建物であれば種類や構造,床面積などが記載されている部分で,物理的な現況を示す登記です。例えば,畑を宅地にしたのであれば地目を宅地に変更しなければなりませんし,建物を新築したのであれば新築した旨の登記をしなければなりません。
 

もし,表示の登記を1ヶ月以内にしない場合,過料という罰金なようなものを科せられることになっており,義務を裏付けるものとなっております。
 

ところが,世の中には登記がされていな建物は無数に存在していますし,地目が変わっても変更していない土地も無数にあります。にもかかわらず,過料が科されたという話は聞いたことがありません。あくまで雑談の域を出ませんが,法務局の偉い方の研修に参加したときに,その方ですら過料に科されたケースを聞いたことがないと仰っていましたので,恐らくこれまでに過料が科された人はいないのではないかと思います。
 

つまり,相続登記が義務化されたとしても,刑罰として懲役や罰金が科せられるとは考えにくく,表示の登記と同様に過料に留まると思われ,実際のところ相続登記が義務化されてもそれほど強制力はありませんので,これをもって完全に解決するというのは難しいと思います。
 

上記のとおり相続登記をしてない土地は比較的財産価値が低い土地が多いです。しかしながら,現在の法律ではどんな無価値な不動産でも放棄することは認められていません。先日も,とある司法書士がご自身の親御さんの案件で,国に対して土地の所有権を放棄する旨の訴訟をしましたが敗訴しました。
もし,土地の所有権を放棄することができる(国や地方公共団体が引き取る)ようになれば,かなりの数が解決できると思うんですが,どうなんでしょうかねぇ。

なお,改正されるとしても来年以降の話になりますので,今後もまた情報が入りましたら更新していきたいと思います。

コメントは受け付けていません。

1月 09 2019

自筆証書遺言の方式の緩和

本記事の作成は平成31年1月9日ですが,週末の1月13日から遺言書について少しだけ変更と言いますか,緩和された方式が始まります。

その他の変更点も踏まえて,まとめておきたいと思います。
 

 
 

自筆証書遺言とは

 

よく使われる遺言の方式としては,(1)公正証書遺言(2)自筆証書遺言の2つがあります。
 

弁護士さんや私ども司法書士などの専門家が関与する場合,少しでも紛争が生じること及び遺言書が無効になるのを防ぐために公正証書遺言で行うことがほとんどですが,専門家が関与しない場合は自筆証書遺言で作成されているケースもあります。
 

自筆証書遺言とは,文字どおり「自筆」で書く遺言書でなければなりませんので,パソコンで作成したり,第三者が作成したものは無効になってしまいます。
 

この点,「遺言者の遺産のすべてを●●に相続させる。」というような簡単なものであれば自筆で書くこともそれほど大変ではないと思いますが,「A不動産は甲さんに,B不動産は乙さんに,C銀行D支店口座番号●●●●の預金は丙さんに・・・」というように財産が多かったりするとすべてを自筆で書くのは大変ですよね。
 

ということで,今回少しだけですが「自筆」の部分が緩和されることとなりました。 
 

自筆でなくても良くなったもの

 

上記の例でいうと,「A不動産」や「B不動産」,「C銀行の預金」など,財産に関する目録については自筆で無くても良いこととなりました(ただし,財産目録に署名捺印が必要です。)。
 

「自筆でない」というのは,下記のようなものでもすべてOKとなります。
 

(1)パソコンで作成してプリントアウトしたもの

(2)遺言者ではない第三者が書いたもの

(3)登記簿謄本や通帳などの財産が分かるもののコピー
 

したがって,遺言書を作成する場合には,「遺言者は,遺言者の長男である甲に財産目録1番の土地を相続させる。」のように記載すれば良いこととなります。

注意点としては,あくまで自筆でなくても良いのは財産目録だけですので,上記の文章は自筆で記載する必要があります。 
 

自筆証書遺言に関する新設の制度

 
 

上記の財産目録に関する改正は,最初に記載したとおり平成31年1月13日からとなりますが,平成32年(2020年)7月10日から施行される新しい制度があります。それが,法務局における遺言書の保管制度です。

公正証書遺言の場合,原本は公証役場に保管されることとなっておりますが,自筆証書遺言によって作成された遺言書の保管方法は定められておりません。したがって,遺言者ご自身が貸金庫等で保管しても良いですし,相続人の方に預けても良いですし,食器棚にしまっても良いです。
 

とすると,場合によっては遺言書が第三者に変造されてしまう可能性がありますし,紛失してしまうことも考えられます。
 

そこで,法務局に遺言書を預かってもらうことができる制度が始まりました。さらに凄いのは,法務局が遺言書を画像データとして保管してくれることとなり,相続人がその写しの交付することができることに加えて,自筆証書遺言の最大のネックだった検認手続が不要となります。
 

上記の財産目録の緩和に加えて法務局の保管制度が始まると,公正証書遺言ではなく自筆証書遺言で進めるケースも多いかと思います。
 

当事務所では,自筆証書遺言作成のサポート等も行っておりますので,お気軽にご相談いただければと思います。

コメントは受け付けていません。

7月 31 2018

配偶者居住権の新設

相続法が大改正され,新しい制度や大きく改正された制度がいくつかあります。
 

今後何回かに分けて,改正された点についてまとめていきたいと思います。
 


 

いきなりですが,具体的な事例を挙げてみます。
 

被相続人(亡くなった方)→ Aさん(夫)
相続人 → B(後妻),C(前妻との子)
 

Aさんが亡くなったときには,預貯金等のめぼしい財産は一切なく,唯一残されたのがAさん名義の自宅(3000万円相当)でした。
Aさんが亡くなるまで,Bさんも一緒に生活しておりましたが,Cさんはすでに結婚して別で家族を築いていました。
Bさんは,自身の預貯金は500万円程度であり,これを元手に自分が亡くなるまでは自宅で生活していきたいと考えておりましたが,前妻の子であるCさんは自宅を相続することを譲らず,相続について話し合いで解決するのは難しい状況でした。

このようなケースを前提として,新しく新設された配偶者居住権についてまとめたいと思います。 
 

今までは

 

相続人は後妻であるBさんと前妻の子であるCさんの2名であるため,法定相続分としては2分の1ずつとなり,遺産が自宅のみということであれば,自宅に対する持分を各自2分の1ずつ相続することとなります。
預貯金など簡単に分けることができる財産で有れば単純に分割すれば良いのですが,不動産の場合は,その後の管理や処分の問題があるため,遺産分割協議を行ったうえで,相続人のどなたかに相続させることが多いかと思います。
 

今回のケースの場合,遺産分割が行われるまでの間に関しては,とりあえずはBさんは居住し続けることができます。というのは,共有者である以上,自宅を利用する権限があるからです。また,平成8年12月17日最高裁判決により,少なくとも遺産分割協議がまとまるまでの間に関しては,Cさんに使用料などを支払うことなく居住することができることとされています。
 

この点,相続人間の関係が良好であり,特に揉めていないようであれば何も問題はありません。
 

しかしながら,今回のケースのようにもめているということであれば,いずれ遺産分割調停などを起こされ,遺産分割を迫られることは容易に想定できます。
 
 

遺産分割協議にしても遺産分割調停にしても,このような状況になれば法定相続分をベースに話し合いを行うことになるかと思われ,下記の2つが考えられます。
 

(1)自宅を売却したうえで,BさんとCさんで1500万円ずつ分ける(換価分割)。

(2)BさんまたはCさんが自宅を相続し,相手方に1500万円を支払う(代償分割)。
 

Bさんとしては今後も自宅で生活していきたいと考えているということであれば,上記(2)で自宅を相続することになりますが,Cさんに対して1500万円を支払わなければなりませんがそのようなお金を用意することができませんので解決ができません。

Cさんが相続し,Bさんとの間で賃貸借契約を締結するということも考えられますが,毎月の賃料の支払いが必要となりますし,Bさんは契約解除による退去のリスクがあります。

BさんとCさんとの間で,Bさんが相続するが,Bさんが死亡した場合にはCさんに遺贈する内容の遺言書を書くことで合意するということも考えられますが,遺言書はいつでも書き換えることができますので,Cさんに大きなリスクがあります。 
 

配偶者居住権とは

 

配偶者居住権とは,「配偶者である相続人が,被相続人の遺産である建物を無償で使用及び収益することができる権利」です。

したがって,上記のケースにおいては,自宅はCさんが相続するものの,Bさんは一生無償で自宅で生活することができます
 

これにより,賃貸借契約と異なり,Bさんは契約の解除によって退去しなければならないというリスクを負わなくて済みますし,CさんとしてはBさんから遺贈を受けるのではなく,Aさんの自宅をすぐに相続することができますので,遺言書の書き換えのリスクを負うこともなくなります。 
 

配偶者居住権が成立するための条件

 

配偶者居住権が権利として成立するためには,以下の条件が必要となります。
 

(1)被相続人が亡くなった時点で,被相続人が所有する自宅に配偶者が居住していたこと。

→被相続人が死亡した時点で配偶者が自宅に居住していなければなりません。もし別居していたということであれば,自宅以外の生活の本拠が存在するということになるますので,配偶者居住権を認める必要がないからです。
 

(2)下記のいずれかにより配偶者居住権を取得すること

①被相続人が配偶者居住権を遺贈したとき

遺産分割協議により配偶者が配偶者居住権を取得することとされたとき(遺産分割調停,遺産分割審判を含む)

③被相続人と配偶者との死因贈与契約において,配偶者居住権を取得することとされたとき 
 

配偶者居住権の効果

 

配偶者居住権が認められた場合,以下の効果が生じます。

(1)被相続人の配偶者は,自己所有ではない自宅に無償で居住することができる。
→賃貸借契約と異なり,賃料の支払い義務はありません。ただし,下記のとおり必要費を負担しなければなりません。

(2)配偶者居住権を第三者に対抗するために,所有者に対して登記をするよう請求することができます。
→当事者の合意次第とはなりますが,一般的には配偶者側が登記費用を負担することになると思います。 
 

一方,下記の注意点もあります。
 

(1)配偶者は自宅を維持するための必要費を負担する義務を負います。

→自宅に居住し続ける以上は,それに伴う費用は負担するのが当然だからです。
 

(2)配偶者居住権を第三者に譲渡することはできません。

→ 配偶者のみに認められた権利であるためです。
 

ポイントとしては,配偶者居住権は登記が対抗要件となっていることです。賃貸借契約は「引渡し」が対抗要件,つまり居住している事実そのもので第三者に対抗することができますが,配偶者居住権は,登記がされていないと第三者に対抗することができます。
 

上記のケースにおいて,配偶者居住権の登記をしない間にCさんが第三者に自宅を売却してしまうと,当該第三者からBさんは退去を迫られることになってしまいます。

配偶者居住権を取得する場合は,配偶者居住権の登記もセットになるかと思いますので,お気軽にご相談いただければと思います。

コメントは受け付けていません。

4月 02 2018

相続登記の免税について

条件を満たすと,相続登記の際に納める登録免許税が無料(免税)になることになりました。実際のところ該当する事案がそれほど多いようには思えませんが,それでも免税になるのは相続登記の推進に関しては良いことだと思います。 

この件については,以前まだ法案だった頃に記事を書いたのですが,少し内容が変わっておりますので再度まとめたいと思います。
 


 
 

今回免税になる相続登記は2つのケースがありますが,1つはほとんどの方に関係がなく,かつ,あまりメリットもないため割愛し,影響がありそうな方のみ記載いたします。
 

①相続の対象が土地であること。
 

登記が絡んでくる時点で,ほぼ土地か建物になる訳ですが,免税の可能性があるのは土地のみです。
 

②原因が相続または遺贈であること。

あくまで相続の際の免税措置であるため,名義変更の原因は相続または遺贈でなければなりません。ただし,遺贈に関しては相続人に対する遺贈に限定されますので,第三者に対する遺贈は免税されません
 

③所有権の登記名義人の相続人がすでに亡くなっていること(二次相続が生じていること)

すべての相続登記が無料になるわけではなく,相続登記をしないままに相続人も亡くなってしまった場合である必要があります。

例えば,土地の所有者として登記されているAさんが死亡し,その相続人がAさんお子どもであるBさんただ一人でしたが,Bさんもその後死亡しており,そのBさんの相続人C(孫)がいる場合ということになります。なお,分かりやすい事例として子や孫を登場させただけであり,中間の相続人が死亡していれば配偶者,甥や姪などにも適用されます。
 

④亡くなった相続人名義にすること

上記の例で言うと,Aさん名義の土地を亡Bさん名義に変える相続登記に関する登録免許税が免税されます。

したがって,いったんBさん名義に変えた後に,Cさんに変える場合には登録免許税はかかりますし,各種条件を満たしてAさんから直接Cさんに相続登記する場合には免税になりません
 

⑤決められた期間内に登記申請をすること

平成30年4月1日~平成33年3月31日までに登記申請をしなければなりません。

なお,この期間内に申請をすれば良いだけであって,所有者や相続人が亡くなった日は関係ありません。

以上から,①土地の,②相続または遺贈で,③所有者の相続人も亡くなっており,④その亡くなった相続人に名義を変える登記を,⑤一定期間内に申請する場合,に免税されることとなります。
 

なお,あくまで登記申請の際の登録免許税が免税されるだけであり,役所等で取得する戸籍謄本等の取得費用が無料になるものではありませんし,司法書士にご依頼された場合の手続に関する報酬が無料になるものでもありませんのでご注意ください。

以上については,法務省のサイトにも記載してありますので,こちらもご覧ください。

コメントは受け付けていません。

2月 27 2018

夫婦間における自宅の贈与の特例は得か

夫婦間でのご自宅の贈与のご相談をお受けすることがありますが,基本的にはあまりお勧めはしておりません
 

というのは,将来的に相続が生じたときと比べて費用がかなり高くなるからです。とはいえ,まったくメリットが無いわけでもないので,金銭的な面も踏まえてまとめておきたいと思います。
 

 

相続税と贈与税

 
人が亡くなると相続が発生し,配偶者や子どもなどの相続人が遺産を相続することになります。

その際,亡くなった方の遺産が多いと相続税が発生するんですが,配偶者の場合は1億6000万円まで無税で相続することができます。一般的に,なかなか1億6000万円もの遺産をお持ちの方は少ないかと思われますので,多くの方が配偶者に関する相続税はかからないこととなります。
 

また,小規模宅地の場合は8割減で評価してもらえるという特例がありますので,1億円の不動産だった場合は2000万円で評価してもらうことができます。
 

一方,贈与に関しては,基礎控除の110万円を超える部分については贈与税がかかってしまいますが,夫婦間の贈与の場合は下記の条件を満たすと2000万円まで(基礎控除も含めると2110万円まで)は贈与税が無税となります。

夫婦の婚姻期間が20年を過ぎた後に贈与が行われたこと
 

配偶者から贈与された財産が,自分が住むための国内の居住用不動産であること又は居住用不動産を取得するための金銭であること
 

贈与を受けた年の翌年3月15日までに,贈与により取得した国内の居住用不動産又は贈与を受けた金銭で取得した国内の居住用不動産に贈与を受けた者が現実に住んでおり,その後も引き続き住む見込みであること
 

同一の配偶者からの特例をすでに使っていないこと(同一の配偶者間では一生に1回のみです)
 

また,この特例は自動的に適用されるわけではありませんので,戸籍謄本等の必要書類と併せて贈与税の申告をする必要があります。

ということで,遺産が1億6000万円以下の方については,わざわざ贈与しなくても相続の時に無税で取得することができますので,贈与に関してのメリットはあまりありません。 
 

不動産取得税

 
不動産を取得した場合,一度だけですが不動産取得税という都道府県税が課され,原則として固定資産税評価額の3%が課されます。したがって,一般的な戸建住宅だと数十万円程度かかりますし,比較的小さめのマンションでも10万円以上かかることが多いかと思います。

ただし,様々な特例があり,土地に関しては宅地だと半額で評価されたり,居住用住宅だと評価額から一定額控除されたりします。
 
この不動産取得税ですが,贈与の場合は課税されるものの,相続の場合は課されないことになっています。

したがって,この点からも贈与よりは相続の方が費用がかからないこととなります。 
 

登録免許税等の登記費用

 
不動産の名義を変える場合,法務局に登録免許税という税金を納めなければなりませんが,名義を変える理由(原因)によって税率が異なります。
 
この点,贈与に関しては不動産の評価額に対して2%であるのに対し,相続の場合は0.4%とされています。実に5倍違いますので,圧倒的に相続の方が得です。

ただし,贈与に関しては贈与契約書があれば良いものの,相続の場合は亡くなった方の戸籍謄本等が必要になりますので,評価額が高く無い不動産の場合は相続の方が費用がかかる可能性もあります。 
 
 

それでも贈与を行う場合

 
上記のとおり,費用的には相続の方が得であることが多いのですが,以下のような場合には贈与をすることが考えられます。
 

1 相続人間で揉める可能性がある

相続の場合は,基本的には相続人間で話し合い(遺産分割協議)を行い,最終的にまとまった内容の遺産分割協議書を作成します。ここには相続人全員の実印+印鑑証明書が必要となりますので,相続人のうち1名でも協力しない人がいると名義を変えることができません。一方,贈与は夫婦だけで進めることができ,子どもや親など,他の親族の協力は必要ありません。

したがって,相続になったときに揉める可能性があるようであれば贈与をしておくということも考えられます。
 

2 贈与者がリスクのあることを始めようとしている

例えば,夫が定年退職後に一念発起して商売を始めようとしている場合に,もし商売に失敗してしまうと夫名義の自宅を差し押さえなどによって失う可能性があります。したがって,商売を始める前に妻名義に変えておくことで最低限自宅だけは守るということができます

なお,上記の場合,妻が金融機関からの融資などで連帯保証人になっている場合や妻名義にした後に自宅を担保として入れてしまうと自宅は守れなくなってしまう可能性はあります。また,商売を始めて業績が悪くなった後に名義を変えた場合は,贈与が詐害行為となり,取り消される(夫の名義に戻る)可能性があります。
 

3 1億6000万円以上の遺産がある

上記のとおり,配偶者は1億6000万円までは非課税となりますが,それよりも多額の遺産がある場合は贈与した不動産の分だけ相続税を得することになります。

 

4 現金で贈与する場合

上記の不動産取得税,登録免許税はあくまで自宅そのものを贈与する場合であり,自宅の購入や建築費用としての現金を贈与する場合には課されません。

 
5 お金じゃないよ,気持ちだよ
贈与税がどうとか不動産取得税がどうとかではなく,長年連れ添った配偶者に対して感謝の気持ちをモノとして現したい,という場合です。素敵なことだと思います。
 
 

以上のとおり,単に「夫婦間の自宅の贈与は税金がかからない特例がある!」とは言っても,あまりメリットがない場合もありますので,一度司法書士や税理士さんなどにご相談いただいてから進められた方が良いかと思います。

コメントは受け付けていません。

12月 25 2017

「贈る」の意味と受遺者の相続人に対する遺贈

不動産をお持ちの方がご自身の死後にどなたかに対して不動産を渡したい場合,遺言書にその旨を書いておくことで相続人や遺言執行者によって実行されます。 

法律的にはいくつか方法があり,相続人に対して渡す場合は「遺産分割方法の指定(相続)」,相続人及び相続人以外の方に対しては「遺贈」や「死因贈与」が考えられます。このうち,死因贈与はあまり見かけることはなく,相続または遺贈が多いように思います。 

 
 

遺言書の文言

 

さて,この相続と遺贈ですが,過去に書いた記事のとおり,登記手続に際してかなり異なります。基本的には相続の方が費用も安く,関与する人数も少なくなりますので,遺言書の作成に関与させていただく場合ももできる限り相続で進められるよう進めてまいります。しかしながら,専門家が関与していない場合,どちらで解釈すべきか分からない文言があります。
 

例えば,

「やる」,「あげる」,「与える」,「譲る」,「譲渡する」,「譲与する」,「渡す」,「贈る」,「分ける」,「分配する」,「~の所有とする」,「~の名義にする」,「~の権利とする」,「~のものとする」,「~が取得する」,「任せる」
 

などは,遺贈する趣旨なのか,遺産分割方法の指定の趣旨なのかその文言のみでは判断がつきにくく,このような文言で書かれている場合,登記実務では「遺言書の全文から遺言者の真意を総合的に判断する」とされております。

なお,あくまで一般論となりますが,「やる」,「あげる」,「譲渡する」,「贈る」は遺贈と解釈されやすく,「分ける」,「分配する」,「の名義にする」,「が取得する」は遺産分割方法の指定と解釈されやすいように思います。
 

今回当事務所で手続をさせていただいた件では「贈る」とされており,法務局と協議をした結果,「遺贈」となりました。 
 

財産をもらう方の順序

 

遺産分割方法の指定や遺贈をする場合,順序というか財産をもらう方が亡くなったときの対処を書くことがあります。
 

例えば,遺言者(父)には長男A次男Bがおり,長男Aには妻Cと子Dがいたとします。

この場合に,遺言者が「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合は次男Bが相続する。」という遺言を書いたとします。この場合,遺言者が亡くなったときに長男Aが生きていれば長男Aが土地を相続し,長男Aが亡くなっている場合は次男Bが土地を相続することとなります。
 

また,「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合は長男Aの子Dが相続する。」というように,遺言書を書いた時には相続人ではない孫に相続させることも可能です(長男Aが遺言者より先に死亡した場合,孫であるDは遺言者の代襲相続人となります。)。

では,「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合,長男Aの相続人が取得する。」となっていた場合はどうなるでしょうか。

遺言者より長男Aが先に死亡した場合,子Dは代襲相続人となりますが,Aの妻Cは相続人とはなりません。この場合,「遺言者の相続人となりうる人に土地を渡す趣旨だから,この場合は子Dだけが土地を取得する。」という解釈もできそうですし,「あくまで長男Aの相続人に土地を渡す趣旨であるからAの妻Cも土地を取得する。」という解釈もできそうです。
 

今回当事務所で手続をさせていただいた件に関して法務局と協議したところ,法務局の判断としてはCも取得するということになりました。もし,子Dだけであれば登記の際の登録免許税は評価額の4/1000になるのに対し,妻Dに関しては評価額の20/1000となりますし,遺贈となると権利証や印鑑証明書が必要となりますので必要書類も多くなります。
 

ということで,遺言書の文言一つで登記費用が何倍にもなってしまうことがありますし,もしかしたらご自身の思いとは異なる解釈をされてしまって想定外の方に財産が渡ってしまう可能性がありますので,遺言書を作成される際は弁護士や司法書士などの専門家にご相談いただいた方が良いかと思います。

コメントは受け付けていません。

11月 29 2017

相続財産管理人の選任

先日,相続放棄に関連して,相続財産管理人選任の手続(書類作成)を行いましたので,こちらについてまとめたいと思います。 

 
 

相続財産管理人とは

 

ある方が亡くなると,その方の財産はその方の相続人が相続します。 

しかし,相続は不動産や預貯金のようなプラスの財産のみならず,借金などマイナスの財産も相続することとなるため,場合によっては相続すると損をする場合もあります。このような場合には,相続放棄の申述民法938条)を家庭裁判所にすることで,財産関係に関しては相続人ではなかったこととなり,同順位の他の相続人または次順位の相続人が相続するかどうかを考えることとなります(親族関係がなくなるわけではありません。)。
 

例えば,父親Aさんが亡くなり,相続人が子どもBさんとCさんの2名だった場合,Bさんが相続放棄をすれば残るCさんがAさんのすべての財産を相続することとなりますし,Cさんも相続放棄をすれば次順位の相続人であるAさんの両親等の直系尊属の方が相続人となります(民法889条)。そして,すでに直系尊属の方が亡くなっている場合や両親等も相続放棄をした場合は次順位の兄弟姉妹が相続人となります。
 

では,兄弟姉妹も全員が相続放棄をした場合はどうなるのでしょうか。また,そもそもAさんが天涯孤独な方で,当初から相続人が存在しない場合はどうなるのでしょうか。このような場合,法律上はAさんの財産は法人となり(民法951条),相続財産管理人が管理等を行うこととなっています(民法952条)。とはいえ,自動的に相続財産管理人が選任されるわけではなく,利害関係人等が家庭裁判所に選任の申立てをして初めて選任されることとなりますので,相続人がいないけど相続財産管理人もいないという状況は普通に存在することとなります。
 

では,相続人はいないし相続財産管理人もいないという場合において,亡くなった方が所有していた建物が老朽化によって倒壊して第三者に損害を与えた場合は誰が損害を賠償するのでしょうか。
 

上記のとおり全員が相続放棄をした結果相続人がいないような状況となった場合であり,相続財産管理人が選任されていない場合だと,せっかく相続放棄をしたにも関わらず当該(元)相続人は責任を負わされることがあります。というのは,相続放棄をした場合でも次順位の相続人または相続財産管理人が選任されて管理が開始されるまでの間は,相続放棄をした(元)相続人に被相続人の財産を管理する義務があるからです(民法940条)。
 

したがって,単に負債が多くて特に財産もないというような場合であれば相続放棄をすることで解決できますが,管理が必要な財産がある場合は相続放棄だけでは解決せず,財産の管理義務を免れるために相続財産管理人の選任まで併せて行う必要があります。 
 

相続財産管理人の選任に関する費用

 

相続財産管理人の選任申立てに際して,一番のキモは予納金です。
予納金とは,文字どおり「予め」裁判所に「納める」「お金」のことであり,相続財産を管理するための費用だったり,相続財産管理人の報酬に充てられるお金です。

多くの裁判所において,相続財産管理人として選任されるのは弁護士さんであり,裁判所によっては司法書士が選任されることがあります。いずれにしても,法律の専門家が選任されますので,その専門家の報酬が必要になってきます。もし,亡くなった方が預貯金などをお持ちであればそこから相続財産管理人の報酬を払えば良いため,申立てのときにはそれほど多額の予納金は求められません。しかし,まったく財産が無い方の場合は遺産から相続財産管理人の報酬が捻出できませんので,その負担は申立人がすることになります。予納金の額は事案によって変わりますが,数十万円から場合によっては100万円程度になることもあります。
 

とすると,まったく財産はないが古い建物など管理が必要なものが残されている場合は,大変心苦しいのですが相続放棄をしたにもかかわらず,多額の費用をご負担いただくこととなってしまいます。
 

その他の費用としては,申立書に貼付する収入印紙が800円,予納郵券が数千円,官報公告費用も数千円程度(恐らく3775円)ですので,合計しても1万円程度であり,申立ての際に必要な戸籍謄本等の取得費用を含めても2万円前後かと思います。
 

なお,相続財産管理人選任申立てに関して,弁護士や司法書士(書類作成)にご依頼される場合は,当該専門家の報酬が別途かかります。これは各事務所によって異なりますが,弁護士さんだと20万円~40万円程度,司法書士だと10万円~30万円程度ではないかと思います。
 

今回申立書を作成したケースでは,それほど財産の調査が必要ではなかったため当事務所の報酬は10万円とさせていただきましたが,その数倍の予納金がかかっております・・・。

コメントは受け付けていません。

Next »

  • なぜオンライン申請だと費用を抑えられるのか 理由はこちら
  • 所有権移転登記
    • 売買による所有権移転登記
    • 相続による所有権移転登記
    • 当事務所にご依頼いただく場合
    • 当事務所の費用一覧表
    • 私の場合はいくらなの?
  • 抵当権の抹消登記
    • 住宅ローン完済時の抵当権の抹消登記
    • 遙か昔に登記された抵当権抹消登記
    • 裁判手続きによる抵当権抹消登記
    • 抵当権抹消登記の費用
    • 抵当権抹消登記の流れと簡単WEB見積り
  • よくあるご質問
  • はなみずき通信

はなみずき司法書士事務所

お気軽にお問い合わせください。電話番号0561-61-1514。ファックス番号0561-61-1535

お問い合わせはこちら

事務所案内はこちら

〒480-1116
愛知県長久手市杁ヶ池106番地2
1階
TEL: 0561-61-1514
FAX: 0561-61-1535

対応地域

名古屋市、岐阜県、愛知県、三重県

Copyright © Hanamizuki. All Rights Reserved.