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4月 21 2021

相続登記義務化法案が成立しました。

本日(令和3年4月21日)に、参院本会議を通過し、相続登記を義務化する法案(民法等の一部を改正する法律及び相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律)が成立いたしました。
 

この法律によって、どのようなことをしなければならず、また相続登記等をしない場合にどうなってしまうかについて説明したいと思います。ただし、あくまで現時点での内容のみでの判断となりますので、実務上の運用等により変わる場合があります。
 

 
 

1 国に土地をもらってもらうことができる制度の創設

 

不動産を国や地方自治体に寄附することは従前からできておりましたが、実際には受け入れてくれることはほとんどありませんでした。その理由としては、不動産と言っても価値があるものだけとは限らず、逆に管理が大変な不動産もあり、そのような不動産をもらっても国や地方自治体としても困るという実情がありました。
 

この点、あくまで条件付きではありますが、相続等によって取得した不動産を国の所有(国庫への帰属)とする制度ができました。
 

(1)不動産は土地である必要があり、かつ、下記に該当しないこと 

建物の存する土地
②担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
③通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
④基準を超える特定有害物質により汚染されている土地
⑤境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地

 

(2)共有の場合は共有者全員で申請をすること

 

(3)承認申請に関する手数料を納めること

 

(4)国の承認が得られた場合は、管理に要する費用10年分を納めること

 

ただし、上記(1)~(3)に該当する場合でも崖があったり、地下に何かが埋まっている場合などは承認が得られないこともあります

 
 

例えば、遠方に存在している山などは所有していても使い道がほとんどなく、かといって売却するとしても買い手が現れる可能性はかなり低いうえ、万が一事故があった場合には責任が生じる可能性もありますので、そのような場合にはこの制度は使えると思います。

 
 

2 相続登記の義務化

 

今までいわゆる権利に関する登記をするかどうかはあくまで「権利」であり、登記をしなくても良いこととされていました。ただ、不動産を購入した場合や不動産を担保にお金を課した場合など、登記をしないと所有権を第三者に対抗できなくなる可能性がある場合には登記をしないことによる不利益が大きいため、このような場合には大多数の方が登記をされていました。
一方、相続登記については、売買の予定等が無ければ登記をしないことのデメリットがあまりないため、手つかずのままの相続が繰り返されて現在の所有者がどなたなのかが不明となってしまった不動産が日本中にたくさん存在しており、面積に換算すると日本の国土の20%程度にもなるそうです。
そこで、今回相続登記を義務化することにより、所有者を確定させて、土地を有効利用しようとするのが今回の法律ということになります。

 

この点についての注意点をまとめたいと思います。

 
 

(1)相続登記が義務化されたのは土地のみです。
→ 建物は対象外です。

 
 

(2)現時点ではまだ法律は施行されておらず、3年以内に施行される予定です。
→ 報道によれば2024年施行予定とのことです。

 

(3)土地の所有者が亡くなり、その土地の相続人であることを知ったときから3年以内に相続登記をする必要があります。
→ まったく疎遠になってしまった親族が亡くなり、自分が相続人だったとしても、その事実を認識していなければ3年の期限はスタートしません

 

(4)相続登記のみならず、住所移転や氏名変更についても2年以内に変更登記をする必要があります。
→ 住所や氏名が変わった場合でも所有者が不明になってしまうためです。

 

(5)上記に違反した場合10万円以下(住所変更等は5万円以下)の過料に処せられる可能性があります。
→ 同じような罰則規定が建物表題登記などにもありますが、現実には未登記の建物が無数に存在しており、過料の処分が課されたという話は聞いたことがありません。したがいまして、相続登記をしないことにより本当に過料に処せられるかどうかはまったく分かりません

 

(6)相続人申告登記制度(?)の創設
→ 登記官に対して、自身が相続人であることを申告することで、一時的に登記官が職権で登記をしてくれる制度が創設されました。実際に相続登記をするためには、戸籍謄本等を集めたり、相続人間で遺産分割協議をまとめなければなりませんが、協議がまとまらず3年以内に登記ができない場合もあります。そのようなときにとりあえず申告をすることで3年の期限をクリアすることができます。

 
 
 

その他たくさんの改正がありますので、順次追記していきたいと思います。

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3月 17 2021

総額表示について

消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法」という長い長い法律の規定により、特例により令和3年3月31日までは消費税込みの総額表示をする必要がありませんでしたが、令和3年4月1日から総額表示が義務付けられることとなりました。 
 
 

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それに伴い、(税別)と表示していた当事務所の報酬等についてすべて税込み表示に変更いたしました。
なお、あくまで消費税のみの変更であり、純粋な当事務所の報酬については変更はございません。
 
以上、お知らせでした。

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3月 11 2021

親族が行う必要のある死後の手続と相続手続

これまで相続についての手続を数えきれないほどご依頼いただいてきましたが、突如、私自身が当事者となる相続が発生してしまいました。

なかなか精神的に大変な時期であってもある程度は進めざるを得ないため、精神的のみならず身体的にも大変ではありますが、「他に考える余裕が無い方がある意味精神的には少し助かるものなのかもしれない」と、よくわからない気持ちになりながら進めました。 

ということで、今回は相続手続というよりも、親族の死後になすべきことを私の備忘録も兼ねてまとめたいと思います。なお、四十九日法要などの宗教的な行事は各家庭によって異なりますので記載しておりません。
 

 
 

1 葬儀会社の決定

 

多くの方がまずは病院に駆けつけることになると思いますが、もし事件・事故の場合は警察署に駆けつけることもあります。

病院や警察において、通常は遺体を長期間安置することができないため、早急に葬儀社に依頼して、遺体を自宅、葬儀会館、寺院等に搬送していただく必要があります。
 

この点、私は病院に着くや否や病院からすぐに葬儀社に連絡してほしいと、いくつか提携している葬儀社のパンフレットをいただきましたが、仕事上お付き合いがあり、信頼できる葬儀社があったので、そちらにお願いしました。 

葬儀会社の選択肢として、大手葬儀会社(平安閣、ティアなど)、ネット系(小さなお葬式、イオンのお葬式など)、地域の葬儀会社などいくつかの選択肢があるかと思います。私の場合はそもそもお付き合いのある葬儀社があったので良かったのですが、そうでないとなかなか選ぶのが大変なので、変な話ではありますが事前にある程度リサーチしておくと良いと思います。
 

なお、私個人の印象ですが、以下のような感じです。
 

【大手葬儀会社】

安心できるが比較的費用が高い。たくさん参列される方だとこちらが安心できると思います。
 

【ネット系】

費用が一律となっていることが多いものの、あくまで各地の葬儀会社に振ってるだけなので、各地の葬儀会社の質によって当たり外れがある。さらに、追加オプションのトラブルなどもあり、直葬なら良いかもしれませんが、そうでないのであれば選びにくいように思います。
 

【地域の葬儀会社】

こちらも当たり外れがあるとは思いますが、地域での評判が悪くなると仕事ができなくなるので、決定前にある程度話ができると良いと思います。特に、過去にどなたかがすでに葬儀をされているようであれば、その方からご紹介いただくとおかしなことをされる可能性も低くなるので良いと思います。
 

また、費用が確定してからでないと、葬儀後にもめる可能性がありますので、必ず葬儀の内容が確定した時点で見積書をは受領すべきだと思います。私は、2つのパターンで見積書を作成してもらい、プラン決定後に正式な見積書を受領してからすべての手続を進めてもらいました。葬儀終了翌日に請求書をいただきましたが、見積書の金額とまったく同一金額でしたので、費用についてはとても安心した覚えがあります。
 

なお、直葬(通夜や告別式等の宗教的儀式をしない)の場合は、通夜や告別式等が無いので、いきなり火葬となりますが、少なくとも死亡時から24時間は火葬ができない(墓地、埋葬等に関する法律第3条)ので、直葬だとしてもご自宅または病院や葬儀会社等で遺体安置をしていただく必要があります。 
 

2 死亡届の提出

 

死亡届が受理されないと火葬許可証がもらえませんので、葬儀を行う前に死亡届をお亡くなりになった方の住所地の役所に死亡届を提出する必要があります。 
 

3 葬儀等

 

遺体が葬儀会館等に搬送され、早ければその日の夜、時間帯によっては翌日から2日後程度に通夜が行われ、通夜の翌日に葬儀・告別式・出棺となり、霊柩車で移動して火葬になると思います。
 

基本的にはすべて葬儀会社が進めてくれますので、何も考える必要はないと思います。多くの方が通夜に来られるような場合は、香典の管理なども大変なので、私個人としては香典を受け取らないとした方がいろいろと良いように思いました。
 
 

ここまでが怒涛の勢いで行われることであり、ここからは落ち着いてからでも大丈夫だと思います。

ただし、日程が決まっているものもありますのでご注意ください。 
 

4 医療費等の清算

 

入院されていらっしゃった場合は、医療費の清算や入院時の荷物等の引き取りはこのタイミングで行うと良いと思います。 
 

5 役所での手続

 

死亡届はすでに提出済みですので、あとは以下のような手続きが必要となります。
 

(1)健康保険関係

国保であれば役所に、健康保険であれば勤務先等に保険証を返却しなければなりません。

国保の場合は、葬祭費の請求も合わせて行うことができます。健康保険や共済組合の場合は各健康保険協会や共済組合に請求することとなります。
 

(2)その他の書類の返却

マイナンバーカード、医療証、介護保険証、敬老手帳、敬老パス、障害者手帳、愛護手帳、障害福祉サービス受給者証などをお持ちであればそれらの返却及び重度障害者手当、児童手当等を受給していた場合は喪失届等も必要になる場合があります。 
 

6 年金事務所での手続

 

年金を受給されて場合は10日から14日の間に年金事務所に死亡届が必要となりますが、現在はマイナンバーと連動しており、別途死亡届を出す必要は無いとのことです。

ただし、未支給年金がある場合は未支給年金の申請をする必要があります。こちらは郵送でもできる場合がありますので、一度年金事務所にお問い合わせいただいた方が良いと思います。 
 

7 戸籍謄本等の収集

 

遺産がある場合、手続の際に必ず戸籍関係が必要となりますので、戸籍謄本等の収集を開始すると良いです。ただし、死亡の旨の記載が戸籍にされるまでに1~2週間程度かかりますので、亡くなってから2週間程度経ってから開始されることになります。

戸籍謄本等の収集は司法書士等の専門家が代理して行うこともできますので、ご自身で行うのが難しい場合はお近くの弁護士や司法書士にご相談いただいても良いかと思います。 
 

8 遺産の調査

 

不動産であれば不動産のある役所及び管轄法務局、預貯金があれば各金融機関、保険金であれば生命保険会社に調査を請求することになります。

これらの調査については戸籍謄本等が無いと進められないので、戸籍謄本等が揃ってからになります。 
 

9 遺産分割協議

 

遺産の全容が判明した後、相続人が複数いらっしゃる場合は、どのように遺産を分けるのかの協議をしていただく必要があります。ただし、生命保険金の受取人として相続人のどなたかが指定されていれば、その保険金はその相続人固有の財産となりますので、遺産とはならず遺産分割協議の対象に含めません。

最終的に協議がまとまれば、遺産分割協議書を作成いたします。もちろん、司法書士等の専門家にご依頼いただくことも可能です。 
 

10 各種名義変更等の手続

 

上記の遺産分割協議に基づき、不動産であれば相続登記、株式であれば名義変更や売却・払戻手続、預貯金であれば解約手続等を行うことになります。繰り返しになりますが、こちらも司法書士等の専門家にご依頼いただくことも可能です。

なお、現時点(令和3年3月11日)では、上記手続について期限はありませんので、いつまでに行わなければならないというものではありません

しかし、相続登記については義務化する旨の法案が出ておりますので、近い将来一定期間内に申請しなければならなくなると思われます。 
 

11 相続税の申告

 

お亡くなりになった方の遺産が基礎控除(3000万円+法定相続人の人数×600万円)以上ある場合は相続税の申告が必要になります。逆に言えば、基礎控除内であれば相続税の申告は必要ありませんし、基礎控除額を超えていても各種の特例(小規模宅地等の特例等)を使うことにより申告自体は必要であっても相続税はかからないということもあります。

相続税の申告は、原則としてお亡くなりになった日から10か月以内に行う必要があります。

こちらは、弁護士や司法書士では代理して行うことができず、税理士さんにご依頼いただくこととなります。
 
 

以上の次第で、通常は最長でも10か月以内に手続を行うことですべての相続手続が終了となります。

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3月 03 2021

土地の値段(一物四価)

売買や相続による所有権移転登記を申請する際に、登録免許税という税金を法務局に納めなければなりません。
 

この登録免許税は、土地の値段を基に移転する原因に応じた税率を掛けて算出します。

例えば、土地の値段が1000万円だとした場合に、売買で所有権移転をする場合は15万円(1.5%)、贈与で所有権移転する場合は20万円(2%)、相続で所有権移転する場合は4万円(0.4%)です。ただし、上記の税率は改正によって変わることがあり、土地の所有権移転については本来は2%であるところ租税特別措置法により1.5%に軽減されています。
 

さて、簡単に「土地の値段」と言いましたが、実は土地の値段は一律に決まっているものではなく、状況に応じて同じ土地なのにその値段が変わります

例えば、上記の登録免許税に用いる土地の値段は、正確には「固定資産課税評価額(通常は単に「評価額」と言います。)」を基に計算することになります。
 

また、相続税を計算する場合に用いる土地の値段は、「相続税路線価(通常は単に「路線価」といいます。)となり、贈与税でもこちらを用いることになります。

このように、単に「土地の値段」と言っても、どの意味で使っているかを誤るとトラブルになる可能性がありますので、今回はこの土地の値段についてまとめてみたいと思います。
 

 
 

一物四価

 

一般的に、土地の値段は4種類あると言われており、「一」つの土地(物)に「四」つの「価」格があるので、このことを指して一物四価と呼ばれることがあります。
 

この4つの種類は、一般的に高い順にならべると以下のとおりとなります。
 

①流通価格(市場価格・実勢価格)

②公示価格(公示地価)

③路線価(相続税路線価)

④固定資産税評価額
 

ただ、実際には上記の順番は逆転することがあります。例えば、まったく買い手が付かないような土地だと路線価や評価額よりも低い金額で取引されることはあります。 
 

流通価格(市場価格・実勢価格)

 

これは、一般的に取引される金額となります。不動産業者に仲介を依頼し、第三者から土地を購入するような場合はこちらの金額となります。

「隣の土地は借金をしても買え」という格言もあるくらいですので相場よりも高いこともあれば、親族間や知人間の売買等の理由により相場より安く取引されることもありますが、最終的には当事者が合意した金額が正しい金額となりますので、一言で言えば「時価」となります。
 

なお、他の価格と比べると一番高いことが多いと思います。 
 

公示価格

 

地価公示法を根拠として公示されるものであり、特定の地域等において標準的な場所を選定し、その場所に関する土地の値段を公示するものです。

つまり、個々の土地ごとの金額が出るのではなく、その周辺地域の目安となる金額ということになります。
 

一般的には、流通価格より低く、路線価より高い金額になる傾向にあります。

こちらの金額は、公共事業による土地の収用等の際の補償金を計算するのに用いられており、司法書士が関与することはあまりありません。

この公示価格は国土交通省のサイトで確認することができます。

→ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査 
 

路線価(相続税路線価)

 

こちらは、道路に接した土地についての平米単価となり、国税局長によって定められたものです。

路線価は、接している道路を基準としていますので、国道などの大きな道路に接しているほど金額が高くなりますし、角地など複数の道路に接している場合も金額が高くなります。また、基本的には市街地にしか定められませんので、都市部から離れると路線価が無いことも多く、そのような土地は固定資産税評価額の1.1倍とされることが多いです(倍率地域)。
 

一般的には、公示価格より低く、固定資産税評価額よりは高くなり、概ね公示価格の8割程度になります。

相続税や贈与税の計算をする際には、こちらの金額を基に算出いたしますので、通常は税理士さんが一番目にするものとはなりますが、贈与の際にどの程度贈与税がかかるかを判断し、場合によっては贈与自体をキャンセルすることもありますので、司法書士もよく目にする価格となります。

この路線価は、国税庁のサイトで確認することができます。

→ 路線価図・評価倍率表 
 

固定資産税評価額

 

総務大臣が告示した固定資産評価基準を基に各自治体(市町村)が固定資産税を課すために個々の不動産(土地及び建物)について定めるものであり、この評価額に1.4%を掛けた金額が毎年1月1日時点の所有者に課されることとなります。なので、年の途中で所有者が変わったとしても1月1日時点の所有者が1年分を納める必要があるため、通常は日割計算をして新旧の所有者で精算することになります。
 

一般的には路線価よりも低くなる傾向があり、公示価格の7割程度になります。
 

登記申請の際に、不動産の価格を基に登録免許税を計算する場合は、まさにこの固定資産課税評価額を基に計算しますので、司法書士が毎日のように目にする価格となります。

公示価格や路線価は毎年変わるのに対し、固定資産課税評価額は3年に一度しか変わりません。そして、令和3年4月1日に新しい価格に変わりますので、現時点(令和3年3月時点)においては、4月1日以降に登記申請する場合の登録免許税の計算はできないことになります。とはいえ、それだと見積書が作成できないため、暫定的に現時点での固定資産課税評価額で費用を計算させていただき、4月1日以降に改めて正確な費用をお知らせすることとなります。
 

この固定資産課税評価額は、公示価格や路線価と異なり、ピンポイントで各不動産の価格がわかることとなるため、第三者が自由に調べることは基本的にはできません

不動産の所有者であれば毎年4月から5月頃に不動産のある自治体から固定資産税の通知書が送付されてきますので、こちらで固定資産課税評価額を確認することができますし、第三者であっても裁判に利用するなどの正当な理由があれば、自治体の税務課において評価証明書を取得することで評価額を調べることができます。
上記のとおり、司法書士は登記申請の際に利用しますので、すべての自治体ではないものの多くの自治体において所有者からの委任状を添付することなく評価証明書や評価通知書を取得することが認められています。 
 

まとめ

 

以上のとおり、単に「土地の値段」と言っても色々な意味がありますが、通常は流通価格を指すことが多いかと思います。ただ、万が一誤解して話を進めてしまうとトラベルになってしまうこともありますので、どの土地の値段のことを話しているかを確認してから話を進められた方が安全かと思います。

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2月 26 2021

遺言ができる能力(認知症等)

最近、立て続けに遺言書の作成に関するご相談をいただいております。 

遺言書の作成は、遺言書を書かれるご本人(以下、「遺言者」といいます。)自らが将来のために作成しておきたいとして書かれるケースが多いのですが、遺言者ではなく、将来相続されるであろう遺言者の推定相続人の方が主導して進められることがあります。

もちろん、最終的には遺言者ご自身の判断がすべてですので、推定相続人の方がいくら主導したとしても遺言者ご自身の本意であれば基本的にはどのような内容(例えば、遺言を主導した推定相続人が全部を相続する)であっても問題ありません。
 

先日も書きましたが、遺言書を作成する際に、日付を記載したり、署名をするなど、形式的な要件が厳しいためその点に注意が行きがちですが、遺言者に意思能力(遺言能力)がないと無効になってしまいます。

40代や50代であればまだまだ大丈夫だと思いますが、60代、70代、80代と年齢が上がるにつれて、判断能力が段々と衰えてきますので、遺言をするときの意思能力の有無が判然としない場合には、遺言者ご本人が亡くなったあとに遺言無効の訴訟を提起される可能性もあります。
 

今回は、年配の方(特に認知症の方)の遺言作成についてまとめたいと思います。
 

 
 

1 遺言能力

 

民法には、遺言ができる年齢として、15歳と定められております(民法961条)。したがって、15歳以上であれば未成年者であっても親権者の代理や同意なく遺言をすることができます民法962条5条)。
 

ただ、15歳以上であれば良いかというとそうではなく、認知症や精神障害などによって遺言の内容がまったく認識できないような方がした遺言は無効となってしまいます(民法963条民法3条の2)。
 

この点については、一般的には意思能力があれば良いと解されており、7歳前後の判断能力があれば良いとの考えもあれば、15歳以上でなければならないとの考えもあります。いずれにしても、比較的幼少期レベルで判断できる能力があれば良いということになります。特に、遺言というものは遺言者の人生最後の意思表示となりますので、どちらかと言えば有効になる方向で判断されることになります。 
 

2 成年後見人が選任されている場合

 

認知症や精神障害等によって成年後見の申立てがされ、成年後見人が選任されている場合があります。成年後見人が選任されると、日常生活に関するもの(例えば、コンビニで買い物をする等)以外は、ご本人に代わって成年後見人が代理して契約等を行うことになります。
 

ただし、身分行為に関する行為は除外されており、例えば結婚をされる場合には成年後見人が代理したり、同意(許可等)をする必要はなく、ご自身が自由に行うことができます(民法738条)。
 

この点、遺言については、大きな財産を贈与(遺贈)することができますので財産的な行為であると同時に、遺言によって認知等もできますので、身分行為のような性質もあります。
 

そこで、法律上は、①能力が一時的に回復した場合であり、②医師2名が立会い、③立ち会った医師が一時的に能力を回復していた旨を遺言書に付記して署名捺印する、という3つの要件を満たした場合に遺言をすることができることとされております(民法973条)。
 

ただし、あくまでこれは形式的な要件であり、実際に遺言能力が無かった場合には上記の要件を備えていたとしても無効になります。とはいえ、医師2名が立ち会っており、しかも問題なかった旨の記載と署名押印までされている訳ですから、実際上は遺言が無効になる可能性はかなり低いと思います。
 

なお、私は現在複数の方の成年後見人に選任されておりますが、やはりかなり個別事情かつその時の状況によって波があり、まったく遺言をするのは常に難しいという方もいれば、調子が良さそうなときには問題なく遺言ができそうな方もいらっしゃいます。 
 

3 成年後見人が選任されていない場合

 

上記の規定はあくまで成年後見人が選任されている場合であるため、認知症との診断をされていたとしても、医師の立会いなく遺言をすることができます。遺言の方式も特に定められていませんので、自筆証書遺言でも公正証書遺言でも要件さえ備えていれば少なくとも形式的には有効ですし、公正証書遺言であれば形式的な違反で無効になる可能性は極めて少ないと思います。
 

したがって、あとは遺言能力があるかどうかがとなりますが、この点を100%完全にクリアした遺言書を作成する方法は残念ながら存在しません。というのは、そのときに遺言能力があったかどうかを100%証明する方法が無いからです。ただ、少しでも有効となる可能性を高めるため、私どもが関与させていただく際には、遺言をされる(遺言書を作成する)少し前に担当の医師にその時の診断書を作成してもらっております。加えて、公正証書遺言にすることにより、さらにその可能性を高めます(公正証書遺言は公証人が遺言者と面談をするため、意思疎通がまったくできないと公正証書遺言を進めることができません。)。
 
 

ということで、年配の方が遺言をされる際には、形式的な要件を備えることはもちろんのこと、遺言能力についても注意をする必要がありますので、ご心配な場合はお近くの弁護士や司法書士にご相談いただき、できれば公正証書遺言にて進められた方が良いと思います。

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2月 01 2021

成年後見手続が必要な場合

当事務所では成年後見業務を行っており、累計で数十人、現時点でも数名の方の成年後見人に就任しております。
 

売買や贈与、相続等において、成年後見が関係することがあるため、今回はこの点に絞ってまとめたいと思います。
 

 
 

1 意思能力について

 

(1)意思能力とは
不動産の売買や贈与をする場合など、何らかの法律上の行為をする場合、その方に「意思能力」があることが必要です。
この意思能力を言い換えると判断能力のようなものであり、平たく言えば、自分が行っている行為がどういう意味なのかを理解できる能力ということになります。
 

意思能力は各個人によって異なりますが、一般的には10歳くらいになれば意思能力があると判断されます。また、成人においてもお酒を飲んで泥酔してしまっている場合や覚せい剤でおかしくなってしまった方も一時的に意思能力がないと判断されることがあります。
 

もっとも、10歳の子が不動産の売買をするということは考えにくいですし、泥酔している人が契約をすることは通常あり得ませんので、一番現実的なお話しとしては、①認知症の方、②精神障害がある方、のどちらだと思います。
ただし、認知症や精神障害については、いずれも症状の程度や波がありますので、あくまで契約等を行う際に意思能力があれば良いということになります。
 
したがって、例えば認知症とは言っても少し物忘れがあるという程度だったり、精神障害と言っても服薬によって特に問題ないということであれば、意思能力は大丈夫だと判断されやすいと思います。
 

(2)意思能力がない方が契約をするには
ご自身で判断することができない状態にある方(意思能力がない方)については、仮に契約を締結したとしても無効となってしまいます(民法3条の2)。
 
そこで、法律では意思能力がない方についても問題なく契約等ができるよう法定代理人という制度を定めており、ご本人に代わって法定代理人が契約等を行います
具体的には、未成年者であれば親権者(場合によっては未成年後見人)が、認知症や精神障害がある方については成年後見人(場合によっては任意後見人や保佐人等)が代理人として契約することで有効な契約等を行うことができます。 
 

2 売買や贈与で成年後見が必要となる場合

 

不動産の売買というのは極めて大きな財産が動くことになりますので、契約締結後に意思能力が問題になってしまうと大変なことになります

したがって、意思能力の判断は、かなり慎重に行う必要があります。
 

(1)売主側

ご本人が不動産を所有しており、売却や贈与をする場合、認知症等で意思能力に不安がある場合は成年後見制度を使って、成年後見人が代理人として売却することが考えられます。基本的には、成年後見人が売却の適否や価格等についてご自身で判断し、最終的に売却することは可能です。
 

ただし、成年後見人が選任されていたとしても、すべての不動産の売却等ができるわけではありません。
 

例えば、自宅等の居住用不動産について売却するためには、事前に裁判所の許可を得る必要があります(民法859条の3)。これは、一時的に施設等に入所されているときに、自宅を売却してしまうと戻る家がなくなってしまうからです。したがって、裁判所の許可を得るためには、①施設などの入所費用を工面する必要がある、②医師の判断によれば自宅に戻って生活できる見込みはかなり低い、③売却価格は周辺相場からいって妥当である、など売却が必要である旨を裁判所に説明して許可を得ることになります。
 

また、成年後見人はご本人の権利を守るために選任される者ですので、積極的に財産を減らす行為は認められません
 

とすると、ご本人が所有している財産を第三者に贈与するという行為は基本的には認められないことになります。
 

もっとも、贈与することが却ってが本人の資産を守ることになるのであれば贈与であっても認められます。当事務所が成年後見人になっている方について、ご本人が所有していた別荘(建物のみで土地は借地)があったのですが、当該別荘を利用する見込みが無かったので、裁判所に相談をしたうえで、第三者に贈与しました。このケースでは、そもそも何もしなくても毎月の借地料の支払いが必要になりますし、また、かなり建物が老朽化していたので取り壊すという選択肢があったものの数百万円の取り壊し費用がかかり、売却しようにも数百万円程度の費用をかけてリフォームをする必要があったことから、現状で引き受けてくれる方に贈与をしました。
 

なお、直接今回の記事とは関係ありませんが、親族に対するお年玉や結婚祝い、就職祝い等の社会生活上の妥当な範囲であれば贈与であっても認められます。
 

(2)買主側

成年後見人の選任がされている方が不動産を購入するというケースはあまり無いかと思いますが、もしそのような事態になったときには成年後見人が本人に代わって契約等をすることになり、この行為について裁判所の許可等は必要ありません。ただし、後見監督人が選任されているようであれば監督人の同意が必要となります(民法864条)。
 

もっとも、不動産を購入するということは、多額の現金を支出することになりますので、事前に裁判所に相談をした方が良いと思います。 
 

3 相続で成年後見人が必要となる場合

 

(1)相続人が1人のみの場合
相続人がお一人の場合、特に成年後見人を選任する必要はなく、ご本人が手続を進めることができるようであれば進めていただくことは可能です。ただし、相続の手続は難しいので誰かに依頼することが多いと思いますが、意思能力が無いとその依頼ができない(委任契約が締結できない)ので、結果として成年後見人の選任が必要になる場合が多いと思います。
 

なお、事実上親族の方がご本人に代わって手続を進めるということであれば、成年後見人を選任しないこともあるかと思います。
 

(2)相続人が複数いる場合
複数の相続人の中に、意思能力が問題になる方がいらっしゃる場合、相続人間の話し合いである遺産分割協議ができませんので、成年後見人を選任していただく必要があります。そして、ご本人に代わって、成年後見人が他の相続人との間で遺産分割について話し合いを行うことになります。
 

成年後見人はご本人の権利を守る立場にありますので、ご本人が遺産を一切取得しないという遺産分割は特別な理由がない限り難しいです。
 

また、成年後見人は弁護士や司法書士といった専門職ではなく、親族の方がなることができます。その際に、遺産分割協議に参加する方が成年後見人になってしまうと利益相反が生じているので別の手続が必要となります。
 

具体的には、父親Aさんが亡くなり、妻Bさんと子Cさんの2人が相続人である場合、Bさんの成年後見人としてCさんが就任することはできますが、BさんとCさんはAさんの遺産分割について利益相反の関係にありますので、Cさんは遺産分割協議においてBさんを代理することができません。

この場合、成年後見監督人が選任されていれば、当該監督人がBさんを代理することとなり、監督人が選任されていないようであれば裁判所に特別代理人を選任してもらってその特別代理人がBさんを代理することになります(民法851条4号)。
 

4 遺言について

 
遺言については、必ずご自身でする必要があり、第三者が代理して遺言をすることはできません。

したがって、遺言書の作成を目的として成年後見人の選任をすることはありませんし、すでに成年後見人が選任されていたとしても、成年後見人が代理することはできませんので、必ずご自身で遺言書を作成することになります。

ただ、意思能力が不安な方だからこそ成年後見人が選任されているのであり、なんとかしてご本人が遺言書を作成したとしても、意思能力がないときに作成したのであればやはり無効になってしまいます。 
 

そこで、法律では、成年後見人が選任されている場合においては、①意思能力が一時的に回復していること、②医師2名以上の立ち合いがあること、③当該立ち会った医師が「遺言者が遺言をする時において精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨」を遺言書に付記すること、の要件を備えれば遺言書を作成することが可能であるとしています(民法973条)。

 
 
  

以上のように、認知症の方や精神障害がある方について売買や相続が生じると成年後見が必要になる場合があり、何もせずに進めてしまうと事後的に無効となる可能性がありますので、契約や遺産分割をされる前に一度専門家にご相談された方が良いと思います。

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1月 18 2021

遺言書の日付が誤っている場合に無効になるか(最高裁判決)

自筆証書遺言(自分で紙に遺言を書く)の場合、法律上の厳しい要件を満たさなければなりません。
 

民法968条1項 自筆証書によって遺言をするには,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならない。

遺言書の作成については、法改正により一部は印刷したものでも良くなりましたが、基本的には遺言書の全文を自分で書かなければなりません
 
また、署名押印がない場合や日付が抜けている、日付は記載されているがその日が特定できない(「〇月吉日となっている」、「作成の年が記載されていない」など)、表現が曖昧である、夫婦二人分が1通で作成されているなど、自筆証書遺言の場合はいくつも無効になってしまう箇所がありますので、当事務所としては特別な事情が無い限り、公正証書遺言で作成されるようお勧めしております。

→ 自筆証書遺言と公正証書遺言
 
 

さて、本日上記の無効になる要素のうち、日付の記載について最高裁判決がありましたので、今回はこの点についてまとめたいと思います。

 
 

前提

 

遺言者Aさんは法律上の妻Bさん及びBさんとの間にできた子Cさんがいます。

しかし、Aさんには内縁の妻Dさん及びDさんとの間にできたEさんがいます。

平成27年4月13日、Aさんは入院先の病院で遺言書の全文を自署し、日付を記載し、署名を行いましたが、押印はしていませんでした。なお、内容は内縁の妻であるDさんとその子Eさんに全財産を相続または遺贈するという内容です。

同年5月10日、弁護士さんの立ち合いのもと、上記の遺言書に押印をして遺言書は完成しました。

同月13日、Aさんが亡くなりました。

Aさんの法律上の妻であるBさん及びCさんは、「遺言書に記載してある日付は4月13日だが、押印して完成したのは5月10日なのだから、実際の日付とは異なっており、遺言書は無効である。」と主張して訴えを提起しました。 
 

他の裁判例

 

今回の判決とは別に、過去類似する事件として以下のようなものがあります。

遺言者が全文の自書及び署名押印のみ行い、その8日後にその日の日付を記載した→日付を記載した日に完成したとして有効

 

昭和6年7月10日大審院判決
全文を自書した後、翌日に前日の日付記載→有効

 

平成5年3月23日東京高裁判決
実際に作成された日より2年近く遡った日付記載→不実の日付の記載のある遺言書は日付の記載がないものとして無効

 

もちろん、個別の事案によって判断が異なることもありますが、日付だけを見た場合は数日程度であれば問題ないものの2年も遡ってしまうと無効になるという感じがします。

 
 

今回の最高裁判決

 

 

要旨としては以下のとおりです。

 

「民法968条1項が,自筆証書遺言の方式として,遺言の全文,日付及び氏名の自書並びに押印を要するとした趣旨は,遺言者の真意を確保すること等にあるところ,必要以上に遺言の方式を厳格に解するときは,かえって遺言者の真意の実現を阻害するおそれがある。したがって,Aが,入院中の平成27年4月13日に本件遺言の全文,同日の日付及び氏名を自書し,退院して9日後の同年5月10日に押印したなどの本件の事実関係の下では,本件遺言書に真実遺言が成立した日と相違する日の日付が記載されているからといって直ちに本件遺言が無効となるものではないというべきである。」

 

凄く端的に申し上げると、確かに厳格な方式が求められているけど、やりすぎるとおかしな結果になってしまい、今回に相違程度であれば無効にするのは相当ではない、ということです。
他の裁判例にあるとおり2年も前だと無効になり、今回の判決だと1か月程度であれば無効にならないとのことであるため、どこまでであれば有効なのか無効なのかという問題は続くことになりますが、ケースバイケースで個々に判断されることになると思います。

 

そして、最初にも記載しましたが、初めから公正証書遺言で進めればこんな問題は起こらなかったわけですから、やはり公正証書遺言で進めるべきだと思います。

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1月 04 2021

予備的遺言のススメ

当事務所では遺言書の作成のご依頼をお受けすることが多くありますが、ほとんどのケースで予備的遺言も書かれるようお願いしております。そうしないと、せっかくの遺言が無意味になったり、想定していた財産の承継が行われないことがあるためです。
 

今日は予備的遺言についてまとめたいと思います。
 

 
 

予備的遺言がない場合

 

遺言者であるAさん(夫)には妻Bさんと子Cさん、兄弟Dさんがいたとします。
特に遺言書が無ければ妻Bさんと子Cさんが1/2ずつ相続することになりますが、将来の財産の円滑な承継のために、Bさんも納得のうえでAさんのすべての遺産を子であるCさんが相続する内容の遺言書を書きました。なお、Aさん一家と兄弟であるDさんは疎遠になっており、数年に一度、年末年始に会う程度の関係性しかありません。
 

その後、もしAさんが亡くなったとすると、Aさんの財産は遺言の内容に基づきCさんがすべて相続することとなります。
もっとも、Bさんは法律上、Cさんに対して遺留分侵害額請求をすることができますが、Bさんも納得のうえの遺言なので、特に問題は起きないと思います。
 

しかし、仮にAさんが亡くなる前にCさんが亡くなってしまった場合はどうなるでしょうか。
この点、相続人ではなく遺贈の場合は、法律上無効になると定められているものの(民法994条)、相続人が先に亡くなった場合についての条文がありませんでしたが、最高裁判決により遺贈の場合と同様に遺言によって承継するはずだったBさんが先に亡くなってしまっているため、一部の例外を除き、亡くなった人が受け取る予定だった部分は無効になると判示しました。
 

→ 最高裁サイト(最高裁平成23年2月22日判決)

→ 判決全文(PDF)
 
 

したがって、上記の場合だとCさんが相続するという部分は無効になるため、結果として遺言書全体が無効になります。
 

そして、遺言が無かったという状況になりますので、妻であるBさんと疎遠になった兄弟であるDさんとの間で遺産分割協議をしていただく必要があり、協議の内容によってはAさんが想定していたものとは違う結論になってしまいます。 
 

予備的遺言がある場合

 

上記の最高裁判決の説明で「一部の例外を除き」とあります。正確には、「推定相続人が遺言者の死亡以前に死亡した場合には,当該「相続させる」旨の遺言に係る条項と遺言書の他の記載との関係,遺言書作成当時の事情及び遺言者の置かれていた状況などから,遺言者が,上記の場合には,当該推定相続人の代襲者その他の者に遺産を相続させる旨の意思を有していたとみるべき特段の事情」となります。
 

したがって、上記の例のCさんがAさんより先に亡くなった場合に備えて、別の条項を設けておけば良いということになります。
 

具体的には、「遺言者の死亡以前にCが死亡したときは、Cに相続させるとした財産はすべてBに相続させる。」というような記載しておけば、最高裁判決が言う特段の事情に当たりますので、この部分の遺言が有効になります。これを予備的遺言や予備的条項などと呼びます。
 

そして、予備的遺言があることによって、BさんがAさんのすべての財産を相続することとなりますが、Aさんの兄弟であるDさんには遺留分はありませんので、残されたBさんはDさんから遺留分侵害額請求を受けることもなく、Aさんの想定外の事態は起こらないこととなります。
 

なお、上記は遺言者の兄弟の場合ですが、子が複数いるような場合に先に子が亡くなったときにその子(遺言者の孫)が遺言書どおりに相続するわけではありませんので、子が複数いたり、代襲相続人がいるような場合にも予備的遺言は活用できると思います。
 

以上の次第で、遺言書を書かれる際は、財産を取得される方が先に亡くなるということもある程度は想定された上で進められた方が良いと思います。

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12月 25 2020

年末年始の業務時間について


 
 

コロナに始まり、コロナに終わるという過去に経験がない1年となりましたが、なんとか今年1年を無事終えることができそうです。今年1年、たくさんのご依頼をいただきまして誠にありがとうございました。
 

当事務所の年末年始の休業については以下のとおり予定しております。誠に申し訳ございませんが、事務所にお越しいただいてのご相談やお電話での簡単なご相談などにつきましては、年明け1月4日以降に対応させていただくこととなります。なお、決まった日時では無いものの、実際には休業としている日時でも事務所にいることがありますので、メールでのご相談やご連絡については、メールの内容を確認させていただき次第、随時返信させていただきます。
 
 

令和2年12月28日午後6時まで 通常業務
 

令和2年12月28日午後6時~令和3年1月4日午前9時 休業
 

令和3年1月4日午前9時から 通常業務
 
 

今月に入って益々寒さが厳しくなるとともに、新型コロナウイルスの拡大が止まない状況ですので、感染予防をしっかりとりつつ、体調を崩されませんよう年末年始をお過ごしください<(_ _)>

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11月 19 2020

売買契約書について

当事務所では、知人間や親族間での売買など、不動産業者を通さずに直接売買する場合の登記手続に関与させていただくことがあります。 

その際、登記手続に関する書類を当方で作成することはもちろんですが、登記手続には直接必要とはならないものの、売買契約書の作成も合わせて行うことが多く、当事務所でも今週だけで2件の不動産業者を通さない個人間の売買手続を行っています。
 

売買契約書の中には、定型で決まってほぼ変わることの無い条項もあれば、契約によって大きく変わる部分もありますので、今回はこの点についてまとめたいと思います。
 

 
 

1 売買契約書

 

法律上、不動産に限らず、売買契約を行う際には特に契約書等は必要ありません。例えば、コンビニで飲み物を購入する際に契約書など作成しませんよね。

ところが、自動車や不動産など比較的高価なものを購入される際は、ほとんどのケースで契約書を作成すると思います。その理由は、後でトラブルになったときに必要となるからです。
 

上記のとおり、コンビニで飲み物を買って、もしその飲み物が不良品だった場合は、恐らくコンビニに言えば対応してくれると思いますし、仮に対応してくれなかったとしても100円~200円程度の話ですので、それほど大事にはなりません。

しかし、自動車や不動産などの場合はトラブルになった場合は、対応するにも修理費や工事費など多額の費用がかかることがありますし、泣き寝入りするにもかなりの損失になってしまいます。

なので、そういったトラブルが起きたときのために、どのように対応するのかが契約書に書かれています。
 

もっとも、契約書が無くても民法等の法律によって当然に適用されるものもありますが、逆に契約によって民法の適用を排除することもできますので、そういう意味でも契約書を作成する意義があります。
 

また、不動産の場合は税金の関係もありますので、売買代金を税務署等の官公署に説明する証拠としても重要になり、まず間違いなく契約書は作成することになります。 
 

2 売買契約書で絶対必要な条項

 

不動産の売買契約書を作成するに当たって、どのような契約書にも必ず入っており、むしろ入っていないと契約書を作成した意味がないレベルで必ず必要な条項は以下のとおりです。
 

①当事者の氏名及び住所

→ 契約の当事者が誰であるかが分からないと、契約の内容を誰が守れば良いのか分かりません。
 

②売買の対象物

→ どの不動産を購入したのかを明確にする必要があります。
 

③売買価格

→ 売買価格が0円だと贈与になってしまいますし、税金の観点からも売買代金は必須です。
 

④日付

→ その日から契約の内容をお互いに守る必要があるからです。 
 

3 多くのケースで入っており、契約ごとにあまり内容が変わらない条項

 

定型の契約書等には必ず入っており、契約書ごとにあまり無いように差がない条項です。大きな理由がない限り、特に触れる必要はないと思います。
 

①引き渡し義務と登記手続

②所有権の移転時期

③負担消除

④契約費用・印紙税の負担

⑤危険負担

⑥債務不履行解除

⑦手付解除

⑧反社会的勢力の排除

⑨諸規約の承継

⑩管轄裁判所

⑪協議 
 

4 契約の内容によって大きく変わる条項

 

個々の契約によってまったく内容が異なる条項となります。この部分は、変更可能であることがほとんどですので、契約の条件として提示することもあると思います。
 

①実測売買または公簿売買
 

実測売買というのは、売買の前提として測量を行い、その測量結果によって売買価格を決定または精算するというものです。

一般的には、まずは公簿(登記簿)に記載されている地積(面積)や床面積を基に売買価格を決定したうえで、その後の測量によって増減があった場合は売買価格も増減するというものであり、売主さん買主さん双方にとって公平だと思います。ただ、測量するためには数十万円の費用がかかりますので、必ず行うという訳ではありません。

公簿売買というのは、登記簿に記載されている地積等のまま売買することであり、基本的には売買に際して測量は行いません。また、仮に測量の結果、登記簿の地積等と異なったとしても精算を行いません。売買価格や坪単価が低い場合は公簿売買が多い傾向があります。
 

したがって、より正確に不公平なく売買をしたいということであれば実測売買ということになりますし、あまり費用を掛けたくないということであれば公簿売買ということになります。

なお、実測売買の場合は売主さんが測量費用を負担することが多いですが、買主さんの希望で測量を行う場合は買主さんが負担することもあります。
 

②公租公課の負担・精算及び計算期間(起算日)
 

公租公課は、固定資産税及び都市計画税がほとんどであり、売買代金を決済する前日までを売主さんが負担し、決済日以降が買主さんの負担とすることが多いです。

ただし、法律上は毎年1月1日付の所有者に納税義務があるのであり、買主さんには納税義務はなく、精算することが義務付けられている訳でもありません。したがって、契約内において精算しないとすることも可能です。比較的価格が低い不動産の場合は年間の固定資産税が数千円という場合もありますし、親族間や知人間という関係性がある場合は精算しないこともあります。
 

また、仮に精算をすることとなった場合、年間の固定資産税等の起算日をいつにするか揉める場合があり、これは法律によって定められているのではなく地域の慣習によって分かれます。

愛知県や関西地方では4月1日から翌年3月31日までを計算期間とする傾向がありますが、関東地方や北海道などでは1月1日から12月31日までとする傾向があるもののどちらが正しいというものでもありませんので、この点は各契約によって定めることとなります。

なお、4月1日からと1月1日からとを比べた場合、前者の方が売主さんの負担が少なく(買主さんの負担が多く)なり、後者の方が売主さんの負担が多く(買主さんの負担が少なく)なります。

③特別な解除権
 

不動産の売買契約においては手付解除、債務不履行解除、危険負担による解除、反社に該当することによる解除が定型で定められていると思いますが、それ以外にも個々の契約で特別な解除を認める特約を定めることがあります。

よくあるのが「ローン特約」であり、住宅ローンが組めなかった場合には、契約を違約金等無しで白紙解除できます。もっとも、個人間の売買だと住宅ローンを組めないことが多いため、不動産業者が仲介しない場合はあまり見かけることはありません。

それ以外にも、「測量した結果〇〇㎡以下だった場合は白紙解除」、「土地の占有者が〇〇までに立ち退かなかったら白紙解除」、「〇月〇日までに転勤の辞令が出たら白紙解除」など、自由に定めることができます。もっとも、あくまで当事者が合意すればの話であるため、一方が認めない場合は特約とすることはできません。
 

④契約不適合責任
 

民法改正により今年の4月から新しく定められた責任ですが、従前も「瑕疵担保責任」として似たような条項が定められていました。

端的に言うと、購入した不動産に何らかの不具合があったときに、売主さんが代金の減額、修繕の負担をしたり、最悪の場合は契約自体を解除することができるというものです。

これは売主さんの負担が大きい責任であり、特約が無ければ最大で10年間も責任を負い続けることになるため、責任期間を短縮(1か月~1年程度)することが多く、さらには契約不適合責任自体を負わないとすることもあります。実際に、私が作成した契約書では、ほとんどのケースで契約不適合責任は負わないとしております。
 

ただし、これには例外があり、売主が不動産業者である場合は、最低でも引き渡しから2年間は契約不適合責任を負わなければならないとされています(宅建業法40条)。
 
 

親族間・知人間等の個人間での売買をされる際は、登記手続だけでなく、上記のような契約書についても当方で作成いたしますので、お考えの際はお問い合わせいただければと思います。
なお、個人間売買に要する費用についてはこちらをご覧ください。

→ 個人間売買について

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