任意後見
任意後見とは、将来、ご自身が認知症等によって判断能力が低下した場合に予めご自身の後見人となる方を選任しておく手続です。
成年後見の場合は、認知症等によって判断能力が低下した後に、ご家族等が必要に迫られて行う手続きであり、また後見人等の選任は裁判所の専権事項であるため、意に沿わない方が後見人に選任されることがあります。しかし、任意後見の場合は信頼できる方と事前に契約しておくことで必ず任意後見契約をした任意後見受任者が後見人に選任されますので、もしものときにも安心ができます。
成年後見と任意後見の違い
1 後見人の選任方法
成年後見の場合は、裁判所が後見人を選任するため、候補者を立てたとしても、候補者ではない方が後見人に選任される場合があります。
一方、任意後見の場合は任意後見契約をした当事者(任意後見受任者)が必ず後見人となります。なお、任意後見の場合は必ず任意後見監督人が裁判所から選任され、任意後見人に対する監督をすることになります。
2 後見人の権限
成年後見人の場合は法律に規定されている行為が可能であり、またご本人がした契約等について取り消すことができる場合があります。
一方、任意後見人は任意後見契約において定めることができ、かなり自由度が高いものになっています。ただし、任意後見人はご本人がした行為について取り消すことができません。
3 自宅の売却等
成年後見人がご本人の自宅を売却等(賃貸住宅の場合は解約)をする場合、事前に裁判所の許可を得る必要がありますが、任意後見人が売却する場合は裁判所の許可は不要ですので、スムーズに進めることができます。
4 後見人の報酬
成年後見人については、裁判所の報酬付与審判に基づいてご本人の財産から支払われますが、任意後見人の場合は任意後見契約において定められた金額となります。
費用
1 任意後見契約時 |
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当事務所の報酬 ・書類作成費用10万円 ・受任者報酬 5万円(当事務所の司法書士が任意後見受任者となる場合) 実費 2万円程度(任意後見契約に関する公証役場の費用、戸籍謄本等の取得費用等) |
2 任意後見契約発効時 |
当事務所の報酬 ・書類作成報酬10万円 ~ 実費 1~2万円程度(戸籍謄本等の取得費用や登記されていないことの証明書等の取得費用等) |
3 任意後見発効後 |
当事務所の報酬は任意後見契約によって定められた金額となります。 <目安> 財産額が1000万円未満の場合 月額2万円 財産額が1000万円以上5000万円未満の場合 月額3万円~4万円 財産額が5000万円以上の場合 月額5万円~6万円 |
任意後見監督人の報酬 |
裁判所の報酬付与審判によって決められた金額となりますが、月額1~2万円程度になることが多いと思います。 |