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相続に関すること

12月 25 2017

「贈る」の意味と受遺者の相続人に対する遺贈

不動産をお持ちの方がご自身の死後にどなたかに対して不動産を渡したい場合,遺言書にその旨を書いておくことで相続人や遺言執行者によって実行されます。 

法律的にはいくつか方法があり,相続人に対して渡す場合は「遺産分割方法の指定(相続)」,相続人及び相続人以外の方に対しては「遺贈」や「死因贈与」が考えられます。このうち,死因贈与はあまり見かけることはなく,相続または遺贈が多いように思います。 

 
 

遺言書の文言

 

さて,この相続と遺贈ですが,過去に書いた記事のとおり,登記手続に際してかなり異なります。基本的には相続の方が費用も安く,関与する人数も少なくなりますので,遺言書の作成に関与させていただく場合ももできる限り相続で進められるよう進めてまいります。しかしながら,専門家が関与していない場合,どちらで解釈すべきか分からない文言があります。
 

例えば,

「やる」,「あげる」,「与える」,「譲る」,「譲渡する」,「譲与する」,「渡す」,「贈る」,「分ける」,「分配する」,「~の所有とする」,「~の名義にする」,「~の権利とする」,「~のものとする」,「~が取得する」,「任せる」
 

などは,遺贈する趣旨なのか,遺産分割方法の指定の趣旨なのかその文言のみでは判断がつきにくく,このような文言で書かれている場合,登記実務では「遺言書の全文から遺言者の真意を総合的に判断する」とされております。

なお,あくまで一般論となりますが,「やる」,「あげる」,「譲渡する」,「贈る」は遺贈と解釈されやすく,「分ける」,「分配する」,「の名義にする」,「が取得する」は遺産分割方法の指定と解釈されやすいように思います。
 

今回当事務所で手続をさせていただいた件では「贈る」とされており,法務局と協議をした結果,「遺贈」となりました。 
 

財産をもらう方の順序

 

遺産分割方法の指定や遺贈をする場合,順序というか財産をもらう方が亡くなったときの対処を書くことがあります。
 

例えば,遺言者(父)には長男A次男Bがおり,長男Aには妻Cと子Dがいたとします。

この場合に,遺言者が「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合は次男Bが相続する。」という遺言を書いたとします。この場合,遺言者が亡くなったときに長男Aが生きていれば長男Aが土地を相続し,長男Aが亡くなっている場合は次男Bが土地を相続することとなります。
 

また,「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合は長男Aの子Dが相続する。」というように,遺言書を書いた時には相続人ではない孫に相続させることも可能です(長男Aが遺言者より先に死亡した場合,孫であるDは遺言者の代襲相続人となります。)。

では,「名古屋市の土地については長男Aが相続する。ただし,遺言者より長男Aが先に死亡している場合,長男Aの相続人が取得する。」となっていた場合はどうなるでしょうか。

遺言者より長男Aが先に死亡した場合,子Dは代襲相続人となりますが,Aの妻Cは相続人とはなりません。この場合,「遺言者の相続人となりうる人に土地を渡す趣旨だから,この場合は子Dだけが土地を取得する。」という解釈もできそうですし,「あくまで長男Aの相続人に土地を渡す趣旨であるからAの妻Cも土地を取得する。」という解釈もできそうです。
 

今回当事務所で手続をさせていただいた件に関して法務局と協議したところ,法務局の判断としてはCも取得するということになりました。もし,子Dだけであれば登記の際の登録免許税は評価額の4/1000になるのに対し,妻Dに関しては評価額の20/1000となりますし,遺贈となると権利証や印鑑証明書が必要となりますので必要書類も多くなります。
 

ということで,遺言書の文言一つで登記費用が何倍にもなってしまうことがありますし,もしかしたらご自身の思いとは異なる解釈をされてしまって想定外の方に財産が渡ってしまう可能性がありますので,遺言書を作成される際は弁護士や司法書士などの専門家にご相談いただいた方が良いかと思います。

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11月 29 2017

相続財産管理人の選任

先日,相続放棄に関連して,相続財産管理人選任の手続(書類作成)を行いましたので,こちらについてまとめたいと思います。 

 
 

相続財産管理人とは

 

ある方が亡くなると,その方の財産はその方の相続人が相続します。 

しかし,相続は不動産や預貯金のようなプラスの財産のみならず,借金などマイナスの財産も相続することとなるため,場合によっては相続すると損をする場合もあります。このような場合には,相続放棄の申述民法938条)を家庭裁判所にすることで,財産関係に関しては相続人ではなかったこととなり,同順位の他の相続人または次順位の相続人が相続するかどうかを考えることとなります(親族関係がなくなるわけではありません。)。
 

例えば,父親Aさんが亡くなり,相続人が子どもBさんとCさんの2名だった場合,Bさんが相続放棄をすれば残るCさんがAさんのすべての財産を相続することとなりますし,Cさんも相続放棄をすれば次順位の相続人であるAさんの両親等の直系尊属の方が相続人となります(民法889条)。そして,すでに直系尊属の方が亡くなっている場合や両親等も相続放棄をした場合は次順位の兄弟姉妹が相続人となります。
 

では,兄弟姉妹も全員が相続放棄をした場合はどうなるのでしょうか。また,そもそもAさんが天涯孤独な方で,当初から相続人が存在しない場合はどうなるのでしょうか。このような場合,法律上はAさんの財産は法人となり(民法951条),相続財産管理人が管理等を行うこととなっています(民法952条)。とはいえ,自動的に相続財産管理人が選任されるわけではなく,利害関係人等が家庭裁判所に選任の申立てをして初めて選任されることとなりますので,相続人がいないけど相続財産管理人もいないという状況は普通に存在することとなります。
 

では,相続人はいないし相続財産管理人もいないという場合において,亡くなった方が所有していた建物が老朽化によって倒壊して第三者に損害を与えた場合は誰が損害を賠償するのでしょうか。
 

上記のとおり全員が相続放棄をした結果相続人がいないような状況となった場合であり,相続財産管理人が選任されていない場合だと,せっかく相続放棄をしたにも関わらず当該(元)相続人は責任を負わされることがあります。というのは,相続放棄をした場合でも次順位の相続人または相続財産管理人が選任されて管理が開始されるまでの間は,相続放棄をした(元)相続人に被相続人の財産を管理する義務があるからです(民法940条)。
 

したがって,単に負債が多くて特に財産もないというような場合であれば相続放棄をすることで解決できますが,管理が必要な財産がある場合は相続放棄だけでは解決せず,財産の管理義務を免れるために相続財産管理人の選任まで併せて行う必要があります。 
 

相続財産管理人の選任に関する費用

 

相続財産管理人の選任申立てに際して,一番のキモは予納金です。
予納金とは,文字どおり「予め」裁判所に「納める」「お金」のことであり,相続財産を管理するための費用だったり,相続財産管理人の報酬に充てられるお金です。

多くの裁判所において,相続財産管理人として選任されるのは弁護士さんであり,裁判所によっては司法書士が選任されることがあります。いずれにしても,法律の専門家が選任されますので,その専門家の報酬が必要になってきます。もし,亡くなった方が預貯金などをお持ちであればそこから相続財産管理人の報酬を払えば良いため,申立てのときにはそれほど多額の予納金は求められません。しかし,まったく財産が無い方の場合は遺産から相続財産管理人の報酬が捻出できませんので,その負担は申立人がすることになります。予納金の額は事案によって変わりますが,数十万円から場合によっては100万円程度になることもあります。
 

とすると,まったく財産はないが古い建物など管理が必要なものが残されている場合は,大変心苦しいのですが相続放棄をしたにもかかわらず,多額の費用をご負担いただくこととなってしまいます。
 

その他の費用としては,申立書に貼付する収入印紙が800円,予納郵券が数千円,官報公告費用も数千円程度(恐らく3775円)ですので,合計しても1万円程度であり,申立ての際に必要な戸籍謄本等の取得費用を含めても2万円前後かと思います。
 

なお,相続財産管理人選任申立てに関して,弁護士や司法書士(書類作成)にご依頼される場合は,当該専門家の報酬が別途かかります。これは各事務所によって異なりますが,弁護士さんだと20万円~40万円程度,司法書士だと10万円~30万円程度ではないかと思います。
 

今回申立書を作成したケースでは,それほど財産の調査が必要ではなかったため当事務所の報酬は10万円とさせていただきましたが,その数倍の予納金がかかっております・・・。

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9月 04 2017

相続登記の登録免許税が無料になる(かも)

平成30年度の税制改正の要望で,不動産登記を所管する法務省が「(一部の)相続登記の登録免許税を無料に!」という要望をしています。 

→ 平成30年度税制改正要望(法務省)

 
 

ただ,正直なところ,内容がイマイチな気がしてなりません。 

要望によると,次の2つの場合に登録免許税が免除(無料)になるとされており,免除される期間は平成30年度から同32年度までとされております。 

(1)所有者が亡くなってから30年以上経過した土地に関する相続登記

(2)1筆あたり20万円以下土地に関する相続登記 
 

基本的に,この制度の導入目的は,長期間名義が変更されていない不動産が多くて有効利用できていない問題(いわゆる所有者不明土地問題)を解消するために,名義変更(相続登記)を促進しようというものです。

不動産には土地だけではなく建物もあるわけですし,そもそも建物の登録免許税は経年劣化によってかなり安いはずなので,建物も免除した方が相続登記の促進になるのではないでしょうか。

また,20万円以下の土地の場合も免除されるとのことですが,20万円以下の土地の登録免許税は一律で1000円です。「1000円の登録免許税が免除されるから相続登記しよう!」という方がはたしてどれほどいらっしゃるのか・・・。
 

ただ,いずれにしても税金が安くなるのは,登記申請される方にとってはメリットですので,税制改正が通ると良いですね。

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6月 09 2017

法定相続情報証明制度

なかなか記事を書く時間がなく,少し時機を逸した感がありますが,先月末から新しく始まった法定相続情報証明制度についてまとめたいと思います。 

 
 

法定相続情報証明制度とは?

 

端的に言えば,戸籍謄本などを基に家系図のような書面を作成して法務局に持っていくと,法務局が調査のうえ,その家系図が正しいものであることを証明してくれるという制度です。その証明された家系図のような図面のことを「法定相続情報」といいます。
通常,相続の手続を行う際には,亡くなった方の出生から死亡までの戸籍が必要になり,亡くなった方との関係が兄弟姉妹だったりすると,亡くなった方のご両親の出生から死亡までの戸籍が必要になるため,かなりの量の戸籍が必要になります。この大量の戸籍を金融機関や役所などに毎回提出しなければなりませんので大変な手間だったのですが,今後は法務局に一度戸籍を持って行って証明書が取得できれば,その後の手続は「法定相続情報証明」を1枚ですべて事足りることになるということです。 
 

メリットなど

 

この制度の大きなメリットは,相続手続に際して,法定相続情報証明1枚のみで足りるということであり,逆に言えばこれ以外のメリットはありません。強いて言えば,発行手数料が無料ということもメリットかもしれません。
 
 

一方,勘違いされる方が多い要素がありますので,むしろこちらの方が大事かもしれません。

(1)戸籍はやっぱり必要です
法定相続情報証明を法務局に発行してもらうためには,出生から死亡までの戸籍謄本等を法務局に提出する必要がありますので,戸籍謄本等の取得が楽になるわけではありません
 

(2)発行してもらえる法務局が決まっている
全国どこの法務局でも発行してもらえるわけではなく,以下の4つに限定されております。ただし,郵送でも申請(申出)をすることができます
・亡くなった方の最後の住所地を管轄する法務局
・亡くなった方の本籍地を管轄する法務局
・証明書を請求する方の住所地を管轄する法務局
・亡くなった方が所有していた不動産を管轄する法務局
 

(3)図面は自分で作成しなければなりません
法務局のサンプルだと下記のような書類となりますが,この家系図のような部分についてはご自身で作成する必要があります。私ども専門職は,作成するための専用のソフトがあるので簡単に作れるのですが,一般の方はエクセルで作成していただくか手書きで作成していただくことになると思います。
 


 

(4)外国籍の方は使えません
戸籍を基に作成するものであるため,外国籍の方はご利用できません。日本人の方が外国に住んでいて亡くなった場合は問題ありません。
 

(5)再交付は5年間
申出をしてから5年間は法務局に情報が保管されているため,何度でも再発行は可能ですが,5年経過後は改めて戸籍謄本等を添えて改めて申出をする必要があります。
 

(6)代理ができるのは親族か資格者代理人のみ
申出ができるのは相続人に限られておりますが,ご自身で手続ができない場合には親族または専門職(弁護士,司法書士,税理士等)に依頼する必要があります。
 

(7)亡くなった方毎に必要
不動産が祖父名義になっている場合などで,祖父と父親の両方の相続を同時に行うというような場合がありますが,その場合は祖父の法定相続情報と父の法定相続情報とでそれぞれ別に2件の申出をする必要があります。 
 

かかる費用について

 

上記のとおり,法定相続情報証明そのものについては発行手数料は無料です。しかしながら,戸籍謄本等を取得する必要がありますので,その取得費用はかかってしまいます。 

また,専門職に依頼した場合はその報酬がかかります。当事務所の場合は,法定相続情報証明の発行のみのご依頼をお受けした場合は,亡くなった方1名につき3万円及び戸籍謄本等取得の実費となり,相続登記等の相続業務をご依頼いただいた場合は,亡くなった方1名につき1万円(戸籍謄本等の取得費用は無料です。)となります。

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2月 27 2017

贈与と遺贈

身寄りのない方が相続人とはならない親族に不動産を譲りたい場合に贈与と遺贈のどちらが良いかご相談をお受けしたため,備忘録の意味も込めて残しておきたいと思います。

 
 

贈与の場合

 

贈与とは,財産を譲る方ともらう方との契約によるもので,基本的には契約のときに効力が生じることとなります。したがって,後になって気が変わっても返してもらうということは原則としてできません。
ただし,効力発生日は必ずしも契約時に限定されているわけではなく,贈与の効力発生に条件を付けたり期限を定めたり,場合によっては一定の債務を負わせることもできます(負担付贈与)。
 

①登録免許税
登記を行う際に,法務局に対して登録免許税という税金を納めなければなりません。
贈与の場合,土地か建物かに関係なく,評価額に対して2%となります。したがって,例えば土地1000万円,建物500万円という評価額の不動産があった場合,名義を変えるために係る登録免許税は30万円ということになります。
 

②不動産取得税
不動産を取得した場合,最初に不動産取得税という税金が課され,基本的には評価額の4%となります。
しかし,様々な減税措置があるため,実際にはもう少し低くなります。
 

まず,住宅の場合は4%ではなく3%に減税されます(平成30年3月末まで)。
さらに,土地については評価額が1/2にされることなっています(平成30年3月末まで)。
さらにさらに,建物については新築の場合だと1200万円,中古の建物でも新築年によって100万円~1200万円が評価額から控除されます。
さらにさらにさらに,土地に対しては税額に対しての控除もあったりするため,不動産取得税がかからないケースもたくさんあります。
 

③贈与税
建物については評価額そのままの金額,土地については評価額ではなく路線価で土地の価格を算出し,金額に応じて贈与税を納めなければなりません。
仮に,土地の価格(路線価)が1200万円だとすると,建物の500万円を加えた1700万円から基礎控除の110万円を差し引いた1590万円に対する贈与税を支払わなければなりません。
国税庁のサイト( https://www.nta.go.jp/taxanswer/zoyo/4408.htm )によると,545万円の贈与税がかかることとなります。 
 
 

遺贈の場合

 

遺贈とは,遺言で財産を譲るもので,財産をお持ちの方が亡くなったときに初めて効力が生じることになります。したがって,贈与と異なり,遺言を書いた後に気が変わって取り消すということも可能です。
 

①登録免許税
相続人に対する遺贈であれば0.4%となりますが,相続人以外の方に対する遺贈は2%となりますので,この点は贈与の場合と変わらないことになります。
 

②不動産取得税
包括遺贈か特定遺贈かによって変わり,包括遺贈の場合は非課税であり,特定遺贈の場合には原則として課税されます。ただし,上記のとおり,不動産取得税は減税措置がたくさんありますので,まったくかからないというケースもあるかと思います。
※包括遺贈とは,割合によって財産を譲渡するもの(例えば,「私の財産の1/2をAさんに遺贈する。」)であり,特定遺贈は特定の財産のみを譲渡するもの(例えば,「私の財産のうち○○市○○町○○番地の土地をAさんに遺贈する」)であり,包括遺贈については,相続人と同一の権利義務を有するものとされていますので,場合によっては債務も承継することもあります(民法990条)。
 

③相続税
遺贈の場合は,贈与税ではなく相続税が課税されることになります。贈与税と相続税では,基礎控除の額が110万円と3000万円という大きな差があり,しかも税率の基準も大きく異なります。具体的な金額は,譲り受ける財産の金額によって変わりますが,遺贈を受ける財産が上記の土地と建物しかなかった場合,基礎控除の3000万円以下ですので,相続税はまったくかからないということになります。 
 
 

贈与税の特例措置

 

上記の前提だと贈与税はかかってしまいますが,贈与をする方と譲渡を受ける方の関係によっては贈与税が事実上かからないケースもあります。

①夫婦間での贈与
以下の条件を満たすと最大で2000万円(暦年の110万円を含めると2110万円)が非課税となります。
・夫婦間の贈与であること
・居住用不動産(または居住用不動産取得のための金銭)の贈与であること
・贈与を受けた翌年3月15日までにその不動産に居住し,その後も居住し続ける予定であること。

②直系尊属からの贈与
以下の条件を満たすと省エネ住宅であれば1200万円,それ以外の住宅だと700万円の贈与が非課税となります。
・居住用の不動産の新築,増築等の費用に充てるための資金の贈与であること
・自己の父母や祖父母など直系尊属からの贈与であること
・贈与を受ける方が,贈与を受ける年の1月1日時点で20歳以上であること
・贈与を受ける方の所得が2000万円以下であること
・住宅の取得が親族所有のものではないこと(または工事業者が親族でないこと)
・贈与を受けたときに日本国内に在住していること
・贈与を受けた翌年3月15日までにその不動産に居住し,その後も居住し続ける予定であること。

③相続時精算課税制度を利用する場合
以下の条件を満たすと,贈与税ではなく相続時に相続税で精算することとなり,場合によっては非課税となります。
・贈与をする年の1月1日時点において,贈与する方が60歳以上,受ける方が20歳以上であり,受ける方が贈与する方の推定相続人または孫であること
・2500万円までの贈与であること(超過する場合は超過分に20%の税金がかかります。また暦年贈与の110万円も加算する必要があります。)

 

まとめ

 

したがって,登録免許税や不動産取得税についてはあまり差は無いのですが,贈与税(相続税)の部分で大きな差があり,単純に税金の多寡だけで考えると,遺贈の方がかなりお得ということになります。
もっとも,上記のとおり,贈与と遺贈では効力が生じる時点に差がありますし,遺贈の場合で他に相続人がいる場合は遺留分なども考慮する必要があることから,税金以外の部分も十分考慮してお決めいただいた方が良いかと思います。

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12月 19 2016

預金も遺産分割の対象に(最高裁判決)

本日,注目の最高裁判決がありました。 
 

 
 

ある方が亡くなると相続が発生し,不動産や自動車などは相続人の共有状態になるものの,預金などの可分債権に関しては,亡くなると同時に当然に法定相続分に応じて各相続人に相続されると考えられていました(例外的に,相続人全員の合意があれば遺産分割の対象とすることができました。)。
 

この際,特別受益や寄与分などは一切考慮されないため,単純に各相続人は銀行等に対して法定相続分相当額を払い戻してもらうことができ,当事務所でもそのような業務を行っておりました。
 

→ 一部の相続人からの預金の払い戻し
 

ところが,本日,最高裁判所が過去の判例を変更し,預金債権も遺産分割の対象(当然に分割されない。)との判決を出しました。

以下,本日の最高裁判決についてまとめたいと思います。 
 

【事案】

 

1 登場人物

Aさん→今回の被相続人。

Bさん→Aさんの妹でAさんと養子縁組をしている。

甲さん→Aさんの弟の子(Aさんからすると甥で,甲さんからみればAさんは伯父。)であり,Aさんと養子縁組をしている。

乙さん→Bさんの子(Aさんからすると孫)

 

2 時系列

(1)平成14年にBさん死亡

(2)Aさんは乙さんに対して,約5500万円を贈与

(3)平成24年にAさん死亡。これにより,相続人は,Aさんの子(養子)である甲さんとBさんになるのですが,すでにBさんは亡くなっているため,Bさんの子である乙さんが相続人(代襲相続人)となります。

(4)Aさんは預金約3800万円を残しており,これまでの判例からすると,甲さんと乙さんがそれぞれ約1900万円ずつ相続することになるが,甲さんが不公平(乙さんはAさんの生前に5500万円もらっている)だとして提訴。 
 

【最高裁判決】

 

→ 最高裁サイト
 

→ 判決全文(PDF)
 

理屈としては,なかなか説明がしづらいのですが,ざっくり言うと,「預金債権とともに預金契約上の地位や準委任契約等の債権債務も相続することになり共有状態が生じるのであるから,遺産分割の対象となる。」という感じです。いずれにしても,結論としては預金債権が当然に分割されることは無くなり,預金の払い戻しを受けるためには遺産分割協議が必要ということになります。 
 

【今までと異なる点】

 

1 各相続人が単独で支払いを求めることができなくなる。
 

この最高裁判決により,遺産分割協議がまとまらないと預金の払い戻しが受けられなくなりました。例えば,相続人の中に行方不明者がいたとしても,とりあえず相続分相当額だけ払い戻すということがありましたが,これができなくなりました。判決でも触れられていますが,葬儀費用や医療費の支払い,相続税の納税など,相続発生後すぐに大きな金額が必要になることがありますが,今後困りますね・・・。
 

もっとも,多くの金融機関が遺産分割協議がまとまらないと預金の払い戻しをしない取り扱いだったため,現実的にはあまり大きな差はないかもしれません。
 

2 特別受益等が考慮される。

最高裁が実質的な公平を図るためにこの判決を出した理由でもあります。
 

従前のままの取扱であれば,約3800万円の預金は約1900万円ずつ分けられていましたが,今回の最高裁判決により遺産分割の対象となったことから特別受益(乙さんがAさんの生前にもらっていた約5500万円)が考慮され,恐らく預金については全額甲さんが取得することになると思います。

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8月 17 2016

遺贈の放棄

被相続人が亡くなった場合,相続人は被相続人の財産の一切合財を相続することになりますが,この「財産」には,不動産や預金等のプラスの財産ではなく,借金や保証債務などのマイナスの財産も相続することになります。ですので,プラスの財産よりもマイナスの財産が多い場合は,相続放棄をすることでプラスの財産が相続できなくなるけど,借金も相続しないで済むということが可能です。 

ところで,相続人ではないけど,被相続人が亡くなったことにより財産をもらえる方がいます。
 

例えば,遺言で財産をあげるとされている方(受遺者),亡くなる前に死因贈与契約をした方(受贈者),亡くなった方と財産を共有しており,亡くなった方に相続人がいない場合の共有者民法255条),亡くなった方に相続人がいない場合の特別縁故者民法958条の3)などです。
 

今回は,上記のうち,受遺者の放棄についてまとめてみたいと思います。
 

 
 

特定遺贈と包括遺贈

 

遺贈というのは,遺言者の死亡を契機として,特定の方に対して無償で被相続人の財産を譲渡することであり,「遺言者の死亡」と「遺言書に記載する」ことによって効力が生じます。
 

この遺贈には大きく分けて2種類あり,特定の財産(例えば,A市の不動産,B銀行の預金など)を特定の方に遺贈することを特定遺贈といい,割合的な遺贈(例えば,遺言者の財産の半分をAさんに遺贈する,遺言者の財産の全部をBさんに遺贈する,など)のように,具体的に財産を特定せず,財産の割合だけ定めて特定の方に遺贈することを包括遺贈といいます。
 

なお,遺贈と似たような制度として死因贈与というものがありますが,死因贈与は契約であるため死因贈与契約をするためには財産をもらう方の承諾が必要となりますが,遺贈の場合は受遺者の承諾なく一方的に遺言者が譲渡することを決めることができます。とすると,遺贈の場合は,遺贈を受ける方(受遺者)の意思が反映されていませんので,遺贈の放棄ということが問題となります。 
 

特定遺贈の放棄

 

特定遺贈の放棄については,いつでもできるとされています(民法986条)。また,方式については特に定められていません。ですので,とある土地の遺贈を受けたとしても,遺言者の相続人や遺言執行者に対して,いつでも良いので遺贈を放棄する旨の意思表示をすればそれで完了となります。ただし,相続人から遺贈を承認するのか放棄するのか催告を受けた場合は,相当期間内に回答しないと承認されたものとみなされ,以降は放棄することができなくなります。 
 

包括遺贈の放棄

 

包括遺贈は,民法990条に「包括受遺者は,相続人と同一の権利義務を有する」と規定されており,財産関係については相続人とほぼ同じ扱いになります。
 

とすると,遺言者に負債がある場合は,包括受遺者は債務も承継することになるため,債権者保護の観点から遺贈の放棄は相続放棄と同様に期間制限(自分が受遺者であることを知ってから3か月以内)があり,しかも家庭裁判所に対して遺贈の放棄の申述をしなければなりません。
 

なお,遺贈は相続人に対しても行うことができますので,包括遺贈を受けた相続人が一切の相続を放棄する場合は,遺贈の放棄に加えて相続放棄の手続も必要となります。
 

したがって,相続人ではない人でも遺言書によって債務を負ってしまう可能性がありますので,ご自身を受遺者とする遺言書が出てきた場合には,お近くの専門家にご相談いただいた方が良いかと思います。

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7月 05 2016

「法定相続情報証明制度」の導入

本日,法務省より新たな相続手続制度についての発表がありました。
 

→ 相続手続きを簡素化=戸籍書類一元化へ新制度-法務省
 


 

以下,時事通信社2016年7月5日14時58分の記事(http://www.jiji.com/jc/article?k=2016070500470&g=soc)を引用します。
 

現行制度では、被相続人の出生から死亡まで全ての戸籍謄本など大量の書類を集め、銀行などの窓口ごとに提出する必要がある。新制度では、戸籍関係の書類を一元化し、1通の証明書を提出するだけで済ませられるようになる。
具体的には、遺産の相続人は法務局に戸籍関係の書類一式を提出すれば、相続手続きに必要な「法定相続情報」を記した証明書を交付してもらえる。相続人は被相続人の預貯金、不動産などを管理する銀行や法務局の窓口に対し、この証明書を提出すれば良い。

 

以上,引用終わり。
 
 

不動産に関する相続登記や預金の相続手続において,必ず亡くなった方(被相続人)の出生から亡くなるまでの全戸籍(除籍)謄本が必要になりますが,法務局や金融機関など,ほとんどのところで原本は返却してもらえますので,複数取得する必要はなく1通ずつあれば大丈夫です。
 

ただし,手続中は預けたままになっている場合が多いため,同時並行で手続を進めることができず,一つ一つ進めていかなければなりません。
 

来年から始まる「法定相続情報制度」は,上記記事によれば,法務局に戸籍関係を提出することで相続に関する証明書を発行してもらえるとのことですので,複数発行してもらえれば同時に様々な手続を進めることができるようになると思われます。このように,いったん戸籍謄本等を集めてしまえばその後は「法定相続情報証明書」だけで手続ができることになりますが,結局は戸籍謄本等をすべて集めなければならないわけですから,劇的に手続が楽になるかというとあまり変わらないように思います。
 

むしろ,楽ができるようになるのは,各金融機関などの手続を受ける側です。金融機関などは,これまではすべての戸籍謄本をチェックし,さらにたくさんの量のコピーを取っていたわけですが,今後は1枚の紙を確認すれば良いだけですから大幅な事務の削減になりますね。
 

まだ,発表されたばかりで,どのような証明書になるのかさえわかりませんが,上記報道を見る限りでは,相続手続を行う側としてはあまりやることは変わらないのではないかと思います。

※7/6追記

朝日新聞の記事によれば,無料で発行され,その形式は相続関係説明図に法務局が奥書する形になるようです。
相続関係説明図とは,いわゆる家系図のようなもので,相続登記のご依頼をいただいた場合には司法書士が作成しているものですので,特に余計な手間がかかるものではないですね。

ただ,上記記事の末尾に「各地に散在する不動産を相続する場合、手続きの煩雑さから、特に資産価値の低い土地では名義が書き換えられないケースがあった。このため、山間部などで道路や宅地の造成をする際、登記上の所有者と実際の地権者が異なり、買収が進まない例があった。同省は「利用者の負担を軽くすることで、相続の登記を促したい」としている。」とありますが,これまでも,そして新制度が発足してからもやっぱり戸籍謄本等はすべて取得する必要があるわけですから,「利用者の負担を軽くする」というのはよくわからないですね。

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6月 06 2016

未来につなぐ相続登記

法務省のサイトで,相続登記を勧めるページが公開されています。
 

未来につなぐ相続登記
 


 

率直な意見として,相続登記を早期に行う積極的なメリットはあまり無いと思います。ただ,当該不動産について売却の予定があったり,建築の予定がある場合は,メリットというより相続登記をしなければその後の手続ができませんので,その意味では早くやらなければならないとは思います。
 

ということで,相続登記を早期に行うメリットは積極的なメリットではなく消極的なメリットが大部分だと思っています。つまり,相続登記を放置したことによって,相続登記が必要になった時に相続登記ができなくなる恐れがあり,できたとしても高額の費用がかかるので,それを防ぐために早期に行った方が良いということになります。
 

過去に何度も記載していますが,相続登記がなされないまま何十年も放置されている不動産について相続登記をする場合,相続人が数十人になるということは珍しくありません。さらに,比較的高齢の方が多いため,場合によっては成年後見制度の利用が必要になることがあります。ただ,相続人の親族の方が成年後見の利用に同意してくれるとも限らず,結果として相続登記ができないということは多々あります。それ以外にも,相続人が行方不明だったり,不相応な印鑑代(いわゆるハンコ代)を請求してきたりと,トラブルは枚挙に遑がないです。
 

したがいまして,相続登記の費用は決して安くはありませんが,放置をしておくことによって,何倍,何十倍と費用がかかることになってしまいますので,相続登記については早期に進められた方が良いと思います。
 

しかし,法務省というお堅いイメージのある役所が「未来につなぐ相続登記」というフレーズを使うというのは,何とも新鮮ですね。

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6月 03 2016

花押は押印ではありません(最高裁判決)

本日,遺言書に関する最高裁判決がありましたのでご紹介いたします。 

isyo_ojiisan 
 

前提情報

 

自筆証書遺言をする場合,遺言の内容を記載し,日付,署名,押印(認印でもOK)が必要となっています(民法968条1項)。
 

このうち,押印について花押だった場合,これを押印ということができるか,というのが争点になっています。
 

ちなみに,花押とは,今風に言えば有名人のサインのようなものであり,今回裁判となっている遺言書においても,署名の後に手書きの花押があったようです。
 

まず,原審(福岡高裁那覇支部)においては,一般的には花押には印鑑の役割もあり,被相続人本人及びその家における使用状況などを考慮すると,民法968条1項の捺印と同視できるとして,遺言を有効としました。 
 

最高裁判決

 

では,本日の判決はどうだったでしょうか。
 

最高裁サイト
 

判決全文(PDF)
 
 

大事なところを抜粋すると,
 

1 花押を書くことは,印章による押印とは異なるから,民法968条1項の押印の要件を満たすものであると直ちにいうことはできない。
 

2 押印をも要するとした趣旨は,遺言の全文等の自書とあいまって遺言者の同一性及び真意を確保するとともに,重要な文書については作成者が署名した上その名下に押印することによって文書の作成を完結させるという我が国の慣行ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあると解されるところ,我が国において,印章による押印に代えて花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識が存するものとは認め難い
 

端的に言えば,「花押と押印は別であり,日本において花押を押印の代わりに書くという慣習はないから花押は押印ということはできない」ということですね。

ということで,花押は押印とは認められず,遺言書は無効ということで確定しました。
 

正直なところ,現代社会において,押印の代わりに花押を書くという人は極めて少数だと思いますが,もしそのようなことをお考えだった方は遺言が無効となってしまいますので,押印されるようお願いいたします。
 

なお,上記事件については,遺言書は無効となりましたが,(死因)贈与の主張もされていたようであり,この点についてまだ裁判は続くようです。 
 

時代に逆行するのでは・・・

 

法律で「押印」が必要とされているので,花押は押印ではないから遺言書は無効という最高裁の判断はわからないものではありませんが,現代社会においては印鑑よりも署名の方を優先させようという動きがある中で,今回の判決は時代に逆行するものだと思います。
 
まず,一般論として,偽造のされやすさで言えばどう考えても署名より印鑑の方が偽造が簡単です。印鑑と署名,どちらを信用するかと言えば署名でしょう。例えば,記名(パソコンで印字されている名前)の後に認印が押してある借用書と,自筆の署名が書かれているけど押印がない借用書では,後者の方が真正であるある可能性が高いです。
  
また,銀行において印鑑を使わない方向で進んでいます。たとえば,先日のニュースでは,りそな銀行が3年後を目途に印鑑の使用を取りやめるそうですし,一部の銀行においては,印鑑ではなく手の静脈の認証でお金が引き出せるようにもなっています。

今回の遺言書について私は見ておりませんが,少なくとも本人の署名がされており,本人がこれまでに使っていた花押が書かれていたのであれば,遺言を有効と認めても良いのではないかと思います。

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